154、何度目かの爆買い。
日本観光八日目。いつの間にやら一週間が経っていた。
昨日はぶどう狩りして、お土産をリズさんに渡してタルトやケーキを作って欲しいとお願いした。今日のお昼には家に届けてくれるらしいので時間を見付けて取りに行く事になっている。
因みに、昨日も子供達が寝静まったあとスポーツジムに行った。私はほんのりウォーキング。三人はガチで運動していた。
『今日はデンキヤサンとスーパーに行くのよね?』
「はい。そんで、夜はカンさんのご両親を王都に届けてきます」
カンさんも日本観光に誘ったが、今更帰る気も出なくなってるし、日本に着いた瞬間、しゅわわわーっと年取ったら怖いという理由から断られた。その代わり、ご両親がフィランツに行きたいと言い出したのだ。
「さ、そろそろ電気屋さんのオープン時間になるよ。今日は日曜だから多いかなぁ」
そんなとーさんの掛け声で皆がわらわら移動開始して車に乗り込んだ。
電気屋さんは前回と同じ店だ。
『まぁぁぁぁ。凄いわ。発明品ばかりよ』
『カナタカナタ、あのソファは何じゃ!?』
「マッサージチェアですよ」
ゴーゼルさんに使い方を教えると蕩けるような顔で目を瞑っていた。カリメアさんが怪訝そうな顔をしながら横のマッサージチェアに腰掛けた。
『っ……あ、そこ……あぁ、ふくらはぎの揉み、素晴らしいわぁぁ』
「お? マッサージチェアってこんなに安くなってるんだ?」
「そーだよ。十万くらいでも結構良いもの来るよ」
「たしかおじちゃん、六十万くらいしたの買ったとか言ってたよね」
「あー。もう十五年は前でしょ?」
ヤバい。十五年前の記憶が『この前』って感じで話してた。怖い怖い。
ちょっと凹みつつ、買い物を続けた。
マッサージチェアはゴーゼルさんが欲しがった。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんにも使わせてあげたいそうだ。
取り敢えず買うものリストに入れて店内を見回る。
カリメアさんは美容系やデジカメなどをカートに詰め込んでいた。ゴーゼルさんはエアコンを欲しがっていたけど、設置出来る人がいないんじゃという話になり、一旦断念していた。
室外機とか配線とか流石に知らないし。
「そう言えば、ナナメドラム式の洗濯機とかはいいのかい?」
『カナタ!』
カリメアさんの圧力により買うことになった。洗濯機に抱き着いて転移する自分を想像するとかなり間抜けな気がする。
『これは何じゃ?』
「あー、自動でパン生地を捏ねてくれる機械です。食パン型でなら焼いてもくれます」
『自動で?』
「はい」
『買いね。うちに二つは欲しいわ』
「へーい」
店員さんに聞いて人気かつ使い方が簡単なものを選んだ。
子供達は電動のかき氷機を欲しがったのでハミルトンさんへのお土産も含め何種類か買ってみた。最近は蕩ける系が人気らしい。
『おうちでかきごおりー』
「あ、ブルーハワイ買って行こう」
あの不自然な青さが良いのだ。
「さて、店内見終わりましたし、マッサージチェアはどれにします?」
『ふくらはぎをマッサージする機能は外せないわね』
『わし入らんかったし……』
ゴーゼルさんのふくらはぎがムキムキ過ぎて窮屈だった。捩じ込めば入るけどって感じだった。
『ボタンが全部絵になっとるし、これかのぉ?』
『そーね。操作しやすいのも必須項目よね』
どうやら決まったらしい。
レジに行き、大きいものは宅配で頼んだ。あすの昼には届けてくれるらしい。
電気屋さんの次は倉庫型のディスカウントショップ。
『なんじゃこの広さは!』
『ふおぉぉぉ』
『スーパーちがう……』
そう言えばスーパーって説明してたっけな。てへっ。
普通のスーパーに置いてあるものより二倍はありそうなカートを押して店内を巡る。
『あら、これもらったチョコレートね。本当に安いわね……』
もらった当初は気を利かせて安いと言っている可能性も考えていたらしい。この数日でそれは払拭されたらしいがそれでも衝撃らしい。
「あ、試食コーナーはカルビ焼きだってよー」
かぁさんが、さささっと試食の列に並んで手招きしている。子供達は意味も解らず一緒に並んでいるようだ。そして、ゴーゼルさんはカルビ焼きが気に入ったらしい。
『これは、米の上にのっけて食べるのが美味そうじゃなぁ』
チラチラとこちらを見ながら言うので食べたいんだろう。夜ご飯はカルビ焼き丼になりそうだ。
その後も色んな食材を買い込み、またもや車をぎゅうぎゅうにして家に帰った。
手持ちが足りなかった為、家電類はとーさんのクレジットカードで払った。




