109あいつとブランド品
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:あいつとブランド品
猫に小判、豚に真珠と言われるように、いくら高価な物でも所有者によっては何の価値も見いださなくなる。
それがまさに、あいつとブランド品である。
「この間貰ったバッグ? ああ、犬がおもちゃ代わりにしてるよ」
聞けば誰でもわかるような高級ブランドのバッグが、あいつのペットによってボロボロだ。
あいつはけして見せびらからそうとはせず、いつも適当に扱っては汚すか壊すかだ。多分、まともに使ったことはないのかもしれない。
「別にバッグなんてなんでもいいじゃん」
二千円のリュックサックがあいつの相棒であり、どんなときでもあいつはそれを背負ってやってくる。選んだ理由は、いっぱい物が入るからだ。
「どうしてそんなにブランド品に興味がないんだ?」
あいつに質問したことがある。あまりの雑な扱いに、あげた奴が可哀想だと思えるくらいだ。
「ブランド品に興味がないっていうか、もらった人に興味がないっていうか?」
ますます同情する。あいつに恋した奴はいずれも脈無しだったというわけだ。
そういえばあいつのリュックサック、布地の部分が少し破れていた気がする。
「ほら、硬いもんや重いもん入れまくってたから破れてる。へたしたら中身出るぞ」
「んー、でももったいないしなあ」
お前がいままで無駄にしたブランド品と比べれば安い物である。
どうしてこのリュックサックばかりは大事にするのだろう。あいつの誕生日になんとなくプレゼントしただけなのに。
「じゃあ、また新しいの買ってよ」
「俺が?」
「もち。それならまた大事にするから」
あいつはいまいちよくわからない。
まあ、俺が買えば大事にするのなら、またプレゼントでもしてやろう。
物の価値云々ではなくその人の価値云々。
あると思います。




