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70、食後はまったり。

 



 たこ焼きパーティーでお腹いっぱい食べた。食べ過ぎた。


「ぷへっふ。苦しい」

「食べ過ぎましたわ」

「そう言えば、先程お話していたこの機械、ホットプレートと言うのですよね? どちらに販売してあるのでしょうか?」

「ローレンツはキッチン用品店で販売してましたけど、ダニエレくんはどこで買ったの?」


 ダニエレくんもキッチン用品店で購入したそうだ。三十センチ程度の物で金貨二枚だったらしい。私的にはまだ高い気がするけど、だいぶ値段が下がって来ているらしい。


「たこ焼きの鉄板は需要が無いって言われて特注のみなんです。お店か鉄工所に頼んで下さい」

「母上、興味出たんですか? 平たい鉄板と鍋だけでも色んな料理が出来るんで、帰ったら教えましょうか?」

「ええ!」

「あら、ダニエレ様、私にも教えて下さいますか? たこ焼きみたいに楽しそうな料理はあるかしら――――」


 マイヤさんが乗り気だ。ダニエレくんに約束を取り付けている。


「楽しいのかぁ……付属のレシピ本にパンケーキやクレープを載せてるんで、そこら辺はパーティー出来るかなぁ?」

「載せてる? ……あれ、カナタのレシピなのか!?」

「え? うん。ダニエレくん読んでくれた? 新しい調理器具って何を作って良いか迷うからってレシピ本付けることになったんだよねー」


 正確にはリズさんのレシピだけど。私は監修と言う名の横から口出しをした。


「あれな、見たことも無いレシピ載ってて、付属品で良いのかって恐怖したんだよ! 近所の人は大絶賛するし……レシピ書き写させたけど、良かったのか?」

「いーよー。てか、珍しいものとかあった?」

「クレープ! あと、全く関係ない水切りヨーグルト! 他、色々!」


 関係あるし。クレープの具材として必要だし。

 クレープは似たようなのはあるのだが、何か高級な感じのだった。私の思ってたクレープと違ったのでカッパー流クレープとしてレシピを載せていた。


「お前、マジ馬鹿だよ! あのカッパー流クレープって、カッパー誰一人として知らねぇよ!」

「なんでー! 材料費がカッパーじゃん!」

「そこかよ! 安かったよ! ハァハァ……やばい、カナタと話すと突っ込みばっかになる……」

「ん、解る。突っ込んでたら新たな突っ込み所が出てきて忙しいんだ」

「えー? バウンティ、スルーすんじゃん」

「突っ込むと忙しいし、頭痛くなるから。諦めた方が早い」


 何かムカ付いたのでおへそドシュッの刑。ご飯直後は止めろと怒られた。


「うふふっ。相変わらず仲がよろしいですわね」

「カナタ、そのお腹を刺すのは何なの? 流行ってるの?」

「え、嫌がらせ!」

「「……」」


 エズメリーダさんに聞かれたので素直に答えたら、なぜか全員が無言になった。そして、バウンティに憐憫(れんびん)の目を向けている。


「小声で下痢になってしまえ、とか呪いの言葉もたまに付いてくる」

「……あら? 仲良し……ですわよね?」

「概ね?」

「うん、概ね!」

「……野暮でしたわ。これがアレかしら? 『砂糖を吐きそう』?」


 エズメリーダさんはヴァレリー家で何を学んでいるんだ。皆に笑われながらプンスカしていた。

 



 暫くお喋りしていると子供達のお昼寝タイムになったので四人を二階に寝かせて、大人は更にお喋り。


「たこ焼き中に撮った写真ですけど、欲しいものがあったら言って下さいね、プリントしますんで」

「よろしいんですか? 高価なのでは?」


 ブルーノさんが心配そうだが大丈夫だと伝える。フィルムだけならどうにかなるかもと、開発をお願いしている。カリメアさんも何かの役に立つだろうからと快く請け負ってくれたのだ。

 それに、暫く会えないから写真だけでもあると、子供達が寂しくないかなとか思ったのだ。


「ではお言葉に甘えて――――」


 るんるんとプリントして皆に渡す。エズメリーダさんとダニエレくんのツーショットは強制的に。

 スマホの写真データをスワイプして変えていたら今日の分のデータが終わり、バウンティの髭の写真になってしまった。王城に行く前に慌てて撮ったやつ。顎髭の接写。


「……髭?」

「こっ、個人的な趣味です」

「そ、そうですの……」

「知らない人とかのじゃなくて、バウンティのですよ!?」

「ああ、そうですよね……えぇ」


 気まずい。非常に気まずいが、隣のヤツが爆笑寸前で震えている。背中を丸めて俯いているので、背中をバシバシ叩いた。


「ウゲホッ……ゴホッ」

「カナタ、他の写真も見てみたいわ!」

「えー。結構、個人的なヤツが多いんですよ……」


 たぶん、更に恥を上塗りしそうな気がする。


「動画でも見たらどうだ?」

「おー、プロジェクターで?」

「ん!」


 という事で、動画ウォッチング大会。

 座っている順番で『見てみたい物』『見てみたかった物』『いつか未来では見れるようになっているかも』などの言葉で思い付いた事を言ってもらう。それに見合いそうな動画を私が探す。私とバウンティは『これを見せたら皆が驚く』で探す事になった。動画は最長五分と決めた。

