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129.商業的な声

「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。

お題:商業的な声

「あそこの空き地、デパートになったら絶対に便利になると思うんだ」

「たしかに便利そうだけど、あそこは子ども達のいい遊び場だろ?」

「でもなあ、やっぱりなにか建物があったほうがいいと思うけどなあ」


 夏期講習帰りのチハヤとコダチは、遠巻きに見える広々とした空き地を見ながら用途について会話していた。

 商業的な声を上げるチハヤと、開放的な意見を述べるコダチ。お互いに考えは分かれている。


「いまって子どもがのびのび遊べる場ってそうないじゃん。あってもよくわからない遊具が邪魔だったり近所迷惑になったりでさ。その点あの空き地は広いしグラウンド並みに自由に使えるんだぞ?」

「だけどよ、あんな広さがあれば大型デパートだって夢じゃないって。なんだったらカラオケゲーセンボーリングとか、室内で遊べる施設を作れば子どもだって満足だろ」

「外で遊ぶ場所だからいいんだよ」

「いーや中だね」


 休日は家でゲーム三昧のチハヤに対し、釣りやサイクリングと日光を浴びる休日を過ごすコダチ。二人の意見が合致することはなかった。


「じゃあじゃあ、間を取って駐車場にすれば?」


 そこで割って入るのは、後ろから盗み聞きしていた同じく夏期講習帰りのオカザキ。二人にチョップをかましてからの第三の矢は、果たしてどこへ飛んでいくか。


「いや、ないだろ」

「一番つまんねえ」


 あっさりポキッと折られてしまった。


「そうかねえ、空は見えるしお金も取れるしで丁度いいアイデアだと思ったのに」

「車持ってないし運転すらできない俺らにはあんまなあ」


 結局、まとまらないまま三人の意見はどこか空に流れていく。


「アイス食いたい。コンビニいこうぜ」

「こういうときあそこがデパートだったらすぐ買えるのになあ」

「いやいややっぱり駐車場」

「空き地だからいいんだよ!」


 再燃する空き地問題。

 明日は模試だというのに、のんきに過ごす三人であった。

盛り上がりもオチもなし。

得意分野である。

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