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164、引っ越しパーティー②

 



 引っ越しパーティーを初めて二時間ほど経った。そこで漸くカンさんとご両親、エズメリーダさんとダニエレくんが到着した。


「いらっしゃーい。船旅お疲れ様です! ニールさんはお迎えありがとうございました」


 セルジオさんの誘導でこちらにやってくる六人をリビングで出迎えたら、エズメリーダさん以外の顔が引きつっていた。何だろうかと後ろを振り返ったら招待した人のほとんどがカーテシーをしていた。

 バウンティ、ゴーゼルさん、カリメアさん、アダムさん、クラリッサさんは、普通に立ったままだった。ジュドさんはリズさんに頭を捕まれて強制カーテシーになっていた。首が痛そうだ。

 因みに、アステルとイオとマシューくんはカンさんに抱き着いていた。


「「カーン!」」

「カン! カレーもってきた?」

「持ってくるか!」


 静まり返ったリビングに響き渡るカンさんのツッコミ。シュールだ。


「皆様、お顔を上げて下さい。私、降嫁致しましたのでもう王族ではございませんわ。出来ればカナタの友人の一人として扱っていただければと思っております」


 そんなエズメリーダさんの声で皆がおずおずと頭を上げだした。取り敢えずカンさんとご両親に挨拶。王都は楽しめているようで安心した。


「エズメリーダさん、ダニエレくん、皆を紹介しますね」

「あら、お願いね」


 エズメリーダさんとダニエレくんを引き連れて一人ずつ紹介していった。


「この子がテッサちゃん!」

「あぁ、カナタの一番の被害者ね」

「はい!」

「えっ? そういう認識なの!?」


 テッサちゃんが物凄く笑顔だった。


「リズさんとジュドさんと、あそこにいるのがマシューくん」

「お初にお目にかかります、リズ・ラセットでございます」

「どーも、ジュドです」


 ジュドさん軽いな。ジュドさんがエズメリーダさんに何か耳打ちして、エズメリーダさんは神妙な顔をして頷いて、ジュドさんに耳打ちして何かの返事をしていた。


「んー、じゃいいやー。よろしくね、エダちゃん」

「こちらこそ、よろしくお願いいたしますわ」

「ん? 何? 大丈夫?」

「ええ」

「大丈夫だよー」


 怪しいが笑ってるしまぁいい。リズさんも苦笑いしてるし大丈夫なんだろう。ただダニエレくんだけが物凄くソワソワしている。


「ダニエレくんトイレ? 案内しようか?」

「違うっ!」

「そ? じゃ紹介を再開するねー」


 リビング内を廻って紹介し終わったタイミングで揚げタコが出来上がって来た。


「あ、熱いから気を付けてね」

「「はーい」」

「カナタ、デザートは暫く後?」

「うん。もちょっとかかるよ」

「ん、プレイルーム行ってくる!」


 バウンティが男性陣を引き連れて移動し始めた。どうやらジュドさんが遊びたがったのからの、周りが興味を持っての参加らしい。

 

「あれ、どこに行ったんだい?」

「ニールは軽く食べたら行った方がいいよ」


 テッサちゃんがニヤニヤして言っていた。


 ――――ペチィン。


 ベラさんがニールさんの下っ腹を勢い良く叩いた。良い音過ぎて、ちょっと笑ってしまった。


「この下っ腹を凹ます機械があるらしいわよ」

「マジか!」


 お皿に盛っていた食べ物をガツガツ掻き込んで、走って消えて行ったのだが、ごふん程で戻って来た。


「自力かよ」

「そりゃそうでしょうよ」

「いやさー、カナタの世界だからさー、脂肪をニュルルっと吸い出してくれる便利道具があるかとさぁ……」

「あー、一時流行りましたね」

「「あるの!?」」


 物凄い勢いで女性陣が食い付いた。外科手術で、メリット、デメリットも存在すると話すと「そうよねー、そんなうまい話無いわよねー」と項垂れられた。

 こんな時はフィットネスゲームだ。テレビを付けて、ゲームを立ち上げる。ボードに乗ったり、ハンドルを回したり、スティックを振ったりとミニゲームをしてカロリーを消費する。


「あー、何か面白そうなのやってるー」


 ジュドさんがパタパタ走って来てゲームに参加しだした。何事もそつなくこなすこの男。まさかのゲームまで高得点。リズさんが小さく舌打ちしていた。


「そういやカナタちゃん、あの握力測る機械凄く面白いね! バウンティ、マジ引くわー」

「あ、ジュドさんはどのくらいでした?」

「俺、右が四十八、左が六十だったよ」


 左がえらく強いなと思ったら「フライパンじゃね?」との事だった。それから女性陣も測りたいとの事でジュドさんがプレイルームから持って来てくれた。


 リズさんは右が四十二、左が三十四。テッサちゃんもリズさんとあまり変わらず、ベラさんやアレくシスさんは二十前後だった。引いたのはエズメリーダさん。右が十四、左が九。


「「…………」」

「……流石王女」

「うん、流石王女」

「ちょっと! ソレ、バカにしてるでしょ!」

「いやいや、いやいや……ぶふっ」

「ん、もーぉ!」


 エズメリーダさんが真っ赤になって怒りつつ「王族に腕力はほとんど必要ないのよ!」と開き直っていた。

 だが、私は知っている。王族に腕力は必要なくとも、脚力が半端無い事を。カーテシー、マジで大変なのだ。足がプルプル、下っ腹もプルプル。何でアレをピンヒールでやれるのか、本当に謎だ。




 デザートに到着しなかった。

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