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73、下準備は完了

 



 ミラさん、マイヤさん、エズメリーダさんと私でお料理チャレンジ中。

 サラダと副菜作りに取りかかる。

 サラダは簡単だ。レタスとベビーリーフを洗い、適当な大きさにちぎる。フリードさんに渡された生ハムは少し小さめにちぎる。

 ボウルにオリーブオイル、レモンの搾り汁、砂糖、塩、ブラックペッパーを入れフォークで混ぜる。


「はい、サラダは完成です」

「あら、サラダってとても簡単なのね」

「ドレッシングも簡単なのですね! 混ぜるだけだとは思いませんでしたわ」


 モノによりけりだが、ドレッシングはほとんど混ぜるだけだ。子供に手伝わせる時に丁度良い。


「さて、次はきのこの炒め物ですが、フリードさんが既に切っていたので、炒めるだけです!」

「いやー、すみません。使うつもりで下拵えしちゃってたもので」


 材料を用意している時に使っていいと渡された。使わないならスープにでも入れようかなくらいの感じらしい。ならば炒め物にしたい。

 ちなみにスープまでは手が回らないので、フリードさんがチャチャッと横で作っていた。


「きのこは、マッシュルームと、ヒラタケとシメジです。これをペペロンチーノ風にします」


 フライパンにオリーブオイルをたっぷり入れ粗く潰したニンニクと鷹の爪をぶちぶちっとちぎって入れ、強火を点ける。


「雑ね」

「いいんですよ。油に匂いを付けてるだけなんで」

「あら、良い香りがしてきましたわ!」


 ニンニクの回りのオリーブオイルがチリチリと小さな泡を出し始めると、ニンニクが一気に焦げる。そうならないように見極めつつ、強火のままキノコを投入。ヘラで炒める。炒め物にも段々慣れてきたのか三人の手付きや気持ちに余裕が出来てきたようだ。


「あぁ、この匂いは駄目ですわね。お腹が減って来ましたわ」

「解りますわ! あれだけたこ焼きを食べましたのにね?」

「カナタ、しんなりとしたら塩コショウよね?」

「はい。仕上げはエズメリーダさんがお願いしますね」


 お皿の上にフライパンを持って行こうとしたが、エズメリーダさんの腕がプルプルしていたので慌ててお皿をコンロの横に置いた。


「何でこんなに重いのよ!」

「重いですか? 王女って非力なの?」


 ミラさんもマイヤさんも重いと感じていたらしい。普通のちょっと重いフライパンなんだけど。ちょっとは重いけど、中華鍋程では無いし。


「カナタ様は軽々と持っていらっしゃいましたわね」

「慣れ?」


 ふと中華鍋を思い出したせいでいろんな中華料理を思い出してしまった。


 ――――エビチリ今度作ろう。


「さて……あら、五時ですね。そろそろご飯を炊きましょう」


 お米を五合用意し三等分にしてそれぞれに渡す。洗ってからまた合体させる事にした。

 ジャッジャッジャッと小気味良い音を鳴らしながら三人がお米を洗う。終わったら土鍋に入れ炊き始める。


「さぁて、ここからはガンガン作業していきますよ!」


 先ずオーブンを二百度に暖めておく。

 先ずは焼き色を付ける作業。フライパン二つに油をひき、火を点ける。ハンバーグをソッと入れて中火で暫く焼く。ハンバーグの回りが赤い生肉の色から薄い茶色に変わってきたら、フライ返しでひっくり返していく。裏側にも焼き色を付けたらオーブン用の鉄板にクッキングシートを敷きハンバーグを並べていく。

 フライパンで蒸し焼きでも良いのだが、時間を有効に使う為、今回はオーブンで仕上げ焼き。


「残りのハンバーグも焼きましょう」


 二回目も焼き終わった所で、フライパンに残っていた肉汁を集める。


「それをどうしますの?」

「これでソースを作ります!」


 温めた油と肉汁にケチャップを入れて良く混ぜる。中濃ソース、赤ワイン、ハチミツを入れて良く混ぜたら一煮立ちさせて完成。

 どうやら焼いた後の汁などを使う事を知らなかったようで、三人とも衝撃を受けていた。エズメリーダさんにいたっては「ゴミでしょう?」とまで言っていた。味見をさせたら三人とも慌ててメモをとっていた。


