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168、お昼とお買い物。

 



 孤児院を案内し終わり、子供達を回収してラセット亭に向かった。


「いらっしゃいませ、なんめいさまですか?」


 ラセット亭に入ったマシューくんがジュドさんと似たような服装でお出迎えしてくれた。どうやら従業員的な服装らしい。


「マシュ、カッコイイ」

「ぼく、とくべつにんむちゅうなの!」


 まだ特別任務やってたんだ? ちょっとビックリした。だがしかし! 働く男児、可愛い。尊い。プライスレス。そして、エズメリーダさんが小声で「何か……撫でたいわね」と呟いていた。気持ちは解る。そして、撫でる。


「こちらへどーぞ」


 マシューくんに案内され食堂に向かう。数歩で着くし、そもそも食堂の場所は知ってるけど、案内してくれるのなら案内されたい。


「カナタ、顔」


 ちらりとバウンティに注意を受けた。

 席に着くと彩さんが配膳してくれた。


「ぁえ? 働いてるんですか!?」

「お客様とお話し、勉強、する為よ」


 フィランツ語を覚える為なのだとか。手っ取り早いのは働く事らしい。どうやらついでにお小遣いもゲットが目的らしい。


「カナタちゃーん、聞いてよー、トマーゾすんごいの! お洒落なのから、大衆系まで何でも御座れだよぉ。あと、パスタ! もうね、技術がパネェ!」

「あー、トマーゾさん経験豊富ですもんねぇ」


 日本の有名レストラン、大使館、海外の星が付くようなレストラン、色んな所での経験があると前に聞いた。

 本人的には彩さんがやっていた定食屋で働きたかったらしいが、各方面からの依頼で渋々働いていたそうだ。


「「いただきます」」


 今日はイタリアン一色らしい。カルパッチョやブルスケッタ、ニョッキやアクアパッツアなどたらふく食べた後にティラミスが出てきた。入るか心配したが余裕だった。ペロリと食べ終わる自分が怖い。

 明日の予定を話しつつ、のんびり食後のお茶を飲む。


「そう言えば、王都での住まいは決まったんですか?」

「ええ、まだ暫くは一緒に住みたいとお義母様に言われから、そうしようと思ってはいたんだけどねぇ」


 エズメリーダさんがチラリとダニエレくんを見ると、ダニエレくんが苦笑いしながら教えてくれた。

 エズメリーダさんとミラさんの仲が良すぎるらしい。ダニエレくんが仕事から帰って来ても、エズメリーダさんはミラさんとばかり話していたり、二人で部屋に下がってもミラさんからエズメリーダさんだけ呼び出されて、中々部屋に戻らなかったりで、二人の時間が無いそうだ。現在は家を出たいダニエレくんと、居て欲しいミラさんとでケンカ中らしい。


「俺が働きに行っている間、一人っきりにするよりはマシだって解ってはいるんすけどね……」

「…………寝る時だけじゃなく、誰にも邪魔されない、独占出来る時間……欲しいよな」

「っ! バウンティ様っ!」


 ポソリと呟いたバウンティの言葉にダニエレくんがガチで感動していた。

 



 ラセット亭を後にして、いつものスーパーにお買い物に来た。


「へぇぇ、結構でかいな」

「ここがローレンツでは一番大きいんだってー」


 結局、夕食は餃子を作る事にした。シエナちゃんに連絡して、足りない物を聞いてのお買い物。サラダ菜と玉ねぎ、ミンチ肉などバウンティが持っているカゴにポイポイと入れていく。

 お魚コーナーで鮭を見ていると魚売場のおじさんに声をかけられた。


「よぉ、じょうちゃん! 今日獲れの鯛が余ってるけどどーだい? って、妊娠したんだったな、おめでとう。生は暫くお預けか」

「あ、はい。ってか何で知ってるんですか?」

「ん? 今朝ゴーゼル様がふれ廻ってたぜー。孫がまた増えるって」

「……ハァ。なるほど」

「カナタ、鯛めし食べたい」

「あ、そお? おじさん、三枚下ろしでお願いね」

「お! まいど!」


 おじさんが嬉々として鯛を下ろし始めた。エズメリーダさんは食い入るように見ている。


「何か面白いですか?」

「ええ。魚ってああやって捌くのね……あら、結構グロいわね」


 内蔵引っ張り出したり、首を落としたりするしね。血も多少出る。苦手な人って多いらしいけど、エズメリーダさんは平気なようだ。パチパチと拍手している。子供達も釣られて一緒に拍手している。

 妙に照れたおじさんから三枚下ろしとアラを受け取った。

 

「買い忘れは無いかなぁ」

「ないであります!」

「かんぺきであります!」

「じゃ、お会計に行こうか」

「「とつげきー」」


 突撃はするなと注意しながらレジへ向かった。




 家に帰り、きちっと手を洗い夜ご飯作りの準備に取り掛かる。最近はミラさんとお菓子作りや夕食の一品だけなどを作って料理にチャレンジしているそうだ。


「いつかダニエレと二人で暮らし始めた時の為にもね。中々上手くなったのよ」


 自信満々なエズメリーダさんをジト目で見るが、ダニエレくんが「最近は包丁の使い方も上手くなったよね」と話すので本当なのかもしれない。子供達をお昼寝に連れて行ったバウンティもキッチンに戻って来たので、早速お料理教室開始だ。




 ゴーゼルさんのお陰で市内中にバレている可能性大。

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