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131、見なかった事にした。

 



 日本に到着して、バウンティ、ゴーゼルさん、カリメアさんの三人はゲロゲロぐったり。

 私、アステル、イオの三人は元気モリモリ。


「血とか、遺伝的な何かかなぁ? まぁ、良かったね!」

『ママ、おなかへった』

「私も! かぁさん、お腹減った!」

「自分で作りなよ。あたしはアステルを抱っこするのに忙しいから。あ、お米は炊いてるよ。雑炊の準備もしてるからね」


 現在アステルはかぁさんの膝の上、イオはとーさんの膝の上で冷たい麦茶を飲んでいる。


「あ、私も何かちょこっと食べたい!」


 葉子は無視で良いかな。

 リビングで死にかけの三人に声をかける。


「そっちでご飯食べれそうな人います?」


 床にバウンティとゴーゼルさん、ソファにカリメアさんが寝ているが、三人とも食べれないそうだ。

 バウンティは二人より少し元気そうだが、食べたら「間違いなく出る」そうだ。自分で酔い止めのツボを圧してみてはいるが、効かなかったらしくションボリしていた。

 そそそっとリビングとダイニングを仕切るドアを閉める。テレビのリモコンはバウンティの横に置いたし、飲み物はテーブルの上にあるし、暫くはそっとしておこう。




 雑炊はお米と卵を入れるだけになっていたので、三人の食欲が出たら作ってあげる事にして、こちらはいつもの朝食な感じで、玉子焼き、ウインナー、キャベツとしめじとツナの炒め物にした。


「あれ? イス買ってくれたの?」


 ご飯の準備が終わって並べていたら、とーさんが子供用のイスを運んで来ていた。


「暫くいてくれるんなら必要かと思ってね」

「ありがとー」

『『グランパありがとー?』』


 子供達はとーさんが何を言っているのか解らないけど、取り敢えずお礼を言ってた。雑だな。誰に似たんだ?

 ご飯をモリモリ食べつつ今日の予定を考えていた。


「しかし、アレよね、紛らわしい」

はふぃがー?(なにがー?)

「飲み込んで喋れ。あたしもカリメアちゃんも『グランマ』でしょ?」


 ――――確かにね。


「僕的には『じーじ』がいいかなぁ」

「おっ、んじゃあ『ばぁば』で!」


 二人の希望により呼び方を変える事にした。アステルとイオも楽しそうに呼んでいる。


『『ごちそうさまでした』』


 皆で洗い物をして片付ける。ダイニングで気になっていた事を確認する。


「この前渡したジュエリー類はどうなったー? 遊べる資金になった?」


 そう聞くと、かぁさんととーさんは困ったように見詰め合い、葉子はケタケタ笑い出した。あまり良い金額にはならなかったのだろうか。そうだと、提供してくれたカリメアさんに申し訳ない。


「売ったお金は……通帳に振り込んでもらったよ」


 そう言って私の不名誉なタイトルが付いた通帳を渡された。不思議に思いつつページを捲る。数字の桁が八個ある。

 一度ゆっくり閉じて、最初のページから捲り直す。印字されているのが最初のページしか無いけども。


「印字ミス?」

「無い無い」

「小数点以下も書かれてる?」

「無い無い」

「にしぇんまんえん?」

「二千三百万円だったよ」

「マジか! ヤバいよね? ヤバいヤバい、怖い! つか、そんな高価な物素手で持っちゃってたの!?」

「いや、ホント……目が点になるよね……」

「……うん」


 意味が解らない。このお金をどうしたら良いのかも解んないし、税金も怖い。スルーでいい気がする。ちょこっとは使うけど。

 取り敢えず色んな問題は放置して、観光は三人が元気になってからだろうから、アステルとイオの洋服を見に行く事になった。

 バウンティに報告すると『……ングッ…………ふぅ、置いてくのか?』とかウルウルした目で見られたが、既にゲロりそうなのに車に乗ったら駄目だろう。大人しく二人の面倒見といてと命令した。

 とーさんは今日の為に大きいファミリーカーをレンタルしてくれていた。ありがたや。


「奏多、鬼だね」

「えー、ゲロゲロするの解ってて来たんだし? 暇だし? 葉子はついてくるでしょ?」

「もち!」

『いってきまーす!』

『パパ、ちゃんとねんねするんだよ?』

『…………ん。楽しんでおいで』

『『はーい』』


 子供達も心配より好奇心が勝っちゃうよね。って事で出発だ。




『ふぉー、ドレスがあるー』

『ふぉー、カッコイイふくいっぱい!』

「好きなの探しておいでー、アステルは黄色でこの数字が書いてある服なら大丈夫。イオは……黄緑か水色ね」

『『とつげきー!』』


 棚には突撃かますなよ、と心の中でツッコミつつも私も子供達の近くで服を見る。

 イオは戦隊物のプリントが付いている服をキラキラした目で見ていた。


『じーじ、アレとって!』

「とーさん、上の取って欲しいって」


 とーさんがニコニコしながら服を指差し、イオが顔をプルプルしたりコクコクしたりして取って欲しい物を伝えていた。

 かぁさんはアステルに服を見せ、アステルが手でバツをしたり丸をしたりするのを見て判断していた。

 葉子は玩具コーナーにいた。


「なに見てんの?」

「あんぱんのやつ。昔、こういうの好きだったよねー」

「懐かしいねぇ」


 キャラクター物のブロックの玩具や知育玩具が置いてあった。その横にはベビーカー等がある。あちらにもあるけど、折り畳めないし、何かでかいし、重たいってヤツだった。見ただけで諦めて買わなかったのを思い出した。


「買っとこうかな」

「イオが座るの?」

「イオは絶対座らないと思う。あっちでの開発用にね」

「なる!」


 ついでに夜のお漏らし用のパット等も買う事にした。前回持ち込んだ物の残りが少ないので丁度良かった。




 預金通帳は六桁しか見た覚えがありませぬ。


次話も明日0時に公開です。

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