132_イギリス式の駄作
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:イギリス式の駄作 必須要素:4000字以上
「だから! なんでこれがこうなるのよ!!」
タニグチが部室に来ると、開口一番で怒鳴り声がつんざいた。
「言われたとおりにしたんですけど……」
「こんなのでオッケーいいわよって許可すると思ってんの!? こんなのイギリスだったらあなたなんて抹消よ抹消!! 駄作もいいとこ!!」
ブラックジョークにしてはおそろしいが、激昂している部長はおそらく本気で言っている。
部長はイギリスの帰国子女だからか、口癖は「こんなのイギリスだったら」である。そこが部員達は大いに気に入っていた。
タニグチはそそくさと自分の持ち場へ着き、怒る部長と怒られている人物ヤマセの成り行きを見守った。
「反省文、書きなさい! あなたには反省が足りないわ。明日までに4000字以上書いてきなさい、いいわね!!」
そうして部室の扉を強く叩く部長。嵐はひとまず過ぎ去った。あまりの怒髪天にタニグチの存在など気付きすらしなかったが。
「ヤマセ、部長怒らせちゃまずいよ」
「部長の怒った顔が美しすぎるんだ……」
あんなに怒号を受けたにも関わらず、ヤマセはやたら嬉しそうだ。
「部長がストレスで倒れるぞ。ちゃんと反省文書いてこいよ」
「4000字も書けんよ」
「また怒らせるのか……」
呆れたと言わんばかりにタニグチはため息を吐く。しかしヤマセはなんら動じていない。
「まあ、いくら怒っている部長が美しくても俺のせいで倒れたらまずいな。反省文はなんとかするさ」
部長に続き、ヤマセもまた部室を出ようとする。
「え、ここで書かないの?」
「まずはいまから4000歩歩いてくる。書くのはしんどいが歩くのは楽しいからな」
「歩く意味がわからん……」
「任せろ」と去り際の言葉を残し、部室はタニグチ一人に。
さびしい。
「で、反省文は?」
「4000歩歩いてたら眠くなっちゃって……」
部長の雷が落ちたのは言うまでもない。
無理やりお題を消化するスタイル。
なんの部活よ。




