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パーティーから追放されたので仕返しします

 ここは、魔王討伐を目標に、レベル上げに勤しむ冒険者たちが集う酒場。ダンジョンから戻ってきたパーティーが戦利品を横目に自慢話で、盛り上がっている。


 その中の、とあるー組のパーティーが声を荒げていた。


「おい。ユウト。やっぱり貴様のようなお荷物は俺らのパーティーにはいらない。出ていけ!」

「はっ? いきなりなに言ってんの? 正気か?」

「当たり前だ。モンスターとは戦わないで、ただ呆然と後ろから見ているだけじゃないか」

「それは、後方支援しているからだ! 状況に応じて付与魔法を使っているだろ!」

 ユウトは、荷物扱いされた上に、理不尽な言いがかりに苛立ち、反論する。

「あぁ? 知らねえな。それに付与って言っても大した効果ねえだろ。やっぱ、エンチャンターってダメだな」

「ふざけんな。そっちから誘ってきたんだろうが!」

 ユウトは怒り、反論する。

「まぁ、パーティーには必須だって聞いたからよ。でもよう、あんま役に立ってなくね?」

「エンチャンターをバカするんじゃねぇよ! なったこともないくせに、いらねえとか言うなよ。エンチャンター全員に謝れ!」

 ユウトは更に激怒する。

「貴様以外のエンチャンターには謝ってやるよ! じゃな、お荷物」

 そう言い残して、ユウトと一緒にいたパーティーはいなくなる。

「くそったれ、今に見てろよ。って見世物じゃねえぞ! 何見てんだよ!」


 エンチャンター。

 それは、サポートに特化した唯一の職業であり、バフとデバフを使いこなす。

 その特性上から、攻撃をする魔法が一切習得することは出来ない。得られるスキルは、HPを減少を防ぐバリアを張ったり、MP消費を抑える魔法使用したり。

 それぞれのモンスターが弱点とする属性の魔法を付与したり、アイテムの管理など、縁の下の力持ちで、裏方に徹した職業だ。

  パーティーに一人は必ずほしい職業でもあり、最前線で戦うパーティーには必須とされている。だが、扱いが非常に困難であり、道のりが険しいため、好んでこの職業になる人は少ない。追放された彼もまた、その道を歩んでいる最中だった。

 「ふざけやがって、あいつら。後悔させてやる! エンチャンターをバカにしやがって!」


 ユウトを追放してから、一ヶ月が過ぎようしていた。

 ユウトを追放したパーティーは、ダンジョン攻略に来ていた。

「ようし、今日も順調だな。次の階も行くぞ」

「ちょっと待ってリーダー。もう、MPがそんなに残ってなくて魔法が使えない」

「は? まだまだ余裕だろ?」

「あぁ。いつも通りに魔法を使っただけなんだけど。MPの減りが早い気がするんだ」

 マジシャンは理由をリーダーに話す。

 すると、他のメンバーも同様に、いつも通りの行動しているはずなのに、思うように行かないと主張する。

「そういや、俺もそんな感じがしなくもないか······まさか、な?」

 リーダーも疑問を抱くようになる。

「なぁ、リーダー。やっぱりあのエンチャンターって、必要なんじゃ?」

「アイテムもこれ以上は持てないよ」

 次々とパーティーメンバーから不満の声があがる。


 以前とは比べ物にならないほどに、攻略が困難になっていた。


「っち、仕方がない。一旦、酒場に戻るぞ」

 全会一致で、酒場へと戻ってきた。

 しかし、パーティーメンバーは少しきまずそうにする。その視線の先には、追放したユウトの姿があり、リーダーはその近くまで寄ると話しかけた。

「よ、よう。元気か?」

「どうでいいだろう、そんなこと」

「お前がいなくなってから、ダンジョンの攻略に手こずることもあってよ」

「知らねぇよ。完全に頭に来たから、俺たちエンチャンターは、今後お前のパーティーに属さないと決めたから。因みに、全会一致な」

「はっ?」

 すると、ユウトは一枚の紙をリーダーに見せた。


 金輪際。

 あなた方のパーティーに、いかなる理由があろうとも一緒に行動することはなく、支援も一切しないこととします。 エンチャンター同盟一同。


「は?」

「仲間のエンチャンターに話したら、みんな怒ってよ。価値を見いだせない奴らとは一緒に行動しないだとよ。良かったじゃねぇか、望みがかなって。お荷物、なんだろ?」

「え、いや。それだと効率が······」

「お荷物がいない方が、効率がいいと思うけどな」

 ユウトは席を立ち、酒場を出た。


 その後。

 酒場での一件が火だねとなり、エンチャンターを荷物扱いにしたパーティーは、ダンジョン攻略が思い通りにいかずに苦しみ、エンチャンターからの信頼も失い、酒場でも居場所を失い、二度と酒場に姿を現すことはなかった。

数ある作品から私の小説を読んでいただき、ありがとうございます。

ご愛読、ありがとうございました。

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