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17、買いまくる。

 



 とーさんとかぁさんと買い出し中、多少バウンティがいない寂しさを覚えたものの、買い出しに集中して誤魔化していた。


「奏多、色々有ったわよ……って、食材がえらく増えてるわね……」

「大丈夫! 賞味期限は一年以上のを選んでるから!」


 カリメアさんにフレーバーティーの詰め合わせ。ゴーゼルさんにはスナック菓子などを選んでいた。絶対好きそうだ。

 カンさんには調味料類と缶詰め等々。サンマの蒲焼きって妙に食べたくなる。

 かぁさんがカートにドサドサとおもちゃや本、謎のトレーニンググッズを入れて来た。


「バランスボール? トレーニングチューブ?」

「あー、前にカリメアちゃんが欲しがってたのよ」

「ちゃん、て。かぁさんより年上だよ?」

「いや、下にしか見えないから『ちゃん』でいいじゃんよ」


 なんだその理由。まぁ、かぁさんだし突っ込むのも疲れるからスルーしておこう。


「てか、この量を入れる物を買わないとだよね……旅行用のキャリーケースかな?」


 売り場を見に行くと特大サイズで百三十リットルの大きさの物があった。私の体がまるっと入りそうだ。


「大きいキャリー二つって、何か犯罪臭いよね」

「うははは!」


 馬鹿みたいな話をしながらレジに行って会計をする。二十万円も使った。理由は簡単だ。キャリーが八万円した。あと、アホみたいに食材やおもちゃを買ったせいもある。

 会計後、必死にキャリーに詰め込んで車に運んだ。




 今は、ディスカウントショップの近くにある家電量販店に来ている。


「ブレンダーってこんなにあるの? どれが良いのか判んないし……」


 結果、店員さんが「一番売れている」と言った物を四個買った。私、カリメアさん、リズさん、開発用だ。

 ふとスマホのコーナーを見た。


「うわっ、何か画面が大きくなってる」

「そうだ、買い直しなよ?」

「えー。まだどうにか使えてるよ?」


 電池の持ちが悪いけど。


「あと、機種変更したり新規契約して、もし使えなかったら……少しね、怖いなって」

「うん……そうか。そうだね……ちょっと店員さんと話してくるから店の中を見ておいで」

「? はーい」


 店員さんと話し出したとーさんを放置して、かぁさんと店内を見て廻る。


「あ、ドラッグストアも併設してるの? 変なのー」

「わりと多いわよ?」


 知らないうちに色々と変わっているようだ。一度、家電用のカートをとーさんに任せてドラッグストアの方に行った。

 バウンティ用の酔い止めを手にする。一緒に行けるか解らないけれど、あればいつか何かの役に立つかも知れない。その後、生理痛の薬を確認すると、使用期限が三年あったので二十錠入りを三箱ほど買う事にした。時々痛い位なのであれば有り難い程度だ。

 何か必要そうな物は無いかなと見廻っていたら『極薄』『サイズできちんと選ぼう』などの文字が見えた。

 男性用の避妊具だ。そう言えばバウンティがキツいって言っていた。サイズとかあるんだなと見ていると急にかぁさんが後ろから声を掛けてきた。妙に気まずい。


「ハッ! 買っときなさいよ。必要でしょうよ。品質は間違いなくこっちのが良いだろうし」

「まー、うん。確かにそうだろうけど……なんての? コレ、親子でする会話かな!?」

「ぶははは!」


 爆笑された。そしてポイポイと色んな物をカゴに投げ込まれた。


「ちょ……なにコレ……え? なっ、何でアダルトグッズとか入れるの!」

「や、何か面白くて」


 ――――なんだそのドS発言。


 避妊具のサイズ表記と見本の避妊具を確認する。周径をメジャーで測れと言われても……。なので、何となくで二種類のサイズを選んだ。

 そしてレジが若いお兄さんで妙に気恥ずかしかった。かぁさんは遠くで爆笑していた。




「凄く笑ってたけど、何か良いのでもあったのかい?」

「いや、奏多がねぇー」

「ちょ! かぁさん! 女の子な話なの! 聞かないで!」

「うひゃひゃひゃ」

「あはは。……まぁ、頑張れ」


 なぜか慰められた。

 スマホは認証のカードを差し替えるだけで使える機種があったそうなので、それを買うことにした。


「ほへー。便利になったんだね」

「ぶはっ。あんた、おばさん臭い」

「仕方ないじゃん、やっとこさ洗濯機が普及し出したくらいなの!」

 

 発明家のおじいちゃんが超頑張ってくれた。何か喜びそうなものお土産に用意しておこうかな。研究してくれて私にフィードバックしてもらえるような物がいい。


「あ、奏多、これ最近人気らしいよー。スマホの写真をインスタントフィルムでプリント出来るやつ! 簡単なんだってさー」

「買うっ! プリントしたい!」


 本体は二万円以下、フィルムは十枚で八百円程度。フィルムは大量買いを決め込む。


「あ、モバイルバッテリー買っときたい」

「たしか……奏多、スマホが取り合いになるし、目が疲れるってバウンティくんがぼやいてただろう?」

「うん。バウンティって言うか、主にゴーゼルさんだったけど」

「モバイルバッテリーにもなるプロジェクターがあるよ。サイズもスマホくらいだったよ」

「……マジですか。そんなに発展してるの? なんなの……その内、自動でメイクする機械とか出そう」


 ――――何かの映画であったよね。顔にはめたらシュッてメイクされてるやつ。


「あるわよ? ネイルを自動でする機械はあそこにあるし」

「……マジですか。私、本当に取り残されてる感が凄い」


 さすがに機械が大きすぎてネイルマシンなどは諦めたが、プロジェクターは買うことにした。

 その後もキッチン用品などを見ては最近の便利さに目眩を覚えた。

 



