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147_重い模倣犯

「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。

お題:重い模倣犯

 高価な美術品が盗まれるという話を耳にする。

 なんでも某アニメに出てくる大泥棒のように巧みに軽々と壁をつたい、赤外線センサーもなんなくすり抜け意図も容易く奪われたのだと。

 これはすごい! と思わず感心してしまった富田は、何を血迷ったか自分も挑戦しようと考える。

 そんなわけでやってきたのは別の美術館。深夜を過ぎており人の気配はない。

 入口正面から堂々と入るのは無理なので、どこかの窓から潜入するしかなかった。

 早速富田の頭上に見えるのは数メートル以上先の窓。

 やってみせる。富田はいざ壁をよじ登った。

 しかし富田の体は非常に重く、壁登りなんて芸当ができるわけがなかった。

 結局富田の挑戦は敵わず、美術館の平和は守られたのであった。


----------


 美術部で不思議な事件が起きた。

 二人組になってそれぞれの顔を描くというお題であり、完成後に全ての作品を展示していたのだが。

 山本の絵だけが、真っ黒に塗り潰されていたのだ。


「すみません、それ俺が自分でやったんです」


 犯人は山本本人であり、あっさりと自白する。

 どうやら人様に見せるにはあまりの自信がない作品だったため、我慢できずにぐちゃぐちゃにしてしまったという。

 その後山本は改めて描き直し、納得のゆく作品が出来上がったのだという。

 しかし次の日、今度は長谷川の作品が黒く塗り潰されていた。

 山本の例があるため長谷川本人がやったのか問いただしてみるが、長谷川は違うとのこと。

 結局誰がやったのかわからずじまい……ではなく、顧問にだけ白状する生徒が現れた。


「どうして長谷川の作品を塗り潰したんだ?」


 すると犯人である松実は、暗い表情で言い連ねた。


「長谷川さんが描いた顔は私が片思いをしている笹野くんなんです。笹野くんは見てのとおり超絶かっこいい美男子なのに、長谷川さんの描く笹野くんは見るに堪えませんでした。醜悪です。醜いです。長谷川さんのデッサンはただでさえ狂っているのにそんな腕で笹野くんを描くなんて笹野くんに泥を塗るような行為ですし、なにより私の笹野くんの顔を長谷川くんが描くという行為自体があまりにもおこがましいと思ってつい山本くんのように真っ黒に潰してしまいました」


 重い模倣犯は、無事見つかった。

一つのお題で二つの作品。

質は悪い。

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