111.誰かは門
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:誰かは門
「ボール投げしようぜ! お前ら門な!!」
そう、カズタがボール投げをする以上、誰かは門の役割を成さないといけないのだ。
両側に二人立ち、お互いに両手を伸ばして向かい合う。これで簡易的な門の出来上がり。
「まずは小手調べだ!」
即席門に向かって、カズタは手のひらサイズのゴムボールをぶん投げる。
このボール投げ、ルールは至って簡単。カズタがひたすら門の間にボールを投げ込むだけ。
門の間に入ればカズタの勝利、入らなければ門の勝利。
門と言ってもしょせん小学生二人が体現するものであるため、高さはいささか心もとない。
そのため、なるべく低く投げ入れるのがこのボール投げのミソとなる。
カズタのボールコントロールはピカ一であり、ある程度の速度を保ったままボールは一直線へと門の中心へ吸い込まれていった。
「よし、もう一球いくぜ!!」
続いて軟球と、先ほどのゴムボールよりも当たったら痛い物が登場。門は少し怯えている。
「安心しな、俺は外さねえし当てねえ!!」
みなぎる自信とともにカズタは振りかぶり、ボーリングを投げるような仕草で腰より下の位置で放り投げた。
ボールは地面すれすれで伸びていき、まるで鷲が地を這うかの如く超低空飛行。
まさにイーグルショット。門にぶつかるどころかかすることなく潜り抜けていった。
「よっしゃ! ラストいくぞ!!!」
ここで門に電流が走る。身の毛がよだつとはこのことである。
カズタが最後に手にした球は、鋼球。
硬い球ではない、鋼の球だ。
「心配すんな、いままで俺が外したことあるか!?」
カズタの成功率は100発のうち90。九割は安定して成功するが、逆に言えば一割は失敗する。
さっきの投球で合計数は109。統計的に鑑みるなら次は外す。
「おらああああああああああああ!?!?!?!?!?」
興奮が興奮を呼び寄せ、手汗だらけの手のひらが仇となる。
鋼球が、すっぽ抜けた。
幸いながら門に命中することはなかったが、代わりにガラスの割れる大きな音が聴こえてくる。
「こらー! また球遊びしおってー!」
「逃げるぞお前ら!!」
こうして今日のボール遊びは終わりを告げる。
たまには僕らも投げたいなあと考える門であった。
これぞ勢い。
勢いの極み。




