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83、色々と買い足した。

 



 バウンティが無事退院して、お祝いにと食事に行く事になった。時間が少し早かったので家電量販店で買い物をしたりして時間を潰した。


『なぁ、明日には帰るだろ?』

「バウンティ、数日は自宅療養だって言われたでしょ? 暫くはこっちにいて? 何かあった時、すぐに対応できるから。ね?」

『アステルとイオは? 寂しがってないか?』


 自分の事を心配して欲しい。


「大丈夫だよ。王城で楽しそうだし、アダムさんも側にいてくれてるから」

『ん? アダム、王都の近くにいたのか?』

「うん、らしいよ。事件聞き付けて王城に来たんだって。今は二人の遊び相手になってくれてるよ」

『ふっ。また髭引っ張られてるんだろうな』

「その反応って事は……アダムさんは犯人じゃないね。安心、安心」

『ちっ、しつこいな!』


 こっちの台詞だ。この攻防戦はいつまで続くのやら。

 買い物を終わらせ、ご飯屋さんに向かった。


「バウンティくん、着いたよー。モリモリ食べなよ!?」

『ん!』


 お祝いの食事はお鍋屋さんにした。バウンティ、鍋大好きだし。私はモリモリと豆腐とか野菜が食べたい。もちろんお肉も。

 二時間食べ放題のコースにした。


『ん……美味い! このタレはピリッとして好きだ。カナタのは何であんなに辛いんだよ? これぐらいにしてくれよ』

「バウンティくん、何て?」


 私のタレが辛すぎると苦情を受けていると説明したら笑われた。ゴマダレにチリソースをちょこっと入れただけなのに、ピリ辛だなんて。甘々なお子ちゃまめ!


「おっ、葉子が夜ウチに顔出すってよ。あ、バウンティくん、写真とるよ?」

『ん』


 かぁさんがスマホで写真を撮りながら教えてくれた。何用の写真か聞いたら葉子に送る用だそうだ。そして送ると素早く返事が返ってきた。


「『ぶわっ、本当に存在してる! 奏多と並ぶと巨人と蟻!』だってさ」


 ――――蟻って。まぁ、葉子だし仕方無い。


『カナタ、お肉追加して?』

「はいはい。つみれは?」

『食べる! あ、シラタキも!』


 バウンティが今回初めて食べた物では、白滝が気に入ったらしい。妙に安上がりなヤツだった。


『はぁ、美味いな。ヤムチャも美味い! ショーロンポー、凄く好きだ!』

「餃子とまたちょっと違うよねー。熱くて火傷しそうだから子供には出せないんだよね」


 かぶり付くとプチッ、ジュワッ、とスープが溢れてくるのだ。ハフハフしながら食べた。


「デザートは何にしようかなぁ」

『鍋はもういらないのか?』

「私はね。バウンティは食べてて大丈夫だよ?」

『ん!』


 ニコニコと時間いっぱいまで食べ続けていた。


「さ、帰ろうか。どこか寄りたい所はあるかい?」

「うーん、私は大丈夫かなぁ」

「バウンティくんは?」

『んー。俺も今は大丈夫だ』


 という事でご飯の後は真っ直ぐ家に帰ろうとしたが、かぁさんがコンビニに寄りたいと言ったので皆でコンビニ探検。


『スポーツドリンク!』


 バウンティのお気に入りになったスポーツドリンクを指差している。欲しいのだろう。


「一本でいいの?」

『何本もいいのか?』

「今日飲む分くらいで考えたら?」

『ん!』


 二本取ってカゴに入れてきた。かぁさんがせんべいをガン見している。


「好きだねぇ」

「歯応えがねぇ。止められないんだよね」


 とーさんはアイスコーナーを見ていた。


「新作は氷菓かぁ。あ、洋ナシ味だ! 私、お風呂上がりはコレにする!」

「んー、僕はバニラかな」

「バウンティはアイスいる?」

『ん、パインのあるか? ユズでもいいぞ?』


 パインの輪切りの形のアイスがあったのでそれにした。かぁさんはせんべいを食べるからアイスは無しだそうだ。どうせとーさんのを横取りするのだろうけど。葉子はチョコ味でいい。




 家に帰り、荷物を車から下ろし、リビングに置く。バウンティの服などを部屋に持って行くついでに家を案内する。


「で、ここが私の部屋だよ」

『スーッ……ハァ。ん、カナタの匂いがする』


 どういう嗅覚だ。消臭スプレーをメチャメチャ振ったけど? え? 臭いのかと不安になり自分の臭いを嗅いでみる。解らない。


『何してるんだ?』

「カナタ臭をね、ちょっと確認してました」


 バウンティがケタケタ笑いながら私をベッドに座らせる。当たり前のように覆い被さって来たので慌てて逃げた。


『カナタ、逃げないでくれよ』

「元気にならないとご褒美はあげないの! まだ不完全でしょ!?」

『……ハァ。ん、ちゃんと治す』


 バウンティがベッドに腰掛け辺りを見回している。どうしたのか聞くと、部屋が何か可愛いと言われた。ちょっと嬉しい。

 

