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71、夕食も。

 



 テーマに沿った動画ウォッチング大会の途中でちょっと脱線。手術シーンを見る事になった。海外ドラマが一番えげつないだろうと探して、心臓手術のシーンを見せた。


「……凄いですな」

「これが、作り物の映像ですの? 物凄く……グロテスクですわ」


 マイヤさんの顔がちょっと青い。と言うか、皆刺激が強すぎたようだ。


「カナタ様は平気そうですわね?」

「いやー、医療ドラマって結構好きなんですよね」


 以前、王都の海浜公園で剣が足にぶっ刺さった人の手当てを平気な顔でやっていたとバウンティに言われた。わりとハワハワしてたんだけどね?

 

「慌ててたヤツがあんなに冷静にシャツ脱がせて足の動脈を閉めないと、とか考えない」

「だって、放置したら死んじゃうじゃん! 私はシャツ脱ぎたくないし!」

「争点はそこじゃないだろ!」


 ダニエレくんが突っ込み係になっている。


「それ……私のせいよね?」

「ん」

「堂々と返事すな! せっかく伏せたのに!」

「何? エズメリーダ様、またやらかしてたんすか?」

「いやー、半分くらいは私が煽ったの。詳細は伏せます!」


 それが一番だ。

 次はバウンティの番。


「久し振りにイ○ンのが見たい。実況付きな」

「えー」


 渋々動画を探す。


「――――これはもう、ぶっちぎり、ぶっちぎりだイ○ン・ソープ! 二位は体ひとつ以上離れているーっ!」


 今日も全力で実況模写。喉がカラカラだ。コップのお茶を飲み干す。


「スポーツ大会、面白いですわ!」

「実況、楽しいですな! 聞いててワクワクしましたよ。カナタ様お疲れ様です」

「ううっ。初めて労われた! ブルーノさん優しいぃぃ! バウンティ酷いんですよ! 『ん、次』って言ってサクサク動画の再生始めるんですよ! しかも、デート中だったのに!」

「うふふ。解る気がしますわ。他の試合も見たい! って思ってしまいましたもの」


 バウンティがニヤニヤして勝ち誇っている。ムカつくのでドシュッをしようとしたら、気付かれて手を叩き落とされた。


「カナタは何を紹介してくれるのかしら?」

「ボ○ト使っても良いぞ?」


 百メートル走も確かにインパクト大だが、この前発見した面白動画を見せたい。


「これは、私の世界での百年の流れです。男性は……まぁ、照れずに見てください」


 ブラの百年間の発展を解説した動画を発見した。デザインや機能が発展したり迷走したりと、とても面白かったのだ。

 百年前はこちらの世界と似たり寄ったり。そこから段々とカップなどに注目されていく。一時期流行った胸に貼り付けるブラなどはドレスの時に役立つし。スポブラは楽で有り難い。


「カナタが開発したのは最新のものだったのね?」

「まぁ、開発したというか、持ち込んだんですけどね」

「発売当初、私はカリメア様の開発かと思っておりましたわ。ベリンダ工房の製品でしたし」

「ん? こっちでもベリンダさん有名なんですか?」

「へ?」

「ほへ?」

「ベリンダ工房は元々王都にあったんですのよ? カリメア様がローレンツに誘致したんです」


 知らなかった! そんな経緯が。ちょいと気になる。帰ったらベリンダさんにお話し聞きに行こう。ついでに人形の洋服も頼もう。


「実は私、ブラを全てベリンダ工房の物に変えたんですの!」

「あら、マイヤ様もですか!」

「あら! ミラ様も? ですが、ショーツは流石に恥ずかしくて試してませんの!」

「私もなんです! でも、エズメリーダ様から勧められて……」


 ミラさんが頬を染めてカミングアウトしていた。エズメリーダさんは……うん、何か恥ずかしいとか無さそうだよね。着替えも全部メイドさんが手伝ってるとか言ってたし。


「ブラとショーツは揃いの方が可愛いんですもの。慣れですわ!」

「うん、慣れだよね! 水着もいつかビキニとか出るのかなぁ」

「ビキニ? どんな物ですか?」


 イギリスの下着ブランドの水着のショーの動画があったので再生する。


「んなっ! 下着ではないですか!」


 ブルーノさんとダニエレくんの口がパッカーンと開いたままだ。ミラさんとマイヤさんには人前でコレは流石に無理だと全力で拒否られた。

 

「あら、コレ可愛いわ! カナタ、なぜ開発しなかったの?」

「ふぶっ……フゴッフッ、ゲホゲホ……」


 バウンティの沸点が低すぎる。カリメアさんとの言い合いを思い出したんだろう。


「…………ペッタンコの人が付けるとズレるし」

「あぁ、そうね! 色気も出無いわね!」


 バッサリ切り捨てられた。


「ぶふっ。しかも、腹がプニ――――」


 ――――ドシュッ。


 力一杯おへそを刺してやった。ちょっと私の指の方も痛かった。


「プニ?」

「……お菓子食べ過ぎてたの!」

「あはははは!」


 エズメリーダさんがまさかの大爆笑だった。




 見てみたい動画の二週目が終わった頃、子供達が起きてきた。


「ではそろそろ、おいとま致しま――――」

「いやっ! まだいたいですわ!」


 ミラさんが言い終わるより早くミレーヌちゃんがイオに抱き付きながら帰らないとグズ付いていた。ちょっと萌える。ミレーヌちゃんの頭を撫でつつ考える。


「では、一つ提案です。夕食もご一緒しませんか?」

「ですが――――」

「おかぁさま……おねがい!」

「ミラママ、ぼくも、おねがい!」


 二人がキラキラの目でミラさんを見上げている。間違いなく折れそうな気がする。


「…………お、お父様に聞いてみましょうね?」


 ――――あ、折れた。


 ダミアンさんの許可は余裕で取れた。


「バウンティ達、男性陣と子供達は公園で遊んで来てくれます?」

「あら、女性陣は何をするんですの?」

「むふふ。まだ秘密ですよー」


 取り敢えず男性陣と子供達を家から追い出す。




「むふふ。ではでは、妻の手料理でメロメロ作戦。プラス、エズメリーダさんの料理訓練、しましょう!」

「何で私だけ訓練なのよ」

「エズメリーダさん、食べた事無いのにブチ込む性格だったんで何か危険を感じました!」

「ふんっ」


 なぜ初見のキムチを味見無しでたこ焼きにブチ込んだのか聞いたら「あら、どれと混ぜても美味しいから準備してたんでしょ?」と微妙に危険な発言をしていたのだ。


「本当にメロメロになりますの?」

「はい! 私の国には男は胃袋を掴め! という名言があったりなかったり……」

「どっちよ!」


 ――――腕と人によりけり?


「本当か、嘘か、解りませんが……私は試したいですわ」

「マイヤ様がそう仰るなら、私もチャレンジしてみますわ」

「エズメリーダさんはもちろん参加でしょ?」

「ふん。するわよ!」


 ――――よし、お料理チャレンジ開始だ!




 子供のうるうるキラキラ攻撃には弱い母達。


次話も明日0時に公開です。

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