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117、殲滅計画とストック作り。

 



****** side:B







 カナタがキッチンで何か騒いでいる。どうやら勤務時間や給料の話をしているらしい。そしてシエナにちょっとディスられている。プリプリ言っている、可愛い。

 そして、師匠の家に就職出来るのがなぜ出世コースなのか不思議がっていた。未だに地位の事、ちゃんと理解していないのだろうか? いや、解ってはいるのだろう。きっと地位が高いから人気なのが理解出来ないのだろう。「雇用条件がいいからかなぁ?」とか言っているし。

 雇用条件は特に優良かと言うと普通だと思うのだがな。


「バウンティ、バウンティ、今日ってよていあるー?」

「ん、アダムと打ち合わせだ」


 来週、殲滅作業に出掛ける。その時のルートや作戦パターン、担当を決めて、武器を用意し……まぁ、ナイフだけでいいか。後は、日程か。そこらを辺決めてから、カナタ達を何とか引き止めて、一緒に日本に行くって言おう。

 カナタは解ってない。カナタが違う世界に行ってしまった時、カナタの存在が感じられなくて本気で怖かった。カナタ達を置いて死ぬんだと思ったら、後悔した。

 カナタにそれを言うとまた怒られるから言わない。絶対に言わない。怒られるのは嫌いだ。


「んー、バウンティは用事あるなら私はシエナちゃんとケイナちゃんとストックとか作って遊ぼうかなー。アステルとイオも誘おー」


 カナタが足取り軽くリビングに行きながら「あ、バウンティはアダムさんとリビングで打合せしていいよー」と言い、軽やかに横を通り過ぎようとした。

 慌てて引き寄せて抱き締める。


「なーに?」

「ちょっとくらい構えよ…………仲直りの時くらいイチャイチャしたい」

「っ、うっさい! さっさと打合せしろー!」


 顔を真っ赤にして逃げられてしまった。

 



「んで、どーすんだ?」

「こっちは任せて良いか?」

「いーけど、お前が残りやんの?」

「ん」

「はぁ……無茶すんなよ。こっちもやってやるよ」

「んー、助かる。……一日で終わらせるからな?」

「……は? いや、ばっかじゃねぇの!? いや、無理無理無理!」


 やろうと思えば出来るだろ、ローレンツ内の二つの組織のアジト五ヵ所くらい。その為の打ち合わせじゃねぇか。

 



 どうにかアダムを丸め込んだ。明日で決定だ。


「でもさー、組織のアジトだけ潰してもどうせ再興するだろ?」

「? 何言ってるんだお前、呼び出しときゃぁいいだろ」

「まさか……」

「ん、わざと情報漏らす。ヤツ等を集めときゃあ楽だしな」

「楽じゃねぇよ。マジで楽じゃねぇ! 馬鹿めっ!」


 壊滅作業で大切なのは、圧倒的な力量の差を解らせ、恐怖と諦めを植え付け、自分達で組織を解体しようと思わせる事だ。

 解体に反発して他の組織に移動しようとも、他の組織もほぼ壊滅状態で同日にやられたと解ればローレンツから出ていくだろう。


「そーだけどさぁ。何で急に短期で?」

「置いて行かれたくない!」

「……煩悩丸出しか!」

「悪いか!」


 アダムが溜め息を吐きながらも了承してくれた。

 明日が楽しみだ。たっぷり恐怖を植え付けて、奥歯ガタガタ言わせて、阿鼻叫喚にしてやろう。そして、カナタに誉めてもらおう。

 

 ――――ん、完璧だ。







******







 バウンティがアダムさんと打ち合わせをするそうなので、アステルとイオを誘ってキッチンでストック作りをする事にした。クラリッサさんは打ち合わせの方に参加するかと思ったが、どうやら私達の護衛をしてくれるらしい。


「テッサちゃんとシエナちゃんは玉ねぎ五玉をみじん切りお願いします」

「「はい」」


 私はカボチャを半分に切り、種を出し、カボチャの半身にラップを巻く。そして、レンジで五分。

 ちょっと熱いが、柔らかくなって切りやすいのだ。

 切ったカボチャをボウルに入れ、ラップをかける。またチンする。今回は少し時間がかかるので、子供達にチーズを渡し、手で小さくちぎってもらう。


「チーズ、なにするの?」

「カボチャのサラダにするの」

「イヒッ。ぼくね、チーズいりの、すきー!」


 ――――知ってますよ。


 テッサちゃんから玉ねぎを半玉分ほど受け取り、カボチャと入れ替えで軽くチンする。茶巾で軽く水分を取り、カボチャの上に。

 マヨネーズとチーズ、塩コショウも入れて、マッシャーで軽くマッシュしていく。子供達が大活躍だ。力が弱いので全力でマッシュすると、程よく形が残って丁度良いのだ。

 出来上がったら日本で買っておいた密閉タッパーに入れる。荒熱が取れたら蓋をして冷蔵庫に入れれば五日程は持つ。


「できたー」

「つぎは?」

「次は、ミートソースだよ」

「「はーい」」


 トマト缶をボウルに出して、アステルとイオにフォークを渡す。


「ブスブス潰しててね?」

「「はーい!」」 


 実はコレには特に意味は無いのだが、お手伝いしている気分になってもらえる。

 子供達がブスブスしている間に玉ねぎの二玉分ほどのみじん切りをチンしてクッタクタにする。

 シエナちゃんにはニンジンとマッシュルームもみじん切りにしてもらった。

 玉ねぎのチンが終わったら、フライパンにオリーブオイルをしき、みじん切りのニンニクを炒める。パチパチと弾けて色付き始めたら、玉ねぎのみじん切りをフライパンに投入。


「炒めるのは私がやります」


 ケイナちゃんが代わってくれたので、私は豚ミンチを炒めてそぼろを作る。数分で玉ねぎがしっとり、もったり、してきたので、ニンジン、マッシュルーム、そぼろの半分を玉ねぎに混ぜ、子供達がブスブスしたトマトを受け取り、玉ねぎと合わせて更に炒める。塩コショウとコンソメで味を調えてしっかりと煮詰めれば完成だ。

 余った玉ねぎは小分けにして冷凍庫へ。他にも、キノコ類や、じゃがいも、ニンジンなども様々な形に切っては密閉できるビニールに入れて冷凍庫で保存する。


「ふいー、作った作った。冷凍のストックとか、あると便利だよねー。さて、お昼は何にしようかなぁ」


 冷蔵庫の中身を見ながら、何が食べたいか話し合った。




 引かれるの間違い無しなのに、誉めてもらえると思っているバウンティ。


次話も明日0時に公開です。

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