144_未熟なロボット
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:未熟なロボット
ガシャン、と厨房で鳴る大きな音は、今日もアレがやらかした合図だ。
「すみません、すみません」
床には散らばった皿の破片に、料理として完成されたはずの食材。
当然、これでは客に出すことはできない。また作り直しである。
「次から気をつけて」
「すみません、すみません」
アレはひたすら頭を下げるばかり。その間に床掃除を他の者がやってくれていた。
アレの働きぶりは店員のみならず、客からも有名である。
「これ注文と違うんだけど」
「すみません、すみません」
「会計間違ってるんだけど」
「すみません、すみません」
料理運びをやらせれば七割以上は場所を間違え、レジ係をやらせれば一つの会計につき五分以上は当たり前。
もはやアレは、このお店の名物とまでなっていた。
「すみません、すみません」
言ってしまえば役立たずのアレなのだが、なぜだかクビにはならない。一種のマスコット的立ち位置か、周りは皆そういうものだと受け入れてしまうほど。
それほどまでに、人間の労働者というものは珍しいからだ。
「すみません、すみません」
能力的にも劣り、ただ謝るだけが取り柄のアレ。我々のような完成されたロボットから見れば、アレはもはや未熟なロボットだ。
アレが今後どう次の段階へと移るのか、興味深い。
アレ以外全員ロボ系の世界観。
なんかそれらしい不思議モノ。




