105.くだらない情事
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:くだらない情事 必須要素:アクション
彼女いない歴が年齢と等しい男子高校生はどれくらいいるのだろう。
半分、いや七割? もしかしたらその逆の二割だとしたらどうしよう。
少なくともいま、俺とタキグチの二人だと彼女なしと彼女ありでぴったり二分の一である。
悲しいことに俺が彼女なし側なのだが。
「いやさあ、来週プール行くんだよ。楽しみだなああいつの水着姿。この前なんかさあ」
毎度の如く、聞いてもないのに語り出すタキグチの惚気話。
うんざりだ。こんなくだらない情事を聞かされるくらいなら、アクションゲームを極めたほうがまだ楽しめる。
「で、なんで俺がお前に泳ぎを教えなきゃならないんだ」
「頼むよー。プールで泳げないなんてバレたらカッコ悪いじゃん」
スポーツジムの室内プールで、タキグチの泳ぎを練習中。いくら彼女にカッコ悪いとこを見せたくないからって、一朝一夕で泳ぎを身につけようとは浅ましいとは思わないのか。
本来ならば断わればいい俺だが、泳ぎには自信がある。ちょっといいとこを見せて周りの女性から逆ナンでもされないかと淡い期待を持ちつつ、タキグチに指導していた。
まあ、当然女性から声をかけられることもない。それどころか同年代の女性はほぼいない。みんなご高齢ばかりだ。
「おおすげー! それ教えてくれ」
「まずはクロールを覚えろ」
ただただむなしい。自慢のバタフライを見せても驚くのはタキグチばかり。むなしい。
水面をばしゃばしゃと乱しながら、タキグチは両腕を同時に回す。
「いや、片腕を交互に回すんだ。右、左、右、左って」
「むずいなあ。どっちかやるともう片方も動いちゃうんだよ」
「体に覚えさせるしかないな」
丁寧に手取り足取り面倒を見る俺に、なぜ彼女がいないのだろう。自分で言うのもあれだが、結構まともだと思うのだが。
いかんせん、女子と関わる機会がないのが悪い。けして俺が原因なわけではない。世の流れが悪いのだ。
もっとも、タキグチは自ら話しかけることでいまの彼女ができたわけだが。
やがて時間は過ぎ、タキグチは結局クロールを覚えられなかった。
「まあいいや、犬かきできれば問題ないだろ。さんきゅー」
「健闘を祈る」
赤っ恥かいて別れてしまえ。
プールデートを終えた後日、タキグチはにっこりしながら報告してきやがった。
「いやあ彼女も泳げなくてさあ、浮き輪で二人しがみついてイチャコラしてたわー」
ああ、くだらねー!!
愛だの情事だのここ数日多い。
どうすりゃええねん。




