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謁見時々ジャイアントスイング

 

 開かれた謁見の間の扉を通って、ダスランさんの少し後ろを歩きながら、視線は少し下に固定しておく。

 王様を直接見たらいけないんだって。

 後は、きょろきょろしない事、絶対にざわつくから、それに動揺しない事、緊張し過ぎないようにゆっくり息をする事。


 頭の中で念仏みたいにメノさんに教えこまれた事を繰り返しながら、前を歩くダスランさんに遅れない様についていき、膝をつくのに合わせて僕も膝をついて礼をする。


「第三騎士団団長ダスラン・ヴィエ・オルトレート、異界より召喚されし勇者様をお連れ致しました」

「ご苦労であった。双方面をあげよ」

「ハッ」

「はっ」


 う、なんかダスランさんのと違う。

 けど、やり直しなんて出来ないから仕方なく顔をあげると、じっと僕を見てる王様と目が合った。


 この人が、バーレンティア国王陛下、様。

 くすんだ赤い髪をしたがっしりとした身体を玉座に押し込むように座らせて、値踏みをするように見ていた。


 その隣には昨日、ダスランさんとご飯食べた後に来た金髪がゴージャスな感じの人、ほんとに女王様だとは思わなかったけど、間違ってなかったんだ。えっと、シャロハナ様。


 そしてその後ろに更に男の人が二人と女の人が一人。

 王子様と王女様だよね?


 えっと、メノさんの分かりやすいお話からすると──


 アグレシオ第一王子(筋肉バカ)が、あの金髪をスポーツ刈りみたくした人。

 コルモ第二王子(陰険メガネ)が、茶髪の眼鏡をかけた痩せてる人。

 マナリス王女(ゆるふわ)が、濃い金髪のふわふわしてそうな人。


 だよね。

 知らない人ばっかりだから仕方ないけど、名前覚えるのが大変だから、ひっどい言い方だったけど、メノさんには感謝だね。


「ふむ、勇者よ、名はユウトであったか?」

「あ、はい、そうです、陛下」

「聞けば、武の嗜みもないと言うが本当かね?」

「はい、その、剣とかを持ったこともないです」


 周りがざわっとするけど、嘘を言っても仕方ない。

 出来もしないのに出来るなんて言えない。

 それで僕の印象が悪くなっても、後から嘘だってバレて悪くなるのとは意味が違うもん。

 そう言われてしまうとメノさんに悔しそうに聞かされて覚悟してたつもりだけど、やっぱり怖いものは怖い。

 大人達が僕に落胆してこぼす溜め息が、僕を責めている様で、僕が悪いわけじゃないけど、怖くて逃げ出したい。

 足も震えてる。

 けど、ここで逃げたら僕はどうなるのかと考えると、悔しくても我慢するしかないんだ。


「齢は10であったか」

「……はい」


 声が震えない様にするだけでも精一杯で、バクバクいう心臓に死んでしまいそうなくらいの緊張で、目の前がチカチカする。


 はっ……はっ……はっ……


 息が苦しくて、呼吸が、出来、ない、よ……っ!


 パンッ!


 はっとしてみると、陛下が、手を打って苦笑をしながら周りに目をやって窘めるように言葉を発した。


「卿ら、勇者殿はまだ子供ぞ。あまり虐めてやるでない」


 そう、言ってくれると、さっきまでの張り詰めていた空気がふんわりと緩むのが分かって、ほっと息をついた。

 息が、出来た。


「すまぬな、ユウトよ。みなは勇者と聞いて期待を膨らませておったのでな。勿論、儂もであるが、些か想像と違ったもので要らぬ苦労をかける。許されよ」

「っ……は、はい」


 すごい緊張感から解放されて、深く息をしてると、もうそこらじゅうに嫌な汗をかいてて、そんな事にも気づけなかったと気付いた。


「卿らの不安も理解している。儂も同じ気持ちである。しかし、未だ右も左もわからぬ子を(いたずら)に不安にさせても何も変わらぬし、誰も得はせぬであろう。聞けば異界には魔法もないそうだ。だが、しばし時間をやってはくれぬか。そこなダスランからの報告によれば、訳も分からぬままでも前向きに考えておるそうだし、歳に似合わず度胸もあると聞く。そして、そこなユウトであっても問題はないはずだ。そうだな、マグダレン」

「左様でございます、陛下」


 そう返事をしながら一歩前に出てきたのは、これぞ魔法使い! といった感じの長いヒゲを生やしたおじいさん。

 チラリと僕に目を向けて忌々しそうにしたのは、びっくりしたけど、多分、召喚されたのが僕みたいなのだから疑われてて怒ってるんだ。

 そこは僕のせいじゃないし、僕は悪くないんだけど、気難しそうなおじいさんだから、そういうのが我慢ならなかったのかな。


「列席されておる皆様方には何度も説明させて貰いましたが、今一度、明言させてもらいましょうぞ。召喚は成功しております。万全の体制で臨み、数々の条件に合致したからこそ、そこな子供が召喚に応じたのです。吾輩としましても驚きを隠せませなんだが、召喚が失敗しておれば何も、そう何も喚ばれんのです。で、あるならばそこな子供は勇者であり、魔王を打ち倒せる者なのです。そこには魔法の数々の神秘によって───」

