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黒に堕ちる  作者: 碾貽 恆晟
本編
4/13

第弐話






 ふと、そんな平穏なあの頃の生活を思い出した。


 今でも、僕が鏡や写真の自分をを見ようが、自分のイメージカラーは見えない。


 けれど、僕のイメージカラーは絶対に透明ではないことは判っている。


 もしも、僕と同じように他人のイメージカラーを頭に思い浮かべることができる人が僕を見たら僕のイメージカラーは黒に近いだろう。


 これが大人になるっていうことなのかもしれない。


 そう、”大人”になるっていうことが、”知らなくてもいいこと”を知るってことなら僕は立派な”大人”だろう。


 だからだろうか、僕は昔とは違って、イメージカラー以外のものが見えるようになった。


 なんてことはない、その人がどのくらい暗いところに足を突っ込んでいるかってことさ。


 犯罪を犯したことのある人は、足元が黒く。したことが人道的に悪ければ悪いほど黒に近くなる。


 普通の人は大体が灰色。少なくとも犯罪には手を出してないってことだから。


 けど、その中に本当にたまにだけど、足元が白い人がいる。特に子供が多いい。


 お分かりだろうか?


 白が象徴するのは正義、清楚、純真、無垢だろう。


 黒を白に対応させるとすれば不義、濃艶、不純、煩悩となる。


 その間の、なんでもない人たちが灰色というわけだ。


 僕はみんなから見てどう見えるだろうか?


 言われなくてもわかっている。


 答えは黒色だってことぐらい。


 何故そうなったのかってことは簡単に答えられる。


 それは”あの時”からだと、断言できる。


 あの時、あの瞬間。


 僕が過去に僕は元に戻ることのできない白、灰色、黒の間に引かれた境界線を跨いだのだ。


 たとえ戻れたとしても元の”僕”には戻ることのできない境界を。


 後悔はしている。


 けれど、変える事が出来ない事ぐらい誰にだって解るだろう。


 それこそ、過去に行ける力、方法が確立でもされない限り。


 まぁ、たとえ確立されたところで僕自身が得た力でもない限り、僕にその方法を使う権利は回って来ないだろうけど。


 使う権利がもらえても使う気はないけど。


 僕は立ち上がって机の上に置いてある小棚を開けて鍵を取り出す。


 机の上に錯乱しているカップラーメンの容器、横倒しになったラジオ、走り書きをした紙、芯のなくなったボールペンやらの中から財布を引っ張り出してズボンのポケットに突っ込む。


 部屋から出て、家の玄関の扉を開ける。


 空を見上げると、月は薄雲に旨く掛かっておらず、月光が薄雲を照らし、なんとも言えない情景を作っていた。


 扉を閉め、鍵を掛け、これもズボンのポケットに捻じ込む。


 2つほど扉を横切ってから階段を降りた。


 住宅街の静寂と冷たい月の光が家々や道路に降り注ぐ風景はどこか心地よかった。






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