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20、お披露目会

 



 朝起きて子供達を起こす。


「アステル……おはよう」

「ママッ!」

「ただいま。帰って来たよ。大丈夫だった?」

「……っうぁぁぁん! ごめんなさい、ママのこと、だいすきなの、『しんじゃえ』ってウソなの、わるいこでごめんなさい!」

「うん、ママもごめんなさい。置いていってごめんね。ママもアステルが大好きだよ。大丈夫だよ、絶対に嫌いになんてならないから。これからもいっぱいワガママ言ってね?」


 ――――チュッ。


 アステルのおでこにキスをする。嬉しそうに笑ってくれた。

 次はイオの番だ。うつ伏せで寝ているので背中をトントンと叩く。


「ん、にゅ……あさ?」

「おはよう、イオ」

「ママだぁ。ごはん?」

「ん? あ、ごはんはまだ用意してないね……」

「シエナが泊まり込んでるから大丈夫だ」


 ――――おや? と言うことは……昨日の……聞こえてた……よね?


 思い至って、顔が真っ赤になってしまった。


「ママ? どーしたの?」

「ん、どーしだんだろうなぁ?」


 不思議そうなアステルには気にしないでと伝えるが、ニヤニヤ顔のバウンティはおへそグリグリの刑だ。


「キャハハハ、グリグリー」

「こら! やめろ!」


 子供達にもグリグリされてイジケるバウンティが可愛くて頭を撫でる。


「ママ、おしごとおわったの?」

「へ?」

「ん、カナタのお仕事は終わった。帰って来たんだ」


 どうやら、イオには私が賞金稼ぎの仕事で数日家を空けていると伝えたようだ。アステルは気付いていたがイオの為に合わせてくれていたらしい。なんて優しい子なんだ。

 ギュウギュウに抱き締めて、またキスをした。


「ぼくも!」


 希望通りイオもギュウギュウでキス。


「俺も!」


 いつもならスルーだが、今日は特別だ。

 キスは口に。


「ん、んはっ……」


 バウンティが真っ赤だ。何となく勝った気がする。


「さ、歯磨いて、顔洗って、着替えて、下に行こう!」

「「はーい」」


 子供達が準備している間にホーネストさんを呼んでみる。


「……ホーネストさん」

「何?」

「怒ってる?」

「怒ってるよ! カナタなんて…………。っ、怒ってるんだよ! 精霊王からあっちには行っちゃ駄目だって、精霊界で止められたんだよ! カナタの馬鹿!」

「うん。ごめんねぇ……大好きだよ?」

「俺も。だから撫でて!」


 撫でられるのが大好きホーネストさん。顎から頭、耳の後ろ、肩、尻尾の付け根をナデナデ、モミモミしてあげる。


「あのね、ゴーゼルさんに伝言お願いしてもいい?」

「……いーよー」


 すぐ帰って来てくれた。


「カナタ、ゴーゼルさんから『むおっ、朝飯食べたら直ぐ行くぞ!』あと、カリメアさんから『……まぁ、帰って来たならいいわ』だって」

「ぶわー。ご機嫌ナナメかなぁ」

「ん、消えた日からナナメ」


 ――――マジか。心しておこう。


 


