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136、パフェ専門店と百円ショップ

 



 水族館を出てパフェ専門店に行く。

 十分程で到着した。


「お、平日だからかな? 空いてるね」

『ガラスケースに本物を並べてるの? 中は冷蔵庫になっているの? それとも冷凍庫?』

「へ? あ! 偽物です」

『『はぁぁ?』』


 気持ちは解る。本物にしか見えない。日本って変な所に細部までこだわる質だからね。職人気質というか。


「こういうの作る教室みたいなのあるよー。観光に来た外人さんに人気なんだってー」

「へぇ。そんなんあるんだ!」


 たのしそうだなぁ。マカロンとか作るやつは何回かしたなぁ。あのセット昔は高かったけど、最近は百円ショップにもあるんだよね。


「あ、帰りに百均行きたい」

「唐突だね?」

「いや、ゴーゼルさんとカリメアさん、絶対好きそうじゃない?」

「確かに! 龍多さん、ちょっと遠回りして大きい所に連れて行ってよ」

「了解しました、お嬢さん」


 うむ、いつもラブラブだ。

 そんな両親を横目に席に着く。


『おれ、パインの!』

「メニューを一旦見ろや!」


 即決しすぎじゃ。ちょっとくらい迷え。


「ぶふふっ。名前が凄いよ、ちょ、龍多さん! 見て!」

「あー、これは…………恥ずかしいね」

「それが良いんだってばー! おっちゃんもおばちゃんも解って無いなぁ!」


 いや、私にも良さは解りません。何だ『初恋のときめきを思い出して!』って。何味だ。いや、下に『ミックスベリーとヨーグルトとソフトクリームのパフェ、レモンムースが添えてあります』って書いてあるけど。その説明が商品名で良くない?

 カリメアさんが全部読めと言うので暫く苦行の時間を体験するはめになった。


『ふぶぉっ。ワシ、二面性のアナタ、にする!』

『何で、このパフェはインタラクティブ、ってタイトルなんだ?』

「パフェの『パ』とインタラクティブの『イン』じゃないの?」

『……あー』


 いや、何で私がスベったみたいな顔されなきゃなんだ。誰だこのタイトル付けたヤツ。もうちょっと捻れ! 美味しそうだけどっ!


『アステル、イチゴ姫のダンスパーティー、にする!』


 それぞれ頼みたい物が決まったので注文した。ちょっと時間はかかったが、出来上がった物を見たら、感嘆の声しか出なかった。

 バウンティのは、シャンパングラスの大きめの物に、下段から、パインソース、ヨーグルト、キウイソース、ヨーグルト、グラノーラ、ヨーグルトで層に。そこからパインとキウイの角切りで市松模様を三段作り、内側にヨーグルト、その上にパインシャーベット、横に生クリームを絞り、チョコレートで作った蝶々を添えてあった。


『パパのかわいー! ちょーちょ、すごいねぇ!』

『ん』


 バウンティがチョコ蝶をアステルにあげていた。

 アステルの頼んだイチゴ姫のやつは、花のように広がったタイプのグラスに、イチゴソースと生クリームをマーブルに混ぜた物を敷き、コーンフレーク、生クリーム、チョコソース、生クリーム、イチゴの薄切りをグラスに張り付け、内側にはバニラアイスとイチゴシャーベットを二センチの玉状にしたものをポロポロ入れて積んであり、生クリームを絞った回りに、バラのように飾り切りされたイチゴを三個飾ってあった。

 美しい、の一言だった。カリメアさんがバシバシ写真を撮っていた。


『カナタのも美しいわね』


 私のは、おニューを着た貴女は輝いている、というパフェで、シャンパングラスにグレープソース、ヨーグルト、コーンフレーク、ヨーグルト、マスカットソース、生クリームで細かい層を作り、弾力の強いグレープゼリー、生クリーム、その上にグレープシャーベットを乗せ、中心に生クリームを絞り、シャインマスカット、デラウェア、ニューピオーネをピラミッドのように積んであった。

 ちょっと気付いてたけど、妙に親父ギャグ的なネーミングセンスだ。

 味は美味しい。ビックリするくらい美味しい。しかも八百円程度で、大きさや材料のわりに安かった。


『んまー! グランパのうんまーい!』


 ゴーゼルさんのは普通のイチゴメインのフルーツパフェだったのだが、実はフルーツは炭酸に漬け込んでシュワシュワになった『炭酸フルーツ』だった。


「この名前はちょっと上手い……」

「確かに。普通かと思いきや、シュワシュワ。二面性だね」


 葉子とネーミングセンスについて熱く語り合った。




 パフェも堪能し終わって、百円ショップに来た。

 ほぼ全てが銅貨一枚と消費税で買える事、時々トラップで銅貨二枚から五枚の商品もあると教えた。

 なぜトラップを仕掛けるのかとブーイングをくらったが、知らない。銅貨一枚の以外には必ず金額を書いてある札が付いてるから安心してと伝えた。

 日本人でもレジで『あっ、これ百円じゃないじゃん!』とかトラップに引っ掛かる事があるのは、伏せておいた。

 払えるけど、問題はソコじゃないのだ。百円じゃなかった衝撃って結構凄くて凹むのだ。


「はい、アステルとイオはカートに乗って」

『『はーい!』』


 素直でよろしい。早速、突撃じゃあ!


『カナタ、これも銅貨一枚なのか!?』


 ゴーゼルさんがお店に入って一歩で素早く釣られた。季節品コーナーでビーサンを持っている。


「はいはい。そーですよ、話聞いてました?」

『……いや、聞いておったが。ローレンツで銀貨一枚じゃぞ?』


 そいや、そうだったなぁとか思いを馳せていると、カリメアさんが化粧品コーナーでワナワナしていた。

 カリメアさんが使っているような化粧品の品質には到底及ばない、と思うとは伝えたが、それでも銅貨一枚は可笑しいそうだ。まぁ、確かにね。

 タオルやハンカチの柄入りの物をみて感動していた。


『ん、これカナタが来た頃、使ってたスポンジだな』

「おー、そっくりだね。何か買って行こうかなー」

『アヒル! なににつかうの?』


 お風呂コーナーに必ずいる、嘴が赤いアヒル。プカプカ浮くやつ。何に使うのかは、知らない。プカプカ浮かべて……それだけだ。


『何の為なのよ』

「…………癒し?」

『『……へぇ』』


 だから! 何で、私がスベった感じになるかなぁ。

 



 ゴーゼルさん、カリメアさんに商品の説明をしながら、カゴに買う予定だったもの、何となく欲しくなったものなどを入れていく。

 家に帰って袋の中を見た時『何でこれ買ったんだっけ?』が起こる。そして死蔵する。百円ショップマジックだ。

 そして、子供がカゴに入れてくる物に総じて『それ本当に使う? いらなくない?』と言う。これも百円ショップマジックである。

 百円ショップは怖いのだ。




 個人的に『このパフェはインタラクティブ』のセンスが酷すぎてお気に入り。


 時々ね、ネカフェで書いてたんすけど……ネカフェ、営業自粛で閉まっちゃったorz


次話も明日0時に公開です(泣)


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