104.突然のエリート
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:突然のエリート
コダカは恐れおののいていた。
向かうところ敵なしの人生を歩んでいたのに、そこには予期せぬ伏兵がいると思いもしない。
「なんでだよ、ここまできて……」
積み重ねた資金も底をつき、円満だったはずの妻子もいなくなった。
吐き出すものは全て吐き、いよいよコダカは無一文のぬかるみへとハマり出す。
「ちくしょう、お前、よくも!」
コダカの睨む先に、不敵にほほ笑む一人の男。
その人物こそがコダカをどん底に陥れた張本人、オオワシだった。
「悪いね」
飄々と頭を下げるオオワシは、初めこそはコダカにとって眼中にもなかった。
しかし、徐々に頭角を現し始めてからは嫌でも視界に入り、いまではコダカよりも一歩二歩、いや数十歩以上も離れている。
きっかけは、あのときの出来事。
あれを境に、オオワシは突然のエリート街道を歩み始めたのだ。
「このままいくぜ、もうコダカっちの活躍はない」
「ほざけ!」
何もかも失ってもなお、コダカはまだ諦めていない。
コダカの闘志はけっして消えていなかった。
「ここからが俺の逆転劇だ……!!」
「ほう、やってみなコダカっち!」
「いやさ、盛り上がるところ悪いんだけどさ」
コダカとオオワシの間を割って入るように、ナカバトが壁掛けの時計を見やった。
「もう六時だから帰ったほうがいいよ。特にコダカっちの母さん怖いだろ」
「ぐ……」
友情破壊ゲーとも呼ばれるすごろく式ゲームソフト『ドカ鉄』をセーブし、ナカバトはそそくさと電源を切った。
「せっかくの山場なのに、明日に持ち越しかー」
「負けねえ、明日を楽しみにしてなオオワッシ!」
「いいぜ、かかってきな!」
「はよ帰れ」
こうして本日の遊びは終了した。
「ごめん、セーブデータ違うのに上書きしちゃった」
次の日、ナカバトから衝撃の発言を聞かされたのち、コダカとオオワシは崩れ落ちたという。
無理やりオチを二つつける。
実はゲームでしたオチ前もやったな。