 シエナちゃんに挨拶とお礼を言いつつ、朝ごはんを食べる。


「あー、美味しーい」

「ありがとうございます。今日はイオ様のご希望でミルクチーズリゾットです」

「なに、希望とか出してるの?」

「うん! きのうはね、フルーツサンドだったよ!」


 ――――ワガママ放題だったな。


「ごめんね、大変だったよね」

「いえ、カナタ様の為に働けて幸せです」

「うん。ありがとう」


 主従関係には慣れないが、シエナちゃんは主従関係の方が楽らしいので何も言わない事にしている。


 ――――コンコンコン。カチャガチャ。


「早っ、そして鍵解除してない?」

「あの開け方はカリメアだから鍵穴壊れないから大丈夫」


 安心も諦めもしたく無いが、突っ込みもしないでおく。


「「グランパとグランマ! おはよー」」

「まだ食べてるの!?」

「カナタ、無事に戻ったようじゃの」

「ただいまです」


 モグモグと食べ止める事なく挨拶したら、ため息の後に横に座られた。


「「ごちそうさまでした」」

「はい、じゃあ、見せたいものとお土産をさっさと出しなさい!」

「えー。情緒とかは?」


 まさかの舌打ちされながら抱き締められた。


「あはは! ただいま!」


 リビングに移動して床を広めに確保する。食品もあるのでシエナちゃんが新品のレジャーシートのような物を敷いてくれた。

 バウンティに二階から荷物を下ろしてもらいキャリーを開ける。まずは子供達から。


「日本のグランパとグランマから二人にプレゼントだよ」


 アステルにはお着替えセット付きのお人形。イオには車やヘリからロボットに変形するオモチャ。そして二人共用の動物や海の生物の写真集、図鑑。

 軽く見せたら目を輝かせていた。ゴーゼルさんも。


「二人はあっちで遊んでおいで?」

「「うん!」」

「あの子達が寝たら少し見せなさい」

「あはは。はい」


 それから、カリメアさんにフレーバーティーのプレゼント。

 ゴーゼルさんには大量のスナック菓子と、葉子が何故か渡してきたスポーツカーのパンフレット。

 渡したら抱き締められた。相当嬉しかったらしい。


「ん、このチョコレート、サクサクで美味いのぉ!」

「あら、サクッとして、溶けて消えたわ……」


 八十円くらいのやつだ。スナックにチョコを染み込ませてある。値段を言うとまた怒られそうな気がした。

 そして色んな種類のチョコレートはカリメアさん、リズさん、テッサちゃんで私で分ける事にした。


「あー。あと、バランスボールとトレーニングチューブです。使い方のパンフはコレです。カリメアさんが欲しいって言ってたってかぁさんが……」

「あら、まさか本物が来るとは思ってもみなかったわ。んふふ。流石ソウコだわ!」


 次に渡す物を探していると、バウンティが箱をカリメアさんに渡した。『極薄』さんだった。慌てて子供達を確認するとだいぶ遠くでオモチャにフィーバーしていたので大丈夫そうだ。


「……コレは」

「避妊具!」


 ――――ドストレートだな、オイ。


「凄い薄い。でも破れない……爪とかでキズ入れると危ないけど。それでも、この世界のよりは格段に……凄かった」


 堂々と細かな説明をありがとう。だか、羞恥心は……無いんだよね。恥ずかしがって使わない、知識を入れない、その方が危ないから、コレが正しいのかも知れないが。


「あら、全部いいの? 貴方のは?」

「それ、ちょっと小さかった。もう一個大きいサイズのも買ってきてくれたから大丈夫だ」

「サイズとか無いでしょ?」

「あー、あっちにはあります。箱の裏に周径でサイズを選ぶようにって……ココに一覧が載ってます」

「あぁ、この数字ね……なるほど、コレがLなのね」


 ――――ペリッ。


「ドッホーイ! 開けるんですか!」

「確認しないとでしょう」


 ――――それはそうだが。


「あら、凄いじゃない! 本当に薄いわね。形は一緒なのね。付けてる感覚はどんなかしら? あと、カラフルね。可愛いじゃない」


 七色入りのやつだった。可愛いかは置いておこう。


「丁度のやつは、あんまり感覚が無かった。何度か本当に着いてるか確認したくらいだった。馴れたらまた違うんだろうが、初めて使う時は衝撃だと思う」

「ほほぉ」


 何だこの会話。立ち去りたくて仕方ない。


「あと、コレッ! 凄い楽しい!」


 どーんと大人のオモチャを出された。昨夜ちょっと使って……まぁまぁ盛り上がった。やっぱり気に入ってたようだ。出したのは新品の方だったが、もう耐えられない。


 ――――スパーン!


