1.腐った殺し屋
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:腐った殺し屋
「嫌だ、やめて、やめてくれえ!!」
こうして断末魔を聞くのも何度目、いや何百度目だろうか。命乞いも抵抗も関係なしに、私は今日も惨殺する。
人を殺すことには慣れている。慣れすぎてしまった故か、なにも感じられなくなっていた。
こうなってしまったのはいつからだろう。もう覚えていない。
そもそも私はいったい何者なのだろうか。
「やっと見つけたぞ、お前が殺したんだな!」
銃口を私に向け、恨みのこもった表情で私を睨んでいる男の姿があった。
「お前のせいで、妹も父さんも母さんも、みんな殺されていった! 俺たちがなにをしたっていうんだよくそったれ!!」
男の叫びが無駄に響く。どうやら私が男の知り合いを殺してしまったようだ。
だが、だからどうしたというのだ? 誰が死のうが生きようが、誰を殺そうが私には関係のないこと。
私は、私の思うがままに殺戮を繰り返す。
愉悦のため? 快楽のため? 生きるため?
わからない。
なにもわからない。
ただ人がいるから殺すだけ。それだけだった。
「……くらえってめえなんか死んでしまえ!!」
発砲音が響き渡り、鉛玉が何発も私の体を貫いた。
しかし、私は一切動じない。私には何ら関係のない攻撃だったのだ。
「っくそ……なんで、なんなんだよてめぇは!!」
ほとんど無傷である私を見てか、いまにも泣き崩れそうな男だったが。
「ちくしょおおおおおお!!」
ついには男自らが飛びかかり、私を殴り殺そうとした。
それも無駄なことだというのに。
私は躊躇いもなく男の肩をまず貪り、やがて悲鳴が無くなるまで全てを食らいつくした。
人を殺して食べると、少しだけ記憶が蘇る。
そうだ、それがとても懐かしくて嬉しかったから、私は人を殺しているんだ。
かつて私が人間だった頃の思い出が、いまはもう色あせていく。
既に私は人間ではなかったのだ。それを思い出してしまった。
体は腐り、弾丸を受けても痛みを感じずに生きていく。
私を殺せるのは、特殊な力を持つものだけ。それまではただ、人を殺し続けよう。
それが私、ゾンビとしての生き方なのだから。
今日も腐った殺し屋は、街を徘徊する。
オチとしてはインパクト弱すぎる。
そして私の知るソンビは銃でバリバリ撃ち殺されてます。