140、色々巡ろう
靴屋さんでドッと疲れつつも買い物終了した。
かぁさんとカリメアさんは二人で洋服屋さんに繰り出すそうだ。取り敢えず五十万円渡した。
とーさんとゴーゼルさんとバウンティは、車に靴を乗せてから買い物に繰り出すそうだ。こちらにも五十万円
現金は一昨日から今日までで合計百五十万円下ろして来ている。気持ち、大金持ちだ。落としたらどうしようとか思ってビクビクしていた。
「ほんじゃ、二時間後に一旦集合ね。集合場所はお昼ご飯食べた所で」
一旦解散し、それぞれ目的地へ向かった。
私は子供達と靴屋さんから一番近くにあった子供用のアクセサリーショップに来た。
「髪結ぶの買っとく?」
『かうー』
アステルに子供用のカゴを渡して買いたいものを中に入れるように言うとキラキラした顔で店内を見始めた。イオは興味無いかなと思ったらミレーヌちゃんに貢ぎたいとの事だったので、そっとカゴを渡した。
のんびり見て回っていたら高校の同級生にばったり出会った。
「え? 奏多ちゃん?」
「おぉー、良子ちゃんだ! スッゴい久し振りー」
「……行方不明に…………なってたよね?」
しもた。すっかりそのネタ忘れてた。
数年くらい記憶喪失で全然違う所にいて、最近思い出して、里帰り中だと話す。とーさんがそんな設定にしたとか言ってた。
「えっ、マジで!? もう思い出した?」
「いやははは、ビックリだよね! 全部思い出してるよー」
「相変わらず能天気そうで良かった! でも、見付かったとかニュースになって無かったのに……葉子も何も言って無かったし……」
「いやー、色々ありすぎてねぇ。葉子には話さないようにってお願いしてたの。ごめんね!」
「ううん。お父さんとお母さんも、大変そうだったしね。内緒にしといた方がいい?」
「ううん、もう大丈夫。何かで話が出たら元気にやってるって言ってくれると助かるよ」
「分かった!」
それから、少し世間話をしているとアステルが突撃してきた。
『ママ、みんなでおそろい、していい?』
「ひとつだけね」
『はーい』
ニヤニヤして消えていった。
「えっ、もしかして子供!?」
「うん。長女」
「外国の人と結婚したの?」
「そー、イタリア系の人」
っぽい顔してるからそこら辺でいいよね。後で設定を纏めようかな。
「マジかぁ!」
「良子ちゃんは結婚とかは?」
「いやー、何も無い。姉の子供に付き添ってここ来ただけ……くそぅ、リア充め!」
「あははは! それ、久し振り聞いた!」
バウンティの事を聞かれたので、写真を見せた。今度は「リア充爆死しろ」と呪われた。
葉子以外の友達と話せて、何だかスッキリした気分になった。今まで秘密にしているのも心苦しかったので、話せる部分だけでも話して、交流も再開させたいなと思った。
アクセサリーショップでお買い物の後は、プラスチックのブロック専門店に来た。
『ぷふおぉぉぁぉ!』
『ママママママ!』
「はぁぁぁぁぁい?」
『おうじさまと、ブロックおそろいする!』
「靴のおそろい出来なかったからねぇ。いいよー」
『ママ、フィリップのおみやげ、いい?』
「この箱より小さいのならいいよ。イオはマシューくんのもね?」
『『はーい』』
目の前の三千円の箱を指す。専門店なので、五万とかの箱がざらにあるのだ。流石におみやげの領域を超えている。
のんびり店内を見回しているとハリウッド映画のワンシーンのセットがあった。海賊船が超格好良い。九千円…………九千円か……。
『キュウセンエンって何がだ?』
「ほわぁぁっ! バウンティ! 口から心臓が飛び出るかと思った……」
『どんな病気だ!?』
言い回しというか比喩というかですね、のやつ。そして私はブツブツと『九千円』と呟いていたらしい。
「いや、コレ好きな映画のなんだけど、銀貨九枚かと思うとねぇ。一回作ったら満足して終わりだしなぁ。よし、買わない!」
箱を置いて、バウンティに向き直る。
どうやら、通りすがりに私を見かけて立ち寄っただけのようだ。
「次はどこいくの?」
「今から背広とワイシャツを見に行こうとしてたんだけどね」
『この店に入った瞬間、師匠がブロック買うって言って消えた』
「……おん。なんかごめんよ」
「あ、いたいた。ゴーゼルさん!」
『リュウタ! コレ、カウ!』
「あはは。はいはい」
アホみたいにでかい箱をゴーゼルさんが持って掲げていた。お財布係のとーさんが笑いながらゴーゼルさんの元へ行った。
「仲良くやれてる?」
『ん! リュウタもフィランツ語を少し勉強してたらしい。単語単語で話せたぞ。お前の両親は凄いな! 俺もお前の両親みたいに、アステルとイオの為に出来る事、もっともっと探すな!』
蕩けるような笑顔で両親を褒めてくれた。そして、子供達の幸せを考えてくれる。そんな事を言われると思って無かったのでビックリしたけど、嬉しいのと幸せな気分で鳩尾あたりがポカポカした。
ブロック屋さんでバウンティ達とは別れ、子供達と私は家具屋さんに来た。
『ママ、ベッドかわいい』
アステルがポーッと見とれているのは白やピンクがメインのロココ調のベッドやソファで曲線が美しく、猫脚になっていたりする。所謂、姫系ってやつだ。ぶっちゃけ物凄く好きだ。悶えるほど好きだ。
「…………部屋に合わないよ」
それが一番。あと、ポロっとバウンティとは話したのだけど、今後の事を考えると警備しやすい所に引っ越す案も出ているのだ。今回の旅行が終わってからゆっくり話し合おうと思っていた。
部屋に合わないだけではアステルも納得はしないだろうし、軽く話してみる事にした。
「アステル、イオ、いま住んでるお家、好き?」
『『すきー』』
「ママも好きなんだけどねぇ。アステル達が大きくなったら、自分だけの部屋とか欲しいでしょ?」
『ほしい!』
『うーん。たぶん? でも、いっしょもすきだよ?』
アステルは欲しいらしい。イオはまだまだ一緒に遊んでいたいんだろうな。
「まぁ、いつか……というか、今回の旅行が終わってからバウンティと話し合って大きい家を買おうかな、とかのね、計画を立てようとしてたの。今すぐじゃ無いけどね。その時に合わせて、ベッドとか、本棚とか新しいものに変えようかなって思ってたの」
『そのときになったら、アステルのすきなベッドにしていい?』
「もちろん!」
『わたし、そのときまでまつ!』
『ぼくも、ぼくのすきなの、していいの?』
「うん! イオのすきなベッドやカーペット、壁紙、色々選んで欲しいな」
『かべも……ニュフッ…………ぼくもまつー。アステル、どんなのにする?』
『わたしね――――』
家具屋さんの中で、将来自分の部屋に置きたいものを見て回って、二人で『いーねー!』など言い合って楽しそうだった。
やっぱり、自分の部屋は自分の趣味にしたいよね。
テンションだけで家具を買うと、統一感の無い部屋になるよね。(反省はしない)
次話も明日0時に公開です。




