147、公園で。②
超ロングな滑り台を堪能した後は、バウンティが写真や動画を見て心奪われたアスレチック遊具。障害物競争のようなコースになっていた。
一つ目の遊具は二メートルほどの高さのログハウスの様な三角屋根の上からロープが垂れていて、それを登って反対側に降りると言うもの。
二つ目はうんてい。二メートルの高さの所に梯子が横に掛かったような形状。幅は三十センチほどで、横棒が十本ある。それぞれが変な形で、アーチ型、ウェーブ型、平面型、凹凸型など、妙に掴み難そうなものだった。
三つ目は、大小高低差が様々な丸太を地面に縦にぶっ指して作った道が三本。平均じゃない台的な? 五メートルもある。
四つ目は、丸太を寝かせた吊り橋。こちらは三メートルほど。
五つ目は、二メートル四方の枠にネットを張ってあり、山なり谷なりに四面繋げた遊具。
六つ目は、様々な長さの丸太の平均台を十メートル四方で迷路の様に組んでいる遊具。上をわたってもいいし、迷路として遊んでもいいらしい。
そして最後の七つ目が、ピラミッド型の巨大ジャングルジム。天辺に鐘がぶら下げてあり、鳴らしてゴールらしい。
「壮大なコースだね」
『師匠、下見してから……勝負するか?』
『ほっほぉー。ワシに勝てるとか思っとんのかぁ?』
『ん!』
何でかバッチバチ。そして、アステルとイオも戦うらしい。先ずはバウンティ対ゴーゼルさんで戦わせて、その後にアステル対イオをすることになった。
お昼時なせいなのか、子供が全くいなかったのでささっと勝負させて、普通に遊びたい。が、二人ともしっかり下見して、それぞれの遊具を確認しつつルールを決めたりしていた。
「はー、んじゃ、スタート!」
同時にダッと走り出して、丸太屋根のロープを使わずに飛び越えた。二人とも。ゴーゼルさんは二歩ほどで越えたけど、バウンティは下部に足を掛けて飛び上がり、一歩で頂点に立って向こう側に飛び降りた。ゴーゼルさんが少し遅れをとったようだ。
『ふぉぉぉ。パパ、いっぽ……』
イオがちょっと引いてた。
そして、次のうんていは中飛ばしは禁止らしく、一本一本ちゃんとぶら下がって渡っている。
丸太の平均じゃない台は、ゴーゼルさんは三個飛ばしくらいで走りながら渡り、バウンティは一番高いやつ四本だけを踏んで跳んでいた。けして渡ってはいなかった。
吊り橋も何の障害にもならず、さっと渡り終わっていた。
ネットの山と谷は、木枠を踏んで飛び越えていた。ネットを使えよ! とかぁさんがヤジを飛ばしていた。
丸太の迷路兼平均台は迷路をちゃんと歩いてた。地味だ。急にものっそい地味だった。
巨大なジャングルジムにほぼ同時に走って行き、ものの数秒で登り――――。
――――カランカランカラン。
バウンティが鐘を鳴らした。ピラミッドの天辺でいい笑顔をしている。
バウンティがジャングルジムからスルスルと降りてきて、目の前まで走って来た。
『勝った! 褒めて!』
「おー、凄い凄い」
バウンティの頭をナデナデしといた。ゴーゼルさんは心底悔しそうだった。まぁ、感想としては、「ゴリラだな」と「大人気ないな」だ。
『わたしたちもするー!』
アステル対イオもするそうなのでバウンティとゴーゼルさんにサポートをお願いする。
「んー、イオ、ハンデはいる?」
『いらない! せーせーどーどーする!』
なかなか男らしくて格好良かったので、ハンデなしでスタートさせた。
結果、アステルの圧勝ではあったが、イオもよく頑張っていた。ほとんどヘルプは必要なかった。うんていに届かないので、アステルもイオも抱えてもらって、ぶら下がっていた。
『じゃぁ、私はカナタと勝負しようかしら?』
「えー、勝負にもなりませんよ。私のボロ負け確定じゃないですか……」
とは言うものの、ちょっとは遊んでみるけども。
平均台兼迷路は、思いのほか脛をぶつけて痛かった。ジャングルジムの上の方は結構怖い。
子供の頃って気にならず遊んでいたけど、大人になって親目線で見てみると遊具って、年齢制限付けないと危ないんじゃないかなって物もある。
でも、楽しい。物凄く楽しい。多少は怪我してもいいから、大きな怪我が無いように遊ばせてあげようと心に決めた。
公園でひとしきり遊んだ後はお昼ご飯を食べてホテルに向かう。
「ちゃんぽん大盛りで!」
「あたしも! あと、餃子八個入り」
アステルとイオにはちゃんぽんの大盛りを二人で分けさせよう。
『カナタが大盛りって珍しいわね』
「いやー、タダだと思うと大盛りにしちゃうんですよねー。それに、余ったらバウンティが食べるだろうし」
『タダ? 無料なの?』
このちゃんぽん屋さんは普通盛りも大盛りも同じ値段なのだ。
ちゃんぽんが届いたら先ずは普通に食べる。半分ほどになったら、入らなさそうな分をバウンティの丼に入れる。残りの入りそうな分に、ラー油をかけて味を変えて楽しむ。
因みに、薬味として柚子こしょうも置いてある。
『相変わらず辛くするんだな』
「うまいんだぞー。ほら、ちょっと食べてみなよ」
『ん。あ、結構美味いな……ちょこっとかける……』
「でしょでしょ!」
豚骨ラーメンもラー油が合うんだけど、わりと賛同してもらえない。
あと、あっさり系の豚骨ラーメンに挽き割り納豆って合うんだけど、これは誰にも賛同してもらえない。「納豆ラーメン!? なにそれ、キモッ。味覚大丈夫!?」と言われるのがオチだ。
要注意なのは、こってり系。こってり系は駄目なのだ。豚骨と野菜で作られたあっさり系のみに合うんだけど、市民権は得られないだろうなぁ……。
大人気ない二人。
暫くの間、公開時間が不定時になっております。