 反時計周りで、先ずはブルーノさんから。


「そうですね……子供達が見ていた図鑑で野性の動物の写真がありましたが、動く映像もあるのでしょうか?」


 余裕でありまくる。どの動物が良いか聞いたらパンダが気になってしょうがなかったと言われた。

 

「まぁ、まぁまぁ! あぁぁ」

「本当に笹を食べていますね……ふふっ、この動きは……何でしょう……赤ちゃんに近いですかな?」


 皆の顔がホワホワになった。パンダの癒し効果凄い。

 次はマイヤさん。


「私は、子供達の見ていたロボットをもっと見てみたいですわ」

「なるほどー。これは二択あります。空想を表現した映像と、実現した映像」

「なっ……なんと魅惑的な選択肢でしょう!」


 マイヤさんが迷いに迷ったので提案してみる。短めで両方の動画を見るという案で皆が了承した。

 先ずは玩具の元ネタの海外映画。


「ざっくり言うと機械に意志があり、自分で考え、自分で行動し、自分の倫理観念に従う。って感じでしょうか」


 実現した方は、モバイルショップ店頭に良くあるロボット。


「ロボットにも色々ありますが、先程のと近い方で。色んな会話や動作のパターンを何億通りも覚えさせて、まるで意志があるように対応させれるロボットです。おはようと言ったらおはようと返したり、頭が痛いと言ったら、近くの薬局や病院を答えたりなどです」

「……そこまで来ると意志があるように感じでしまいますわ」


 確かに。AIなどの説明は難しくてスルーさせてもらう。


「次は私ですね。昔から気になっていましたの、空の上はどのようになっているのでしょうか?」

「おっと、宇宙ですか。これは二つ再生させてもらいますね」


 ミラさんに取られた。私の番はこれにしようと思っていた。

 ロケットを地球から発射し成層圏まで到達した実際の映像と、宇宙から地球を見た映像。


「……なんと雄大なのでしょう! この機械は何ですの?」

「スペースシャトルと、宇宙ステーションと言って、宇宙で色んな実験をするための建物? です」

「なぜ浮いているのですか?」


 ――――えっ? にゅ、ニュートン先生?


「……地球と月の関係と一緒。あ! ボールを力一杯投げると遠くまで飛びますよね? 弱く投げるとすぐ落ちる」

「ええ」

「ざっくり言うとそれ!」

「いや、解んねぇよ!」


 ダニエレくんに怒られた。だってそこだけ覚えてるんだもの。人工衛星が落ちてこない理由を昔テレビで見たけど、ちんぷんかんぷんだよね!


「落ちてこないように頑張って動いてるって思ってて下さい」

「ぶふふ。これな、カリメアとも話してたんだが、難しすぎる。いつか誰かが解りやすく説明してくるだろう」


 何かバウンティに纏められてしまった。


「次! ダニエレくん!」

「キレんなよ……。俺――――」

「ダニエレ、先程から言葉遣いが荒いですわよ?」

「はぁ。はいはい。私は――――」

「うふふっ。やっぱりお義母様には頭が上がらないのね」


 エズメリーダさんがクスクスと笑っていた。釣られて皆も笑う。


「はいはい、そーですよ。私は、カナタの世界が見てみたいです」

「いーけど、めっちゃ棒読みじゃん」

「こんなに色んな機械があるんで、見てみたくなったけど、あるのか?」

「あるよー。私の国で良い?」

「他の国も?」


 懐かしい。バウンティともこんな話しをした。

 先ずは日本紹介動画を再生する。

 電車や飛行機、高層ビル、人々の服装、そして黒髪の多さに皆がビックリしていた。

 その後はアメリカの有名な交差点のイルミネーションや掲示板。それだけだと機械だらけの世界に思えるだろうからとアフリカなどの自然公園の映像も見せた。


「様々な国との交流はあるんですか?」

「交流というか、ほとんどの国に旅行で行けますよ」

「ほとんどとは何ヵ国ですの?」

「えっと――――百九十ヵ国くらいです」

「ひゃく……カナタの世界は全部で何ヵ国あるのかしら?」

「え、二百ちょいです」


 ブルーノさんとエズメリーダさんが興味津々だったのだが、スマホで調べて答えていたら無言になられた。何故に? と一瞬思ったが、この世界には三十ヵ国しか無い事を思い出した。しかもフィランツが交流しているのは十ヵ国程度だ。隣のアティーラとは現在国交断絶中だし。


「カナタ様の国は他国と友好的な付き合いをされてるのですね」

「むーん。なのかなぁ?」


 ちょいちょいケンカ売られて買って……な気もしなくも無いが、気のせいかな? 気のせいにしておこう。


「さ、次はエズメリーダさんですよ!」

「私は医療が気になりますわ。機械の発達は医療にどのような影響があるのかしら?」


 王様の事もあってだろう。最新では無いが、カテーテルの手術の映像と、人間ドックの案内映像も見せた。


「食後にちょいとえげつないですけど」

「もしかして……手術の風景も見れるのですか!?」


 医療関係者のみは見れるだろうけど、流石に無料動画サイトには無い。ドラマの映像ならある。お医者さん監修だからほぼほぼ本物そっくりなんだと思う。と伝えると皆が見たがった。

 苦手な人はいないのかと心配したが皆興味が勝ってしまったようだ。取り敢えず冷たい飲み物を用意した。


 ――――さて、何の映像にしようかな。




 お腹いっぱいで動画見ると眠くなるよね。


次話も明日0時に公開です。

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