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108、楽しく夜ご飯

 



 久し振りの自宅、リビング、深呼吸!


「あー、良い匂い! 自宅だぁ!」

「いや、ソース臭いだけだぞ?」

「ソース、いいにおいだよ?」

「いや、そうだけどな……」


 自宅がそんな匂いは嫌だとかバウンティはブチブチ言っているが、アステルもイオもピョンピョンと机の上を覗いて何のご飯があるか確認している。


「アステルとイオとマシューはイスに座って食べなね」


 ジュドさんが子供達のイスを用意してくれた。大人はイスが足りないので立食だそうだ。


「お前……何を我が家のように……」

「飯の準備、俺だけど? お礼は?」

「……アリガトゴザイマス」

「よし!」


 ――――チンチンチン。


 ジュドさんがグラスをフォークで叩いて皆の私語を静めて注目させていた。


「はーい、じゃあ、家主から……や、家主はカナタちゃんか。バウンティから説明と謝罪会見ですよー」


 ――――あ、本当にさせるんだ。


「チッ。細かい事はまだ解決して無いが、数日中に粗方片付くとは思う。今回、俺達に暗殺やら色々と危ない依頼が大量発生していた。まぁ、それにより……ちょっと死んだ事になったりして色々と心配や迷惑をかけた。すまなかった」


 バウンティがチラッとこっちを見てくるので私も何か言えって事なのだろう。


「えっと、私達が死んだ事にした犯人は私です」


 ちょっとザワ付いてしまった。


「色々とあって……ちょっと腹いせ込みで犯人探ししてたもので……。ごめんなさい」


 ペコっと頭を下げて謝った。

 皆が犯人や他の依頼の心配をしてくれた。


「暫くね、アダムさんとクラリッサさんが護衛してくれるって。だから大丈夫!」

「マジで? 超豪華な護衛じゃん!? あ、でもアダムさんの食費はかさばるのかぁ」

「いや、お前の中の俺って何なの!?」


 流石ジュドさん。皆を笑わせて、謝罪会見を終了に導いてくれた。

 そして、その流れでご飯になった。


「わー、お好み焼き、色々ある!」


 お皿に一口サイズに切られたお好み焼きに、名前を書いた旗が刺してあった。エビ、イカ、豚、チーズ、ミートソース。

 何だミートソースって。不思議に思い食べてみると、フワフワのピザみたいだった。


「うまーっ! え、これ凄く美味しい!」

「でっしょ!? この前、余ってたの試しに入れてみたら超美味しくてさー。今、マシューがハマってんの。上にチーズ乗せて、ちょこっとオーブンで追い焼きしても美味いんだよ」


 ほうほう。素晴らしい事をきいた。今度やってみよう。


「カナタちゃん……」


 後ろからギュッと抱き締められた。こういうのは大体ユーリちゃん。


「本当に大丈夫?」

「大丈夫だよ、ユーリちゃん。ごめんねー?」

「んーん。カナタちゃんが無事ならいーよ…………必要だったんだよね?」

「うん。ちょっと暗躍してみたの!」

「暗躍ー? カナタちゃんが?」

「むーっ、頑張ったんだよ!?」


 クスクスと笑いながら頭を撫でられた。ふと見ると、なぜか男性陣が壁際に固まって何かをしている。ソロソロっと近付いて覗き込む。


「何してんの?」


 全員が飛び上がれるほどに肩を跳ねさせていた。そして、バウンティの手を見て納得。納得は納得だけど、今じゃなくて良いだろうよ。

 