「シエナちゃん、子供達とダイニングの方で遊んでて!」

「……かしこまりました。参りましょう?」

「「はーい!」」


 ――――コレでよし。


「で、ソレは何なの?」

「……防水の、大人のオモチャです…………」


 バウンティがカチャカチャと電池を入れてスイッチを入れると、微振動を始めた。


「ソレが何よ?」


 ――――ブブブブブ。


「ひょわっ」


 急に胸に当てられた。


 ――――バチィィン。


 取り敢えず力一杯殴った。


「なるほど、理解しました。まぁ、もう少し殴っても良さそうだけど、貴女が持ち込んだのよね?」


 濡れ衣だ。確かにそうだが、元々はかぁさんのせいなのだ。説明をして何とか私の趣味では無いと認識してもらえた。

 必死に説明している間にバウンティとゴーゼルさんが色々と放り込まれていた大人のオモチャで遊んでいた。

 空間がカオス過ぎる。全部にモザイクをかけたい。


「師匠、返して!」

「ゴーゼル! 戻しなさい!」

「えー。いっぱいあるんじゃしぃ……」


 持って帰ろうとしていたらしい。むしろ持って帰ってくれていい。が、何か言うとカリメアさんに怒られそうなので無言でやり過ごした。




 モザイクだらけの大人のオモチャを片付け、一旦深呼吸。


「ここら辺からは、電化製品です」


 ハンディブレンダーを見せる。コードレスの充電式でUSBコネクターだったのでモバイルバッテリーで充電出来た。


「……潰す、泡立てる、撹拌する、なるほどね……直接鍋に入れて使えるのね! 何て便利なのかしら!」

「ポタージュとか、濾さなくても滑らからしいです! 生野菜も潰せてジュースに出来るって書いてあるんです! アタッチメントも色々と有りますよ」


 二人でレシピ集を見ながら大盛り上がりした。開発用にも買って来たので、それを渡す。


「そして、コレがポータブルプレイヤーです」


 充電は家で済ませていたので早速再生する。

 再生した瞬間、三人とも無言になってしまった。映像はスマホで見慣れているはずなのにどうしたんだろうか?


「コレは何かの祭典? 誰なの?」

「あー。そっち? この人達は、私とカンさんが好きなバンドです。この人が歌で、この人がギター」


 ライブDVDを流していた。


「何でこんなに人が詰め掛けてるの?」


 ライブの概要を説明する。そして、そういったイベントが全国、全世界であっていて、その映像も見れる。


「本当に貴女の世界は芸術に富んでいるわね」

「確かに。あ、で、コレが映画のディスクで、コレがアニメのです」


 映像等はスマホで見るのと変わらないので省く。カンさんにあげたかっただけだし。


「コレがタブレットで、スマホの大きい版です」


 説明が雑だとか知らない。そもそも、そんなに操作を習ってないので教えられない。サクッと次のプリンターの話へ進める。

 スマホと繋いでアプリを取り込む間、皆で持って来たお菓子とお茶で子供も交えてしばらく談笑。


「どぅえぃーし! 出来た!」


 ――――パシャッ。


 アステルがおやつを頬張ってリスのようにプックリになった顔を写す。超可愛い。


「はい、今写したのが、この画像です」

「ええ」

「で、アプリでプリントっと……」


 ――――ジーッ、シャコン。


「はい、プリント完了!」


 机の上にトンと置いたら、全員がガバッと覗き込んだ。


「な……なんて事なの……十数秒で出来上がるの?」

「凄いですよねー。いやー、ビックリしましたもん」


 プリンターみたいな大きいのいらないんだなって。

 カリメアさんに現像液など色々と聞かれたが知らない。何か、凄い機械なのだ。自動ネイルマシンやメイクマシンの話を軽くした。ネイルマシンは持って来て欲しかったらしい。それこそ卓上型プリンターほどあったので諦めた。

 プリントアウトした写真はカリメアさんがこっそりキープしていた。


「次はプロジェクターです!」

「プロジェクター?」


 またもやスマホと繋ぎ色々と設定したり、距離の目算を付ける。カーテンをキッチリ閉めて、電気を消す。薄暗闇の出来上がりだ。


「ママくらいのヤ! でんきつけて!」

「イオくんや、今から物凄い事が起こるのですよ」

「……さっきのロボット! うごく!?」


 ――――いえ、ソレは無理です。すんません。


 そっと無視してムービー再生。壁に映し出す。


『キャーハハハ! パパがくるぅー! イオはやく!』

『まってぇ! まって! ぎぃゃぁぁぁ』


 なかなかの阿鼻叫喚だったが、ただの室内鬼ごっこだ。


「ぼくだー!」

「写したムービーなどを皆で見るための機械です」

「……凄いわね。凄すぎて追い付かないわ。スマホの時も色々と理解するのを諦めたけど、今回もそうなりそうね……」

「スマホの画面、小さいからのぉ。目が痛かったが、コレはいいのぉ」


 中々いい手応えだった。プロジェクターは色々と使えそうだ。バウンティの好きなスポーツ観戦とか。


「後はコザコザしたもので色々とあるんですが、お昼ご飯の準備してもいいですか?」

「シエナに任せなさいよ」

「いえ、あちらの食べ物なんです」

「あら、じゃあ、作る所も見せなさいよ」


 子供達も見たいとの事なので、皆でクッキング教室をする事になった。

 メインのお鍋は夜にするとして、お昼は大根や味噌汁で純和風にいきたい。




 キャリーケースに詰め込めるだけ詰め込んで、外にも括り付けて来たカナタさん。


次話も明日0時に公開です。

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