116.斬新なゲーム
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:斬新なゲーム
――ああもう、わけわかんない。
ハルカワメイは苦悩していた。単なる時間つぶしに誘われた神経衰弱が、文字通りこんなにも神経を衰弱するとは思ってもみなかったからだ。
「はいざんねーん、次いきましょ」
発起人であるナツノジュンはけたけたと愉快に笑い、全ての札を無造作にシャッフルしていく。
間違える度に札を混ぜこぜにする。記憶力などあったものじゃない、運否天賦が正義である。
それこそがナツノ流・神経衰弱であった。
「まいったね、このままナツノの独り勝ちだよ」
アキヨシハルナがため息とともにそう呟く。ナツノは偶然にも一巡目で札を揃えてしまい、それ以降みんな成功していない。
この時間つぶしの神経衰弱、余興と言えど罰ゲームが設けられている。
負けた者が勝った者にコンビニで好きな物を奢るという、懐に余裕のないハルカワ達には死活問題のペナルティである。
初めはただの神経衰弱と侮ったがばかりに、こんな意味不明なルールでやらなければならないなんてと自分を恨みたくなるハルカワ。
「ほらほらー、はやくしないとフユちゃん来ちゃうよ」
このゲームの終着点は、札が全て捲られるか待ち人のフユキアオイが来るかのどちらかである。後者の場合は、その時点で札を多く取ったものの勝ち。
つまり現在、ナツノだけが勝利を約束されている。
そういかない、そうはいってたまるかとハルカワは集中する。
まず一枚目を引いて数字を把握。5、5、5、5と何度も何度も心の中で唱えていく。
目を瞑り、札の在り処を想像してイマジネーションを高め出す。どこだ、どこだ、どこだ、どこだ――
「――ここだ!!」
ハルカワが獲ったのは、右側の奥。百人一首の如く鋭い手さばきが床を強く鳴らしていく。
捕らえた札は13!
「おまたせー、かえろー」
同時にフユキの登場である。
この時間つぶしの神経衰弱、ナツノに軍配が上がったのだった。
ナツノを除いて誰も知らない。
ナツノが最初に取った2枚の札、裏にはナツノだけがわかるようなマーキングがされていたことを。
いうほど斬新ではない。
申し訳程度のオチ。




