132、日本でもやっぱりカレー!
子供服やベビーカー等を買い車に積み込んだ。
「さて、どこか行きたい所はある?」
「――――ってよ?」
『いきたいとこー?』
『ぼく、もっとおみせ、みてみたい!』
「お店? 何屋さんとか?」
『グランパのおかし! みたい!』
「んー、スーパーで良いっぽい」
コンビニや駄菓子屋さんでも良さそうだけど。
取り敢えず近所のスーパーに来た。子供を乗せるカートにそれぞれ乗せようと思ったら、カートが凄い進化を遂げていた。
記憶に有るのは、普通の手押しカートに折り畳みのイスが付いているやつか、キャラクター物の車型のカートにカゴを一つ乗せれるやつだった。
「何これ! 立って乗れるの? 開発した人、頭良い!」
「座らない子っているもんね」
逆転の発想か。本当に考えた人って凄い。アステルは立つ派。イオは車派だった。見たいものがあったら『とまりまーす』と言うので止まってあげるとシートベルトを外し、ドアを開けて車型カートを下りるという徹底振り。アステルは『あっ!』と言って飛び下りていた。
『カレールーだ! ママ、カレーたべたい』
「かぁさん、カレー食べたいって」
『ばぁばもカレーつくれる?』
「作れるよ。……誰でも」
「…………まぁ、ここではね」
ルー溶かすだけだからね。簡単なのだよ。
『『カレーパーティー』』
「パーティーは三人が生き返ったらね」
『あした?』
『あしたのつぎ?』
「んー、明日の次……明後日かな? たぶんだけどね」
『『はぁぁぃ』』
ちびっ子達がションボリしながらカートに乗り込んでいて何だか笑えた。この短時間でカートに乗るが当たり前になっているようだ。
ふと見るとかぁさんがいつものカレールーを取っていたので慌てて止める。
「かぁさん、辛口食べれない!」
「わかってるって。ちゃんと子供用に甘口も買うわよ」
「あ、いや…………大人もです」
「……三人共?」
「…………うん」
「奏多、あれだけ厳ついゴーゼルおじ様も?」
「うん」
葉子が笑い死にしそうになっているが放置。バウンティは何となく気付かれてはいたようだけど、ゴーゼルさんとカリメアさんに関しては、今まで何となく黙っていた。
結局、皆で甘口を食べる事になった。後混ぜ用のスパイスがあるから私はそれを混ぜて辛口にしよう。
「お肉は何が良いの?」
『とりさん』
「鶏肉だってー。しめじと、茄子も入れてー」
「はいはい」
アステル達はおやつをカゴいっぱい選んでいた。渋いお菓子から最新の駄菓子まで幅広く選んでいる。どうやらマシューくんと三人でちょこっとずつ食べる計画らしい。
『これはミレーヌちゃんにあげる!』
「もう買うの? 色々見て決めたら?」
『パーチーのとき、なくなってシュンってしてたの』
パチパチする飴を砕いてわたあめに混ぜてある駄菓子だった。三十円一個て。箱買いしてあげよう。
なんやかんや無駄な物も買いつつお買い物終了した。
「たっだいまー」
『『ただいまー!』』
アステルとイオはリビングに突撃をかましていた。お昼はかぁさんととーさんに任せて私と葉子は荷物の片付けとゲロ袋の片付けをした。
アステルとイオがバウンティとゴーゼルさんの頬をベチベチ叩いて起こしている。カリメアさんはナデナデで起こすらしい。優しいのか鬼なのか謎だ。
『パパー、お昼はカレーだよー』
「カレーきついなら雑炊も用意出来るよ?」
『カナタ、私は雑炊をお願いするわ。カレーは流石に……ウップ』
バウンティとゴーゼルさんはカレーを食べるそうだ。大丈夫なんだろうか。
圧力鍋で煮込んだらしく素早く出来上がった。心のメモ帳に圧力鍋購入と書き込んだ。
『うっみゃーい!』
『んまーい!』
「何? 美味しいって?」
「そそ」
アステルとイオは幸せそうにカレーを頬張っていた。バウンティとゴーゼルさんはカレーをチョボチョボ食べている。カリメアさんは雑炊をゆっくり咀嚼している。カレーと雑炊は飲み物だと思うんですけどね? あれ? 違うのかな?
「ふへー。お腹いっぱーい」
『ふぅ。ソウコ、リュウタ、挨拶もせずに寝ててごめんなさいね』
と言うのをそのまま繰り返す。
「いいよー、すっごくきついんでしょ?」
『ええ、ビックリしたわ! 胃はひっくり返りそうだったし、目眩と耳鳴りと頭痛と間接の痛み……目眩と吐き気は少し治まって来たけど、他と倦怠感が酷いわね』
『ワシもじゃ。食欲は少し出たがのぉ』
どうやら明日も丸々休めば、明後日には活動可能な体調には戻りそうだとの事だったのでそれで予定を立てる事にした。ゴーゼルさんとカリメアさんは二階の両親が元々使っていた部屋。バウンティは私の部屋に寝かせた。
元気なメンバーは予定の話し合いや予約を取ったりと精力的に活動した。
夜、ゴーゼルさんとカリメアさんにお風呂の使い方を教えて、一人ずつ入ってもらう。我が家のお風呂はそこまで広くないので、夏と言えども湯冷めしたら風邪をひくかもしれない。危険はなるべく遠くに追いやって旅行を楽しんでもらいたい。
アステルとイオは私の部屋でベッドに。私とバウンティは床に布団を敷いて寝る事になった。
『ママとおなじへや、ひさしぶりだね』
「確かに! 久し振りだね」
『あしたはなにするの?』
「明日はね、水族館に行こうと思ってるよー」
『『スイゾクカン?』』
「お魚とか、イルカとか、海の生き物が見れる場所だよ」
『ふぉぉぉ。イルカ!』
『ちかくでみれる?』
「うん。海で見たのよりは近くで見れると思うよ」
アステルとイオが急いで布団を被って、早く寝て、早く明日が来る作戦を立てていた。ちょっとどこのアホの子ですか。何か、同じ事してたチュルチュルのヤツを思い出してしまった。
『俺もついてく』
「大丈夫? 水族館なんていつでも見れるでしょ?」
『……あっちにはそんな施設無いぞ』
マジでか。当たり前にあると思ってた。だって動物園はあるんだもん。
寝る直前にカルチャーショックで目が冴えてしまった。
好きな料理、カレーはいつでも不動の一位。
次話も明日0時に公開です。




