11.都会の映画
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:都会の映画
僕と英子さんが付き合い始めて三日。
馴れ初めはなんてことない。同じサークルで出会い、とても気が合ったから恋人同士になったというもの。
しかし、いまの僕には悩みがある。田舎育ちで上京したての僕にとって、デートするときどんな場所を選べばいいかわからないのである。
カラオケ、ボーリング、水族館、動物園、遊園地……選択肢があまりにも多すぎて何を選べば英子さんが喜ぶのかがわからない。田舎で彼女がいたときは場所は限られていたからあまり思うところはなかったのだが、実に迷いどころだ。
「あのさ、今度のデートどこに行きたい?」
「どこでもいーよ」
できれば英子さんの行きたいところを選びたいのにどこでもいいは非常に困る。どこでもいい派が二人いると何も決められない。
考えろ、確か英子さんの趣味は……
そうだ、映画鑑賞だ。英子さんはよくネットの動画配信サービスで映画を観ていると聞く。映画館にもたまに足を運んでいるそうだ。
だったらもう決まりだ。あそこならラインナップも豊富だし話題にはこと欠かない。都会の映画館なら探せばどこにだってあるだろう。
デート当日、待ち合わせ場所は映画館の入ってある建物の入口。
今回が初デートだ。失敗するわけにはいかないと、両手を叩いて気合を入れる。
待ち合わせ時刻丁度に、英子さんはやってきた。
「お待たせ、今日はどんな映画見るの?」
「いろいろチケット買ったからたくさん見よう」
「……え?」
英子さんは目を見開いている。何か変なことを言っただろうか。
「まず最初はホラーものだね、次はちょっとしたラブコメで、その次は過激アクション、そして最後は海外で有名な作品を見るつもりだよ」
「……今日で全部見るの?」
「もちろん! 折角来たんだから楽しまないとね」
上映時間の合計は七時間を超える。なかなか濃密な一日になりそうだ。
「いやあ楽しみだね!」
「……」
四つの映画を全て観終わった僕は、この後レストランで食事をしながら感想を言い合うことも良い雰囲気になることもなく、英子さんから別れを告げられるのであった。
一日に何回も映画見てるとお尻痛くなりそう。
こんなデートもありなんじゃないですかね(適当)




