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99、猪突猛進に。

 



 バウンティと抱き合って盛大な二度寝をした。

 お昼に起きた時は目眩がしていたけど、今は何だかスッキリだ。

 ベッドを抜け出そうとしたらバウンティに引き止められた。


「どーしたの?」

「どこにいくんだ?」

「着替えて一階に行こうかなって。子供達の声がするから、帰って来てるみたい」

「ん、俺も行く…………」


 そう言いながらも中々立ち上がれないバウンティ。


「寝てなよ……って言うか、寝ててよ」

「ん」


 バウンティを撫でてから一階に下りた。

 どうやら子供達はリビングにいるらしい。楽しそうな笑い声が漏れ聞こえてくる。


「おかえり――――」

「あ、ママ! もうげんき、なったぁ?」


 アステルは床でゴーゼルさんとブロック遊び。

 イオはどこだろうと探したら、クラリッサさんの膝に座って楽しそうにロボットで遊んでいた。それだけなのにモヤモヤ、イライラ。


「うん、元気になったよー」


 イオを抱き上げ頬擦りしつつ自分の膝の上に乗せた。


「外では何してたの?」

「しょくぶつえん? いったよ! バラがね、いーっぱいさいてたの。ママがバラすきだっていったらね、クラリッサがかってくれたー」


 花瓶に薄ピンクのふわんふわんした可愛いバラが十本ほど刺さっていた。


「へー、そーなんだ」

「ママ? うれしくなかった?」

「ううん? うれしいよ? ありがとう」


 ――――チュッ。


 イオが不安そうな顔をするので頬にキスをした。


「ぼくはかってないよ? クラリッサだよ?」

「うん。そーだね。クラリッサさんありがとうございます」

「ぁ……えぇ」

「カナタ、夕食の事で相談があるからちょっとキッチンに来て頂戴な」

「はーい」




 キッチンに移動すると、イスに座るように言われた。


「カナタ、その態度はどうにかならないの?」

「……はぃ」

「はいじゃなくて! 子供達でさえも気を使ってるのが解らないの!?」

「…………解ってます」

「それでもなお、その態度なのは感心しないわよ!」

「……はい」

「カナタっ! こちらを見なさい!」


 ずっと下を向いていたら、目を合わせるように言われた。


「貴女は何があっても目を反らす子じゃ無かったでしょ? いつでも、ちゃんと目を見て話してくれてたでしょ? 何でもかんでもズバンとぶっちゃけちゃうカナタはどこに行ったの?」

「…………ぶっちゃけていいの? 酷いよ?」

「いいわよ。聞いてあげるから、言いなさい」

「うん――――」


 バウンティやクラリッサさんに抱いている負の感情を全部カリメアさんに吐露した。もれなくイーナさんにも聞かれたが、まぁいいとして。

 どうしても気持ちが整理出来ない。


「ハァ、全く。馬鹿な子ね」

「クスッ。カナタ様は優しすぎますね」


 カリメアさんには呆れられ、イーナさんには笑われた。意味が解らなくてムッとしていた。


「貴女、クラリッサの事、今でも大好きなんでしょ? だから辛いのよ。だから悔しいのよ。家に招き入れて、子供達と一緒に遊んで、食事して、貴女はどこまでも心を開いてたんでしょ?」

「…………うん。好き」


 そう、好きなのだ。リズさんやテッサちゃんみたいに頻繁に会えないけど、とても大切な友人なのだ。


「バウンティが許しちゃったから、貴女は置いてきぼりの気分になって、後戻りも出来なくなって、いつもは気にもしない事にまでイライラして……全く。非効率的だわ」

「……はぃ」

「ほら、また下向く! 顔を上げなさい。いつもの猪突猛進はどうしたの!? やりたいようにやりなさい!」

「っ……うん。うん! カリメアさん、イーナさん、ありがと!」


 バタバタ走ってリビングに向かう。


 


 リビングに入るとバウンティとクラリッサさんが何かを話していた。


「っ、カナタ――――」


 バウンティがアワアワして何かを言おうとしていたが無視。


 ――――バチィィィン。バチィィィン。


 勢い良くクラリッサさんとバウンティの頬に平手打ちした。


「二人の馬鹿! 助けるなら上手に助けろ! ちゃんと相談しろ! そもそも、私はローレンツ以外はどんなに平和だろうと、安全だろうと却下! ローレンツで皆といるのが一番大切なの! 次、こんな馬鹿な事したら大っ嫌いになるからね! 特にバウンティ! 私達の為に死ぬなんて選択したら、次は悲しんでやらないから! バウンティとの思い出、全部無かった事にしてやる!」

「ん!」


 怒濤の勢いで叫び倒した。バウンティはなぜかニコニコして返事した。馬鹿め。

 ニコニコバウンティとは対照的にクラリッサさんは不安そうな顔をしている。


「カナタ、ごめんなさい――――」

「クラリッサ、カナタがあーやってわーわー叫んだ時は全部許してくれた時だ」

「うっさいバカンティ!」

「ん!」


 性格と行動を把握され過ぎてて何かムカつく。私ってそんなに分かりやすいんだろうか。バウンティがどう行動するかなんて全く分かんないんだけど?


「バウンティって、ストーカー気質だよね?」

「ぶふぉぅっ……うげっふ…………んんっ、いつものカナタに戻ったのぉ」

「ママってはげしいよねぇ」

「ソレね、ストレスためない、ほうほうなんだよ?」

「ん、がまんするからダメなのにね? めずらしくがまんしてたね?」

「やっとばくはつしたね?」

「あしたからいつもどおりかな?」

「あしたはおふねにのるから、うるさいかもよ?」

「パパが?」

「うん。またゲロゲロするんじゃない?」  

「きゃははは。ゲロゲーロー」


 アステルとイオが床でブロックで遊びながら、私達をディスっていた。思いの外、冷静に状況把握されていたらしい。

 二人の前に座り、土下座した。


「すんませんでした。アステル、お誕生日に嫌な思いさせてごめんね。イオ、ずっとほったらかししててごめんね」

「にゅふふ。いーよー!」

「いつものママにもどった?」

「はいっ! 戻りました!」


 二人をギュウギュウに抱き締める。温かい。あと、フニフニ。


「「ママ!」」


 こっそりお尻揉んだら怒られた。

 いつも通りな感じだ。




 全部叫んだらスッキリしたカナタさん。


次話も明日0時に公開です。

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