110.イタリア式の殺し
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:イタリア式の殺し
息遣いは荒くまともに呼吸も難しい。
服にまでにじむ大量の汗が、彼の窮地を物語っていた。
「こうなったら、もうやるしかねえな」
『やる』を『殺る』を当てるに相応しい、殺気立った彼の言葉。本腰を入れようとする前に、彼は一つの電話を入れた。
「ピザ一枚、コーラとポテトも頼むぜ」
三十分後に注文したピザが届き、彼は豪快に貪り始める。食い散らかしとかそんなものは関係ない。ただ無我夢中に腹に詰め込んだ。
食欲を満たし、ようやく彼は決意を固める。
できることならしたくない。だが、こうしなければ平穏は拝めない。彼なりに考えた苦肉の策である。
たとえ部屋のどこに隠れようとも、殺して見せる。
「終わらせてやるぜ、もう覚悟は決まった!」
ポリタンクにぎっしりと入ったガソリンを担ぎ、彼は余すことなく部屋中にぶちまける。
匂いが厳しくなりつつも彼はむせながら玄関まで進み、そこでもガソリンを垂らしていく。
そして、彼はゆっくりとマッチをつけ――
「いまだ!!」
火がガソリンに触れたと同時に、彼は外へと全速力。とにかく走り、自分に被害を及ぼさないよう急いだ。
またたく間に彼の家は燃え盛り、事が大きくなるのは時間の問題である。
そんななか、彼はやりきったというような表情で、赤く染まる家を見つめる。
「殺してやったぜ、ざまあみろ」
家に突如として現れた大きな虫。それを確実に始末するために彼は家ごと燃やしたのだった。
これこそが、イタリア式の殺し――
「ていう短編書いたんですけどどうです?」
「イタリア人に謝れ」
一つのことに多くの犠牲を払う人ってすごいと思う。
そういう問題ではない。