「奏多ー、お風呂の準備出来たよー。バウンティくんに入り方教えてあげなよー?」

「はーい」


 着替えを持ち、一階のお風呂に案内する。


「ここで脱いで、中に入って、シャワーはここで強弱、ここで温度ね」

『ん』

「これがシャンプー、リンス、ボディーソープだよ。上がったら、ここのタオル使っていいよ。終わったら呼んでねー」


 脱衣所から出ようとしたら引き留められた。


『一緒に……』

「狭いからやだよ」

『……ハイ』


 全く。甘えられるの……大好きだけど! 今じゃないのだよ。

 バウンティはいつもの如くカラスの行水だった。


『カナタ、パンツ? 何か……ミョンミョンしてる』


 素っ裸でボクサーパンツをグイッと差し出された。タオルとかで前を隠せよ。

 穿き方を説明する。いや、解るんだろうけど。


()()どこに……太股のトコ閉まってるぞ!』


 言いたい事は解った。真ん中の膨らみの所に収納しなさいと言うとモゾモゾモジモジ暫くやっていた。


『ん、ん。何か納まった! ん、何か……変な感じだけど、ちょっと落ち着く』

「おっ、カッコイイねぇ。何か……うん、良い」


 思った通り、格好良かったので褒めると満更でもなさそうにニヤリとしていた。服を着させて洗面台のイスに座らせる。

 バウンティの後ろに立ちドライヤーで頭を乾かしてあげる。


『ん、これがドライヤーか。結構煩いな!?』

「あー、うん。でも、早く乾くんだよ」


 十分ほどで完璧に乾いたので終わりだと言うと、頭を触ってビックリしていた。


『完全に乾いてるじゃないか……』

「えっ? うん」

『いつも、シットリくらいで終わりだろ? ドライヤーって凄いじゃないか、暖かいし! 何でこの前持って帰って来なかったんだよ』


 それは、食べ物ばっかりに気を取られていたからだけど、癪なので何も言わない。


「だから今日買ったじゃん? ちゃんとカリメアさんの分も!」

『ん。カリメア喜ぶだろうな』


 バウンティってカリメアさんの事、結構理解している。


「やっぱ、お母さんなんだねぇ」


 ――――チュッ。


 何だか可愛くて後頭部にキスをしたら口にしろと怒られた。無視して私もお風呂に入る。が、バウンティが脱衣所から出て行かない。どうにか追い出して平和にお風呂を済ませた。

 お風呂から上がったらアイスタイム。パインの輪切り風のアイスは切ってお皿に盛り付けてから渡した。


『ん、これ美味い!』

「良かったねぇ。はい、洋梨味だよ」

『ん、そっちも美味い。でもパインの方が美味い!』


 相変わらずぶれない。


「こんばんはー。あ、私にも一口!」


 葉子が家に入ってくるなりパカーンと口を開けたので一匙分あげた。

 

「うんまい! 今度買おう。あ、バウンティ……さん、大丈夫? 一応、はじめまして?」

「――――だって。葉子だよ」

『ん、ハジメマシテ。呼び捨てで構わない』


 バウンティがちょっとだけ笑っていた。珍しい。

 そして、葉子と私は戻って来るのが早すぎだと笑い合った。わりと一生の別れ風に挨拶していた気がしなくもない。


「またしばらくいるの?」

「うーん。二、三日で帰ると思う」


 これ以上子供達を放置出来ない。本当はこっちに連れて来たかったけど、体調がどれだけ崩れるか判らないので怖くて出来なかった。

 それから暫くしてとーさんがお風呂から上がり、かぁさんにアイスを奪われつつも食べていた。


「ごめんね、明日は仕事だから、僕はもう寝るよ」

「ほーい、お休みー」

「おやすみなさーい」


 かぁさんは寝ないらしい。どうやら深夜番組をガッツリ見るらしい。葉子は帰るそうなので玄関で見送った。


「明日の夜まではいてよ?」

「うん、何で?」

「良いモノ持って来てあげるから!」

「りょーかーい」


 何だか解らないがちょっと楽しみだ。鼻歌を歌いながら、かぁさんにおやすみを言ってバウンティと二人で二階の部屋に上がった。




「どうする? ベッド狭いなら私、下に布団敷くけど」

『一緒に寝る』

「ふーん。大人しく寝てね?」

『……ん』


 ちょっと暑いが、抱き締めて寝たいらしい。仕方無いので我慢した。たぶん、明日は汗びっしょりな気がする。




 ドライヤー大切!

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