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131.安全な育毛

「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。

お題:安全な育毛

 雨が降ろうと槍が降ろうと、たとえ周りから罵倒を浴びせ続けられようとも俺は守る。

 この体がどうなっても構わない。歩けなくなってもいい、動けなくなるのはちょっと嫌だがいざとなれば厭わない。

 髪の毛さえ無事なら、それでいい――


 ――安全な育毛生活を。マグナムヘアートニック新発売。


「どうすかね、この宣伝なら売れそうでは」

「ちょっと大げさすぎやしないか」


 とある会議室。換気を充分にした状態でミチオとカルハタは自社製品のCM制作について考え合う。

 ミチオの持ってきたアイデアは派手ではあるが、育毛剤という趣旨から離れすぎているのではとカルハタは懸念していた。


「CMてのはインパクトですよ。見る人が度肝を抜くような内容であればよりいいんす」

「だからといっても髪の毛意外ボロボロなのはあまりなあ」


 過激派対安全派のせめぎ合い。とはいえカルハタはそこまでひどく否定はしていない。


「もう少し抑えめにいかないか? 槍とか罵倒とかなしで、大雨と大風はあり」

「それだとちょっとつまんないすねえ」

「まあまあ、最後まで聞いてくれよ」


 文句垂れるミチオをなだめ、カルハタは自分の案を聞かせた。


 台風のなか、俺は走る。

 転んでも滑っても、俺は走る。

 雨がなんだ風がなんだ。そんなんじゃ俺は止めることはできないぜ。

 この鍛え抜かれた髪の毛は、止められない――


 ――安全な育毛生活を。マグナムヘアートニック新発売。


「無事家に着いたらふわっふわの髪の毛を触って満足する。いいと思わないか?」

「やっぱ槍は欲しいですね」

「お前少しは譲歩しろよ」


 結局、二人の案はボツになった。

しょっぱながオチなので終わりが悪くても問題ないのだ。

そう言い聞かせるのだ。

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