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103.黄色い冬

「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。

お題:黄色い冬

「冬を色で例えるなら何色だと思う?」


 机を合わせてせっせと宿題を片付けている最中、集中力が切れたコトノがふとした質問をする。


「んーやっぱり白じゃない? 雪とかのイメージがあるし」

「白ねー。いい線いってるけど惜しいねえ」

「惜しいってなんだよ」


 ヨシノは呆れた表情で返し、宿題を黙々と続けようとする。

 しかし、一方のコトノはすでに筆箱をしまおうとしていた。


「おい、ちゃんとやれ。あとで写すとかはやめてよ」

「あたしは冬は灰色だと思うのよ」

「灰色? なんで?」

「冬の寒さってなんかどんよりしてんじゃん。あと、告白して振られたときの空の色がまさにそんな感じだった」

「あー……」


 去年の冬、コトノは一つ年上の先輩に想いを打ち明けた。しかしその先輩はすでに別の高校で付き合っている彼女がいて、考える間もなく速攻でお断りされてしまった。

 直後にヨシノが慰めていたのだが、たしかにあのときの空は切なくて儚げだった。


「コトは白、あたしは灰、これはもう一人の意見が欲しいとこだね」

「おいおいスマホ出すなよ、一応校内持ち込み禁止なんだからさ」


 スマホの禁止持ち込みはあくまでも建前である。校内での利用も暗黙の了解だが、授業中の使用や休み時間に熱中していじる場合は没収されてしまう。

 いまは放課後だから、先生によってはお咎めではある。


「ホシノ先輩に聞いてみた! 先輩は何色ですかって?」

「なんか下着の色聞いてるみたいだな……」


 数分と経たず、ホシノ先輩から返信が届く。


「黄色……?」

「本当に下着の色答えたんじゃないの?」

「んなわけあるかーい、ちゃんと冬を色で例えるなら何色って聞いたよう」

「理由とか添えてないの?」

「んー……お、丁度理由も送信してくれたよ」


 正直、コトノもヨシノもピンときていない。なぜ冬のイメージカラーは黄色なのだろう。

 先に理由を読んだコトノは、ほほーんと感心するようにうなずいた。


「なになに、教えてよ」

「三百円」

「三百回殴ってやろうか」


 拳が本気で飛んでくる前に、コトノはすぐさま理由を読み上げた。


「えっとね、冬は黄色い花がたくさん咲いて、どれも奇麗で好きだからだって」

「……オシャレな理由」


 人には様々な考えがある。三人いずれも別々の答えに、ヨシノは笑った。


「ね、また違う人に聞いてみようよ。もしかしたらまた違う色が出てくるかもしれない」

「いいねいいね、じゃ今度はアキノ先生に聞いてみようよっ。いまなら美術室にいると思う」

「おし、いこう!」


 二人揃って宿題そっちのけとなり、放課後は過ぎていくのだった。

黄色のあたりで15分オーバー。

ちょっと青春。

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