 昼食は道中で取ったが、夕食は家で食べる事にした。


「んあー! 大根だぁぁぁ! うんまぁぁぁい! 味噌汁、うんまぁぁぁい」


 ハフーと嬉しい溜め息を吐きつつ味噌汁を飲み干す。


「一生食べられないかと思ってたぁ」

「ははは。大根は種を買っていけば良いんじゃないかい?」


 ――――なるほど! 頭いい!


 家庭菜園で食べたい野菜を作るのも有りだ。先ずは大根、ネギもそそられる。リークには慣れたけど、やっぱりネギと何かが違う。


「明日はホームセンターに行く!」

「ハイハイ。あ、葉子から連絡来てたわ。仕事終わったらこっち泊まるってよ」

「んー! やったぁ! いっぱい話したい事あったんだ」


 九時過ぎに葉子が来た。


「奏多!」

「よーこーぉー!」


 うわーんと叫ぶ勢いで葉子に抱き着こうとした。


 ――――ベチコン!


「いたぁぁい! おでこに爪刺さった!」

「あんた何帰って来てんの! 子供は!?」

「……ん。必ず、ちゃんと戻る。今は少し……こっちで甘えてる」

「ったく!」


 部屋で荷物を纏めながら葉子とおしゃべり。


「食べ物ばっかり買って。こんなでっかいキャリーとか売ってるんだね」

「結構高かった!」

「ちょ、それをそこに入れたら粉々になるって! ここに入れて! もー、スナックとか何で買ってんの」

「いや、ゴーゼルさん好きそうだなって」

「あ、わかる。あのオジサマ好きそう」


 ケタケタ笑いつつ詰め込む。


「何この紙袋……うわぁ、エロッ。うわぁ、人妻だわぁぁ。エロッ」

「へ? あっ! ちょ、違う! それ、かぁさんがノリでカゴに入れて来て……無理矢理」

「……のわりには電池も買ってんじゃん?」

「それもかぁさん! ドラッグストアで爆笑してたんだよ!」

「おばちゃんやるね。流石だわ」


 本当に色んな意味で怖い母親だと思う。


「ちょ、LとXLって! でかいのか!」

「もー! ちょっと、全部出さないでよ……あっちの世界のが小さいって文句言ってたから……取り敢えずで!」

「のわりには多いがなっ」

「っ……うるさーい!」


 葉子がひとしきり弄り倒してくる。半分はかぁさんのせいだ。アホほどアダルトグッズを入れられた。

 棚に戻そうとしたら滅茶苦茶怒られた。意味が解らない。


「お、ブレンダー便利だよねぇ」

「らしいね。取り敢えず一番売れているのを買って来たよ」

「一番は洗い物が減るから有り難いんだよ。ミキサーみたいに移し替えたりしなくていいからね。鍋にぶち込んでワーって混ぜれるんだよ」

「ほうほう。パンプキンスープ作りとか楽そうだね」

「そそ。濾さなくても滑らかなんだよ」


 ――――マジでか! 超有り難い!


「あ、プリンター買ったんだ。あっちの写真、『明治初期か!』って言ってたもんね」

「うん。これで皆の写真バンバン印刷しようと思って。楽しみー」

「そうだ! 奏多、写真とろ?」

「っ、うん!」


 ――――パシャッ。


「んじゃ、お試しついでに二枚プリントしよう!」

「なに、もう使うの?」

「だって、あっちに戻ったらもう葉子と撮れないかもじゃん……」

「……そうだね。寂しいけどさ、ちゃんと向こうに戻りなよ?」

「うん」


 ちょっとしんみりしつつプリントした写真を見る。超綺麗だった。

 ある程度纏め終わったのでキャリーを閉じてベッドの横に置いた。


「てかさぁ、こんだけ買ってあんただけ戻ったりして……」

「ふっふっふ。甘いな葉子くん」


 じゃじゃーん! と出したるは赤色の紐。


「……リード?」


 ドラッグストアにペットコーナーがあった。そこでリードを買っておいた。先にカラビナみたいなものが付いており、手元は輪っかになっている。

 キャリーケースに繋いで、輪っかに手を通す。


「ヘェイ、完璧っ!」

「……変態臭いわぁー。何、天才みたいに誇ってんの」

「いやいや、天才でしょうよ! 始めはコレ抱いて寝ようと思ってたんだからね」

「頭悪っ!」


 知っている。流石に無茶だなと気は付いた。だからこそのリードなのだ。

 今日は戻るつもりが一切無くなった。どうせなら色々と買い込んでから戻りたい。でも、念のためにリードには手を通しておこう。


「私、明日休み取ってきたから一緒に行っていい?」

「うん! もちろんだよ! ってか、葉子ありがとう」

「何? 急に」

「ん、いい友達もったなって……」

「あはは。崇め奉れ!」

「ははぁぁぁ!」


 馬鹿みたいな会話をしつつ、それぞれの近況を夜通し話した。




 保険、大事。貯金も大事。しみじみと思ったカナタさん。

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