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149、自然公園風の動物園

 



 旅館二日目の朝ご飯は前回とほぼ同じメニュー。湯豆腐が最高だった。

 あと、朝方にコソッと一人風呂して、起きたバウンティに怒られた。


『起こせよ! 馬鹿』

「ごめーん。でもバウンティ温泉そんなに興味無いじゃん?」

『それとこれとは関係ない。心配するだろうが』

「あー、うん。メモ――――」

『読めなかった!』


 それを言われると、何とも。……申し訳無い。




 多少プンスカ中のバウンティを宥めつつ、今日の目的地に向かう。山を丸々使った自然公園風の動物園があるのだ。

 各動物で生息地を仕切ってあり、その中のコースを専用車や自家用車で移動出来るようになっているのだ。

 専用車は檻のようになっており、火バサミで生肉を掴んで肉食獣に餌付けなども出来る。


「檻から手を出したりとか……。しないとは限らないので、この車で良いですか?」

『そうじゃの。ええぞ』


 アステルとイオはしないとは約束出来るだろうけど、『もしも』はゼロでは無いので我慢してもらう。

 受付で音声ナビを借りる。各ゲートのセンサーに反応して説明が流れるそうだ。


「では、いってらっしゃいませ」

「ありがとうございます」

『『バイバーイ』』


 ドアや窓は絶対に開けないようにとーさんがロックしてくれた。後ろのドアはチャイルドロックと言う機能で、内側から開けられないようにした。


「おーし、しゅっぱーつ」

『『しんこー』』


 先ずは馬がいるゾーン。

 なぜかラマが一頭だけいた。そのラマは木陰でモシャモシャと地面の草を食んでいた。馬は五から六頭で固まっていたり、走ったりしていた。全部で二十頭いるらしい。


『うーまー』

『うま、はしるのはやいね』

『近寄っては来ないのね』

「馬は警戒心が強いですし、臆病ですからねぇ」


 ほほう。と、とーさんの解説を復唱した。

 次はとても大きなドームになっており、中を通ると大量の蝶々に迎えられた。このドームの中にはナマケモノもいるらしい。


『いたー! ぶらーってしてるよ!』

『どこー? あ、アステルもみっけ! あそこあそこ!』


 中々にだらっとしてくれていて、ほほえましい。

 次はビーバーとフラミンゴのゾーンだった。右側が川になっており、ビーバーのダムが見えるが、ビーバーは見れなかった。

 左側は池になっており、大量のフラミンゴが片足上げて立っていた。


『なんで、かたほうのあしだけ?』

「立ちっぱなしが疲れないように、だったかなー」

「あ、何年か前に学会で発表があったらしいんだけど、片足で立った方がバランスがとれるんだって。両足で立つと重心がぶれるらしいよ」

『……何でよ。意味不明だわ』


 そんな事言われても。研究者が発表したんだから事実に基づいてるんだろうし。

 納得出来なさそうなカリメアさんをスルーして次のゾーンへ向かった。

 次のゾーンは岩山ゾーンで、ラマ、山羊、アルパカ等が切り立った崖の上や岩場に数匹で固まっていた。

 

「おー、凄い所を歩いてるね」

『ギリギリ』

『ギュウギュウ』


 岩とか石とか落ちて来ないかと、ドキドキしながら通り過ぎた。

 次のゾーンはマレーバクや、アカハナグマなどがいる所だった。荒野っぽい作りになっていて所々にサボテンなんかも植えてあった。


『あれ、アカハナグマ?』

『ちいさいね』


 アカハナグマは犬と熊とたぬきを足して割った感じで、大きさは小型犬くらいで、ずんぐりしていた。アライグマ科らしく、手はアライグマに似ていた。

 所々に転がって動かないマレーバクを眺めながら次のゾーンに目をやると、ゾーンを区切る柵からぐんと飛び出した頭が見えた。


『『キリンだぁぁ!』』


 間近で見るキリンはデカかった。首をにゅーんと伸ばして季の葉っぱを食べていた。少し小さめのキリンが横にいる。


「親子かなぁ?」

『ちいさいキリンもおおきい』


 なんか『とんち』みたいな事をアステルが言っていた。


『キャンキャンきこえるー。いぬ?』

「あぁ、シマウマだよ」

「え? ヒヒーンじゃあないの?」

「……あ、うん」


 目から鱗がポロポロ落ちた。シマ()()なのにキャンキャン。謎い。

 シマウマの近くにはダチョウが走っていた。


「ダチョウって美味しいらしいね……」

『カナタ……』

『『ママッ!』』


 ――――総スカンでした。


 次は待ちに待ったライオンゾーン。なんと四十頭もいるらしい。グループは三つで、何頭かは単独派らしい。

 車で走っているとトテトテと何頭かが様子見風に近寄ってきて、少し並走して去っていった。走行速度は二十から三十キロでと決められているので結構ゆっくり見れるのだけど、肉食獣が近付いて来るのは少し落ち着かないなと思った。


「ラルフさんは平気なんだけどねー?」

『ラルフのほーが、おっきいね』

「うん。ラルフさんの方がツヤツヤしてるしね。いや、でも、何頭も集まると壮観だね」


 少し離れた木陰ではライオンが十頭近くごろんごろんと寝そべったり、お腹を出したりしていた。

 その後は、カンガルーやトラ、ハイエナなど様々な種類の動物を見る事が出来て、ゴーゼルさん達も子供達も大満足そうだった。




 ライオンに生肉をあげるのもやってはみたかった。

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