「ジュ、ジュドに渡してただけだ……」


 そしたら、皆にバレて配る事になったのか。

 全員がコソコソとポケットに小さな包みを隠し出した。


「ちゃんとしたサイズの使いなよー」

「「ハイ!」」


 全員が返事したので良しとしよう。


「カナタ、何やってんの?」

「テッサちゃん……ノランくんに聞きなさい」

「はぁ? ノラン! 何してたの?」

「いや、その。バウンティさんからのお土産を何種類か……もらってね」

「へぇ、バウンティ様ってそんな能力あったんだ」

「あー。煩悩には忠実なんだよねぇ」

「……ノラン、もらったもの見せろ」

「ちょ、カナタさぁん! テッサも……帰ったら見せるから。ね? シーッ!」


 女性陣がニヤニヤした自分のパートナーを問い質す、騒然とした会場になった。

 そして、元凶のバウンティとジュドさんは、そ知らぬ顔をして壁際のイスに座っている。


「シエナちゃん、ジュースちょーだい!」

「はい。イオ様、何が良いですか?」

「ゆずー」

「わたしもゆずー」

「ん、俺も!」


 バウンティは自分で注げよ。ドリンクコーナー設置してあるのに。


「…………もしや、キツいの?」

「元気だっ!」

「怪しい……。無理したら駄目って言ったよね? 心配なんだよ?」

「元気だっ!」

「本当に? 何で座ってるの?」

「俺の勝手だろ!?」

「こらこら、夫婦ゲンカは止めなさい」

「リズさーん。バウンティね、馬鹿だから痩せ我慢してキツいの隠そうとするだよー? 心配してるのに酷くない?」 


 リズさんに抱き着いて胸に顔を埋めると、ポンポンと頭を撫でてくれた。


「痩せ我慢してねぇ。元気だ!」

「何なの? そのしょうもないやり取りは」


 ジュドさんが不思議そうにしていたら、バウンティが何かを耳打ちしていた。直後ジュドさんが爆笑していた。


「ひぃーっ。あははは! 俺っ、俺……ぶふふふっ。今回はバウンティの味方だわー。カナタちゃん、観念してあげなよー」

「やだっ!」


 リスさんがジュドさんから耳打ちで聞いて、クスクス笑っている。


「ちょ、広めないで下さいよ! お土産無しにしますよ!?」

「もうもらったものは返しませーん」

「ふっふっふ。私からのはあげてないですけど?」

「いやー、コレより良さげな物とかあんの?」


 ジュドさんがポケットをペシペシ叩いている。ソレと同列に扱うなと怒りたいが、まぁいい。

 運んでいた荷物をほどき、箱をチラチラ見せる。


「買い足して来たのになぁ? ブレンダー」

「っ! カナタ様ぁぁぁ!」

「むふふふ。欲しい?」

「欲しい! 超欲しい! リズにジャンケンで負けて、使わせてもらって無いんだよー! 下さい! 開発まで待てません!」

「むふふふふふ。よろしい!」


 ジュドさんを跪かせてスッキリしたのでブレンダーを渡す。


「わー! 何作ろう!? 何作ろうね?」

「知らないわよ。勝手に作りなさいよ。一言言えるのは……鍋の中で使ったら、感動するわよ」


 どうやらリズさんはお店で愛用しているようだ。横でテッサちゃんがウンウンと頷いていた。


「あー、カナタちゃん! 洗濯機がまた新しくなったんだけど? もう、私の仕事奪うの駄目って言ったのにっ!」

「いや、ユーリの仕事は店員でしょうよ」

「テッサ、違うの! 家の洗濯は全部私がしてるの! 手洗いの物もあるのに、皆が洗濯機を誉めるんだよ!?」

「あ、何か……ごめん」


 全自動は一般にはほとんど売れてない。けど、二層式は人気で、ちょこちょこ改良されている。また改良されたらしい。

 あれの開発はほぼほぼ私の手を離れているので何も把握してなかった。大元は私なのでやっぱり申し訳無い。


「…………洗濯楽だけどっ」

「あ、洗濯機、好きなのは好きなんだね?」

「うん。冬、凄くありがたい……」

「あ、分かる!」


 テッサちゃんがウンウンと頷いていた。冬は水仕事辛いもんね。


「そうそう、お土産、色々あるんだけど……皆、ご飯食べ終わった?」


 チラリと見た子供達は既にプラスチックのブロックで遊んでいた。アダムさんも遊んでいたが、それはスルーでいい。

 どうやら食べ終わっているようなので、キャリーケースを開ける。

 薬局で大量に購入した物を広げていく。

 先ずは歯磨き粉。


「あ、カナタちゃんが来た頃使ってたやつね? でも、今、普通に売ってんじゃん?」

「そうか、お前使った事無かったな。本物はまだまだ凄いぞ」


 何だ本物って。バウンティの謎の自慢を無視して、風味の説明をして欲しいものに手をあげるようにと言った。


「先ずは、バラ味」

「はい! アタシ、それがいい!」

「はい、テッサちゃん。次はね、グレープフルーツ」

「あ、僕欲しい」

「師匠……僕って……」

「ああっ! はぁ、皆の中に入るとつい出ちゃうんだよな」


 ジョシュくんが恥ずかしそうだった。


「ジョシュくんは『僕』がいいと思います!」


 ビシッと手を上げると、ユーリちゃんとテッサちゃんとリズさんと、なぜかジュドさんも手を上げていた。


「いや、多数決とかで決めませんからね!?」

「師匠の立場、弱いんですね」

「クリフ、煩いよ!?」

「わー、弟子に八つ当たりしてるー」

「「してるー」」


 子供達までジョシュくんをイジリ出した。


「もー、ここの人達いやだぁ」


 皆、ケラケラと笑ってジョシュくんの頭を撫でていた。 




 カナタ達の家でパーティーの準備をしながら、こういうデリバリーサービスアリかも? と何か良さげな商売を思い付いたジュド。


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