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151_来年の木

「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。

お題:来年の木 必須要素:北海道

「だーるーまーさーんーがーころんだ!!」


 よく行く公園は上級生の遊び場と化してしまったので、木々のあふれる野原でだるさまんがころんだを嗜む三人。

 鬼役の正太郎は木に顔を向けては呪文を唱え、視界に映る残り二人を停止させる。


「なかなかうまいな」

「そりゃこればっかやってたらねえ」

「反射神経が鍛えられてる感じがするぜ」


 それもそのはず。三人はもう何時間もだるまさんがころんだを続けているからだ。

 ジリジリと追い詰められ、正太郎は若乃にタッチされてしまった。


「じゃ、今度はわたし鬼やるー」


 若乃はくすくす笑いながら二人に背を向ける。白いワンピースに麦わら帽子の後ろ姿は、まるで二人の知っている若乃ではないようだ。


「だーるまさんがーころーんだ!」

「ぐ」

「はいしょうちゃんアウトー」

「お前へたすぎねえ?」

「違う、若乃がうまいんだよ」


 若乃のテンポとリズムについていけず、正太郎はあえなく撃沈。

 残りは康太との一騎打ち。


「だるまさーんがこーろーんだ!」

「げ」

「はいこうちゃんもアウトー」

「康太だってへたじゃないか」

「ちげえ、若乃がうまいんだよ」


 同じようなやりとりをさっきもしていたのは決して気のせいではない。三人は思わず笑った。


「同じことしかしてないけど、たのしーね」

「まあ、そうだな」

「うん」


 ひとしきり遊んだ三人は、少しだけ横になって休憩する。

 草木が適度にクッションなって心地よい。


「……あと三日かー」

「まだ三日もあるよ」


 若乃の呟きに、正太郎はすぐに反応した。

 夏休みが終わると、若乃は転校する。

 三人が住んでいる九州とは真反対の北海道。

 それは、三人とって未知の場所。

 あまりにも遠くて、気軽にも行けない地。


「北海道って、このかっこだと寒くないかなー」

「夏は変わらないだろ」

「そうだよ。変わらないよ。いまのままの若乃で大丈夫だよ」

「……そーだね」


 この木を軸にして三人で遊ぶのも、もう残り少ない。


「わたし、来年の夏休みになったら遊びにくるからね」

「マジかよ」

「いいね、そしたらまたこの木でなんかして遊ぼう」

「またここー? しょうちゃんがいいならいいけどねっ」

「しゃーねーなあ」


 来年の今頃、またこの場所で遊べることを願って。

15分オーバーしたので無理やり切り上げ。

ちょっと切ない風味。

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