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出来るだけリアルな異世界転生  作者: しっじー
2/2

殺人への姿勢

僕と菅は教室に戻った。

クラスメイトたちは様子は様々だった。

笑っている者。

泣いている者。

怒っている者。

茫然としている者。

冷静な者。

おおむね、充実した生活を送っていたものは、陰鬱に、そうでないものは歓喜に、見事に反応が分かれている。

とりあえず菅と狩野と僕で少し話した。


一番パニックになっていたのは狩野だ。

寝ている間に起こった事を全く把握していない。神にも大した質問ができず(神からの語りかけを、自分の見ている夢だと勘違いしていた)人に聞こうにも、皆精一杯だから狩野に構ってくれるはずもない。

完全に状況から取り残されていた。

しょうがないから菅と僕とで、一部始終を説明してあげる。

「あのきしょい声って本当に神様だったのかよ。だったら宝くじの当選番号でも聞いときゃよかった」

しばらく3人で話したあと、僕は考えを整理するために、トイレに駆け込んだ。  



僕は決断しなければならない。行動の指針を。

指針がなければ、選択に迷いが生じる。その迷いは間違いなく不利益を生じるだろう。


この世界で生きるというのがどれほど難しいのか、判明していないから、なんとも言えない。

神の言いようからして、間違いなく命の危険があるのは確かだ。

僕は他人の命を背負えるほど強いのだろうか。

否。神も言ったように僕は特別ではない。主人公ではないのだ。

あくまでも僕は一人のプレイヤーで、生きるのに必死であるべきだ。

優先すべきは自分の命。

別に命が惜しいわけじゃない。一度死んでいるから。勿論、死んだ実感はないので信じられないのだが、僕は死を経て倫理的に成長していると思う。

死そのものへの恐怖は薄らいでいる。

むしろ、せっかくの楽しい世界から離れるのが耐えられないのだ。


当面の目標はこの世界について情報を集めること。

情報量はそのまま生存に繋がる。


そう考えると神を質問攻めにしたのは大きな意味を持つのではないか。

他の人間と比べて僕は幾分かアドバンテージをもっている。


用を足した後何気なく水を流した。

当たり前すぎて気づかなかったが、水が流れている。この校舎はインフラから完全に孤立しているはずだ。恐らく、神の力かあるいは別の何かがここに水ど電気を供給しているのだろう。この際誰が、どうやってやっているのかはどうでもよくて、水と電気が流れるという事実が重要だ。

食料は供給されるのだろうか。調べる必要がある。

どちらにせよ学校がしばらくの拠点になることは確実だろう。


それから、ステータスのことだ。

僕はポケットの中に入った鈍い赤色をしたビー玉のようなものを握った。脳に情報が流れてくる。


体力  55.1

魔力  52.0

筋力  65.2

防御力 69.3

素早さ 58.9

知力 45.0

運 451  


職業 オチャムライ

技能 妄想



残念ながらステータスについて一喜一憂することができない。比較対象がいないからなんとも言えないのだ。職業オチャムライを見るに、前世での能力が反映されていると言っていい。僕は剣道部だった。職業は能力にとって重要な項目なのだろう。

オチャムライという字面が剣道をバカにしているのと、知力が低いのが癪に触る。

レベルの記載がされていないことから、

本来この世界はゲームのようなすべてが数値化されているような構造になっていない。

ここに記載されているステータスは、体力テストのスコアみたいなものだと推測できる。

他人と自分とを比べなければならない。自分がわがままを突き通せる人間なのかを把握せねば。



ステータスについて気になる点がもう一つある。

神は能力を上げる方法について、体を鍛え、生物を殺傷すれば良いと言っていた。つまり、言い換えると、殺傷することは鍛錬とは別の効果を持つのだ。

殺傷を通して肉体を鍛えるのではなく、殺傷によって肉体の強化とは別に能力が上がるのだ。

もし、人間を殺す事で能力が受け継がれるのなら。

これは非常に重要な問題である。これに生徒たちが気づいた上で殺人が行われれば、校内は疑心暗鬼で大混乱に陥るだろう。


僕は快楽主義者だ。故に個人の幸せを追いもとめる上で倫理を毛嫌いする。

端的に言うと、もし殺人によって僕の生存率が高まるのであれば、積極的に殺していこうと思う。

僕は人の命というものを神聖化していない。

徹底的に現実を見ている。

それゆえに僕は、自分の利益と、他人の命を天秤にかけられる。

その苦楽の天秤にどこまでも忠実なのだ。

僕は殺人を好ましく思っているわけでは無い。ただ僕なりの倫理観から、殺人へのハードルが低いのだ。殺人をタブー視していないだけなのだ。そういう自分が悪人だとも思わない。自分にとって価値が無い人間が何人死のうがどうでもいいという感情を、

僕は正直に受け入れているだけなのだから。


兎にも角にもまずは情報を集めることが大切だ。

僕はひとしきり考えたのち、購買と剣道場へ向かった。


殺人の加害者の信条と心情は細かく描くべきだと思う。

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