72、お料理チャレンジ
エズメリーダさん、ミラさん、マイヤさんと私でお料理チャレンジ大会開始。監修というか監視はフリードさん。
「男性も子供も大好き、オムライスとハンバーク、その他もろもろ作りましょう!」
「はい。……オムライス? 諸々?」
取り敢えず、キッチンに行き三人に手洗いをしてもらっている内に、フリードさんとざっくり打ち合わせ。
「――――で、新鮮な卵あります?」
「はい、大丈夫ですよー」
「んじゃ、材料もらいます」
「あ、これも使ってもらえます?」
「お、なに作ろうかなぁ……」
話しながら材料をホイホイと選んで作業台に置いていく。
「まぁ、こんなに色々と使いますの?」
マイヤさんが材料を見てキョトンとしている。そんなに大量に出しても無いのだが。
先ずは玉ねぎ剥き。全員に一個ずつ渡して剥き方から説明していく。
「あらあらあら、ぺりっと捲れましたわ」
「カナタ……何で教えたのと違う剥き方をしてるのよ?」
皆にはバナナを剥くような方法で教えたが、私はリンゴの皮剥きのようにしていた。
基本と応用だと話すと応用の方が楽しいと怒られた。基本を押さえてからの応用だと丸め込んだ。
「玉ねぎを剥き終わったら、次はニンジンの皮剥きです」
ナイフでするのは危険なのでピーラーを使う。ホーネストさんに家から持って来てもらった。子供達用にと三個持っていたので丁度良かった。
ピーマンは半分に切って渡し、種を出してもらう。
ここからはドキドキの包丁使用だ。フリードさんとしっかり監視しないと危ない。
「先ず、包丁は右手で持ちます。柄を中指、薬指、小指の三本で握り、親指と人差し指は刃物の峰近くを両側から支えるように持つ! 左手は猫の手!」
右手に包丁を持ち、左手はパーをした後に指を内側に折り曲げて見せる。
先ずは一番簡単なピーマンを切ってもらおう。
「細切り……このくらい、五ミリ以下の幅で細く切って下さい」
少し切って見せて皆にさせてみる。
ミラさんとマイヤさんは恐る恐る包丁を使っていた。トン……、トン……、とゆっくりではあるが綺麗に切れている。
「そうそう、上手ですよー」
「ふぅ……切れましたわ」
「何だかドキドキしましたわぁ!」
「エズメリーダさん、手元?」
「はい!」
返事は良い。エズメリーダさんがスタンスタンと軽快にピーマンを切って行く。結構怖い。私の心配を余所に綺麗にちゃんと切れていた。
「おおっ。上手! 次は細切りを横に向けて、みじん切りにしていきます」
「はい!」
ミラさんまで良い返事をしだした。ミラさんはゆっくり着実に。マイヤさんは刃物に慣れてきたのか、少しだけペースアップしていた。
エズメリーダさんは相変わらず早い。見ているこっちがドキドキだ。
「皆さんとても上手に出来てます! 次はニンジン、そして最難関玉ねぎと鶏肉を切りましょう!」
「「はい!」」
ニンジンもみじん切りに。玉ねぎもみじん切り。全員でスプーンをくわえて、ちょっとアホみたいで笑えた。
「間抜けですわ! もっと良い方法は無いんですの? フリードは何か知っていて?」
「私は慣れたので平気ですが、鼻で息をしないと多少平気だとは思いますが……多分ボロ泣きになりますよ?」
チャレンジしても良いが、化粧が崩れると伝えたら大人しくなった。
みじん切りが終わったら、鶏肉を細かく切るのだが、ニチョニチョとした生肉の手触りが苦手だと言う人は多い。先に注意してから触らせた。多少ゴタッとはしたが概ね大丈夫だった。ここで切る作業は一旦終了。次は炒める作業だ。
先ずはバターで玉ねぎを炒める。
「弱火でゆーっくりゆっくり炒めて、しんなりしたらニンジンとピーマンを加えます」
順繰りに炒める作業を体験していく。全部に火が通りしんなりしたら、オムライス用とハンバーグ用に分ける。
「えー、ここで、パン粉に牛乳を掛けて放置します。コレは後でハンバーグに使います」
そして、ハンバーグ用の玉ねぎ等を冷ます間にオムライス用の具を作る。
フライパンにバターを敷き、鶏肉を炒める。ちょっとパリッとさせたら玉ねぎ等と合わせる。ケチャップ、塩コショウ、砂糖、コンソメ顆粒で味付けをして一旦終了。
「コレは後で使うので放置します」
「さっきも玉ねぎを放置したじゃない。パン粉も放置して。何個放置するのよ」
「エズメリーダさん、料理は同時進行が大切なんです!」
ミラさんとマイヤさんがフンフン言いながらメモをとっていた。いつの間にかメイドさんも集まっていた。メモ紙とペンはメイドさんにもらったのだろう。
「次はハンバーグの種作りです!」
ボウルに氷水を張り、その上に空のボウルを重ねる。今日は何人も触るし時間も掛かるので、油が溶けてしまわないように冷ましながら練るのだ。
ボウルに合挽きミンチ、塩コショウ、ナツメグを入れ粘りけが出るまで練ったら、ふやかしたパン粉、玉ねぎ等、溶き卵を入れ更に練る。
「ムラが無くなったら形成します」
掌サイズの小判型にして表面を撫でて滑らかな状態にする。そうする事により割れにくくなり、肉汁が溢れるハンバーグになるのだ。
「ハンバーグのこの手触りは気持ち悪いような、癖になるような、不思議な感覚ですわね」
「私も、そう思ってましたわ!」
「ハンバーグの残りの作業は焼くだけなので、またもや一旦放置します!」
次はサラダと付け合わせと副菜だ。副菜は何にしよう。皆が簡単に作れるものを考えよう。
ドキドキの包丁。ドキドキの生肉。
次話も明日0時に公開です。