「わかっておるから、その辺にしておけ」

「ここからが重要なのですぞ!」

「学のない者には理解出来ぬ事ばかりよ」

「その様な事でどうされますか!」

「導師の話を聞きたいと希う者も多いというのに、浅学な儂らが導師の貴重な時間を無駄遣いするのは、愚かであろう?」

「むぅ……」


 あれだ、ホンモノの天才なんだ。このおじいさん。

 理解してくれる人が少ない事に嘆いてるだけだ。

 僕も魔法を使える様になったら、召喚の事とか聞いてみたいけど、何もわからないまま聞いてもちんぷんかんぷんで、分からない事が分かるくらいにしかならないよね。


 明らかに渋々といった感じで引き下がったおじいさんだけど、よく見れば周りの人達もやれやれと言った感じだった。


「コホン、ともあれ、そういう事だ。色々と納得もいかぬ思いもあろうが、現実とはままならぬものよ。それを叶えるのが儂らの務めではあるが、匙加減を間違えてはならぬ。では、ユウトよ、本日の謁見ご苦労であった」

「陛下の寛大な心に感謝を」


(さぁ、下がるぞユウト)


 陛下の前で頭を下げたダスランさんに倣って、頭を下げてから謁見の間を出ると、どっと疲れが襲ってきた。


「ユウト様、お疲れ様」


 涼やかな声が横からかけられてそっちを向こうとしたら、あまりに気が抜けたのか、ふらふらしてしまう。


「危ない」

「あはは、ありがとうリリさん」


 さっと近寄ったリリさんにぎゅっと抱きしめられて、ほっと安心してしまう。

 この後も他にやる事あるのに、こんなんじゃ途中で疲れて寝そうだよ。


「ユウト、よく頑張ったな」


 リリさんから脱出した僕の頭をぐりぐりと撫で倒しながらダスランさんが労ってくれたけど、頭がぐちゃぐちゃなんだけど。


「緊張し過ぎて死ぬかと思ったよー」

「上出来だ」

「ユウト様は頑張り屋さん」


 リリさんが乱れた僕の頭をせっせと直してくれてるけど、何だろう。

 直せてないような気がする。


「えーっと、この後は魔力測るんだっけ?」

「その前に会食」

「ご飯……なんかお腹、減ってないよ……」

「大丈夫、緊張なくなれば減る」

「そーかなー」


 おなかがきゅーっとしてて、ご飯食べられる様な気がしないんだけどなぁ。


「そんなこっちゃ戦場で死ぬぞ!」

「あれ? ボラさん??」


 豪快な声に振り向けば、ボラさんとオッソさんの二人がいた。

 今日はペリオンさんとオッソさんって聞いてたのに。

 入れ替わり立ち替わりなの?


「あー、違うぞ。なんだ、その、今はダメなんだよ」

「そーなの?」


 なにがダメなんだろう?

 って思ったけど、ボラさんにガシッと肩を組まれて行くぞーと歩かされてうやむやになった。

 ダスランさんはどうするんだろうと思ったらヒラリと手を振って別の方に行くみたい。

 代わりにリリさんがついてくる。

 会食の間はついててくれるのかな。


「ボラ様、ユウト様が歩きづらそう」

「大丈夫だっつの、男なんだからつべこべ言わねえよ、なぁ?」

「離して」

「お前はユウトのママかよ? あぁ?」

「…………」


 うわぁ!?

 なんでボラさんはすぐにケンカ売るの!?

 リリさんも能面みたいな無表情が怖いよっ!


「だ、大丈夫だから、ボラさん離してー!」

「お?なんだ、ユウトは氷姫の肩を持つのか?」

「そーゆーのじゃなくて、恥ずかしいよっ」

「一丁前に男ぶりやがってー」


 そういってニカリと笑うと離してくれてから頭をわしゃわしゃって、あぁ、また髪の毛が……!

 鏡ないからわかんないけど、適当に撫で付けて、ボラさんの後ろを追っかける。


「ところで、氷姫ってなに? リリさんの事?」

「なんだ、知らなかったのか。いつも無愛想な面してる上に素っ気ないからな、それで付いたあだ名が氷姫ってわけだ」

「そーなの?」


 そう振り返りながら聞けば、リリさんはぷいっと横を向いた。


「ほらな?」

「え? 今のは照れてるだけだし違うと思うけど」

「いや、ちがくね?」

「今はなんか驚いてる??」

「さっきと変わんねぇよ!」


 全然違うと思うけど、ボラさんにはわかんないみたい。

 オッソさんも、うんうん頷いてるから合ってると思うんだけどなぁ。


 そんなことを言い合いながらやって来ました食堂です。


 が、なんか、人がすっっごいいる!

 会食って言うか立食パーティー的な?

 いや、これ、絶対に会食じゃない!


「ッシャーーッ!! オマエら、勇者連れてきたぞぉ!!」


 ボラさんがいきなり叫んだかと思ったら、僕の両脇をガシッと掴んで持ち上げながら特攻したーーっっ!?


「うわ、うわーーっ!! なに、なにしてんのボラさん!? は、離してっ!」

「よっし、まかせろー!」


 何を任せれば、と思ったのも一瞬。

 力強く盛大に一回転をすると、そのままポイッと空中に投げた。


 食堂に舞う僕。


 走馬灯みたいにゆっくりとスローモーションに感じる中でみんなの上を飛んでいく。

 なんでみんな笑ってるのかな?

 僕、絶対大怪我間違いなしなんだけどなー。


 とゆーか、死ぬんじゃ。


「エアーフロート グラビティコントロール」


 ふと、透き通った声が、周りの喧騒の中でもハッキリと聞こえた。

 あっちこっちに飛んでいた視界が急速に安定して、空中でふんわりと浮かびながらその人のところに落ちていく。


 みんなの中で一際色鮮やかな赤い薔薇のお姫様のところに。






ボラさんがすぐ暴れるけど、悪い人ではないんです。

なんで騎士になれてんの??

とかはいつか明かされます


多分



後ジャイアントスイングじゃない!!

とゆー苦情は受け付けておりませんw

なんかぐるぐる回す技がそれしか出てこなかった!

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