「我が家で食べるハンバーグのソースより美味しいですわ」

「自分達で作ると美味しく感じますし」

「いえ! 明らかにこちらが美味しいですわよ!」


 皆、ソースの作り方など変わらないだろうと思っていたら、フリードさんから衝撃の事実を告げられた。

 どうやらハンバーグのソースは出来合いのものを買っているらしい。


「売ってるんだ?」

「はい。商店でメイドなどが買っているのを良く見掛けますので。結構な数の所が出来合いのソースを温めたり、少し手を加えたりして作っていると思いますよ」


 なるほど。既存のソースに手を加えるんなら解る。私も良くやるし。そのまんまはシェフとしてどうなんだろうか。まぁ、他所様の所の事は放置で。


「さて、ここからは時間との勝負……しなくても良いんですけど、温かいのを食べて欲しいので、皆の様子を見に行きましょう。もうご飯を食べるのであれば作ります。もちょっと先で良いのならちょっと休憩です」


 メイドさんから子供達と男性陣は帰って来ていると報告は受けていたので、皆でサロンに様子を見に行く。




「お帰りー。いっぱい遊んできた…………生きてます?」


 ブルーノさんとダニエレくんがグッタリとしていた。バウンティはしゃんとしている。


「おとうさまは、あさってがこわいそうです!」

「おにいさまは、あしたがこわいそうですわ!」


 フィリップくんとミレーヌちゃんが不思議そうな顔で報告してくれた。バウンティはどっちも怖くないと言ったそうだ。年齢的な問題と体力バカの問題だろう。


「それは……子供には解らない恐怖だねぇ。バウンティは例外だから無視でいいよ!」

「公園に行く度に、あのような事をしているとは……賞金稼ぎの上位の凄さを思い知りました」


 ブルーノさんがウンウンと唸っていた。何をしたのかと聞いたら、いつものごとく鬼ごっこと、かけっこと、かくれんぼだそうだ。


「まぁ! ミレーヌ! なぜそのように汚れているのです!?」

「あー、予想通りですね。ミレーヌちゃん着替えさせてて良かった」


 可愛いフリフリのワンピースを着ていたので、アステルの服を貸していた。結構砂まみれなったのだろう、服があちこち茶色くなっていた。ミラさんは洋服を弁償すると言い出したが、いつもの量販店の服だ。気にしないで欲しい。


「良いんですよ、普段着は汚したら洗う。ドレスは汚さない! なんです!」

「ミラママ、だいじょうぶ。ママね、『あらってください!』っていったら、あたまナデナデして、ほめてくれるんだよ!」


 うむ。ちゃんと汚したと申告するのは良い子なのだ。汚して直ぐ洗えば大概の汚れは取れるのだ。

 

「で、ミレーヌちゃんは何やったの?」

「きにのぼりましたわ!」

「おぉ。登っちゃったのかぁ」

「ぼくものぼったよ!」

「おぉ、そうかそうか。怪我はしてないね?」

「「うん!」」


 ならば良い。だがしかぁし、大人がいない所ではやったら駄目だと言うと、バウンティからの脅しも既に受けていたらしい。


「やくそく、やぶったら、デコピン! いたい! こわい!」

「デコピン? 怖いかなぁ?」

「アレは背筋が寒くなりましたな」

「はい。約束は絶対に守らないとと心底思いましたね」


 ブルーノさんとダニエレくんが妙に意気投合している。何なんだと聞いたら、木にデコピンのデモンストレーションをしたら穴がほげたそうだ。


 ――――怖ぇえな、オイ!


「…………それは、さて置き!」

「スルーかよ!」


 スルーするよ。木に穴ほげる意味が解んないし。


「夜ご飯はどうします? 運動してペコペコになった?」

「なったー!」

「きょうは、なに?」

「今日はねぇ、オムライスとハンバーグがメインだよ」 


 アステルとイオがキャッキャと喜んでいる。バウンティがチョイ笑いしてるのでオムライスが嬉しかったんだろう。私達家族以外がオムライスにキョトンだ。


「おてつだいするー!」

「んじゃ、手洗っといで」

「「はーい!」」


 アステルがフィリップくんの手を、イオがミレーヌちゃんの手を掴んで手を洗いに走って行った。


「男性陣も見学どーぞ? 手、洗って下さいね!」


 さて、ギュウギュウのキッチンで仕上げ作業だ。




 流石にスープまでは手が回らない。


次話も明日0時に公開です。

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