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ざんぎゃくせいのかけらもないいたってへいわてきなかいけつ (side ペリシー)

※注意※


サブタイトル詐欺です(まてこら)

血がブシャーしますし、悪魔の様な所業が含まれます。


ペリシー的にはとても良い事をした部分もありますが、どう考えてもアウトです。

残虐シーン耐性をお持ちではない人は次話の前書きにまとめを書きますので更新をお待ちください。








いいですね?

ではどうぞ。

 

 夕刻にベンド・バローズから引き継いだ陰ながらの警護は急転し、今私は静かな森の中で木に身を預け、その時を待っていた。


 知らぬ事とはいえ、主様には困ったものだと薄く嗤う。


 ここまで近づかれれば、人の身であっても肌に感じる。


 戦の気配だ。


 月明かりを反射し、微かに煌めく小川に、森の住人ではない無粋な者共に、森が息を潜めているのが分かる。


「妖精よ。もしも私の手の届かぬ場所があれば、その時は足止めを頼めるか?」


 ──カサ


 小さく、しかし、明らかに自然の動きではない葉の掠れる音が聞こえる。


 妖精か、全く主様は楽しませてくれる。


 呼吸を深く長くして、意識をカチリと入れ替える。

 私は殺戮する。蹂躙する。殲滅する。鏖殺する。

 行く手を阻む何者をも。

 その為にこの身はあり、この手足は動き、この魂は震える。


「我が身を焦がすは怨嗟。我が身が望むは懺悔。我が身は神にあらず、正義にあらず、されども鉄槌を下す」


【身体狂化】


 ベンド・バローズ。

 貴様は運が無い。

 この狂宴に参加出来ないのだ。

 後で存分に悔しがるといい。


 小川に騒々しくも出てきた慮外者、その数20。

 よくもまぁ並べたものだ。


 主様一人に大層な事だ。

 いや、もう一人いた気もする。


 ならず者の集団は一人が足元に膝をつき、首を振る。

 そうだろう。乱してやったのは私だ。

 川上か、川下か、悩んだのは一瞬、二手に分かれて行く事を決めたか。


 しかし悩めば足は止まる。手が止まる。意識が固定される。


 案山子を狩るのに労力は要らない。


 音を消し、気配を消し、一直線に駆け寄り、無防備な喉を両手に一人ずつ掴み、握り潰しながら地面に叩き潰す。


「がヒュ」「ぐフェ」


 喉から押しつぶされた呼気が漏れて命を吐き出す。


 優しく丁寧に、迷いなく。

 宙に浮いた肉袋が暴れ出す前に、綺麗に地面に垂直に力いっぱい。


 ゴシャ!!


 と、固い果実を割るような音が響けば、完璧。


「まず二つだ」


 馬鹿共が。

 呆けていていいのか?


「な、な、なんだテメェ!?」


 ようやく、狩る側ではなく狩られる側になったのだと、理解したのか、抜いてぶら下げたガラクタを突きつけて吠えるクズに呆れてしまう。


 そんな事をしてる暇があるなら斬りつければいいものを。


 だが、丁度いい。


「抵抗すれば殺す。抵抗しなくても殺す」

「な、何を──」

「逃走すれば生きている事を後悔させてやる」

「ふざ、ふざけんじゃねぇぞ!?」


「この私を楽しませてみろ。足掻け、藻掻け、逃げ出す奴は真っ先に足を斬り捨てる。最後に残った一人は生かしてやろう。さぁ、命を賭けろ」


【血闘場】


 朗々と宣告すれば、私を包囲するように囲い、一人が視界の外から斬りつけてくる。


 が、その前に、顔を青ざめさせた男が一人、包囲から外れ、森の中へ逃げ込もうとする。


「おらぁぁぁっっ!!」

「馬鹿か貴様は。背後から襲うなら黙ってやれ」


 ゴロツキらしく恫喝する事に慣れきった、そうすれば自分が強いと勘違いさせられるからする、という街中喧嘩の理屈だ。


 戦場で無闇に目立てば死神に愛されるというのに。


 だが、それでも意識は向く。

 普通なら。


 私は宣告通りにしなければならない。


 逃げた者の足を優先的に刈り取る、と。

 だから、無様な剣筋から一歩外に出て、空を斬ってつんのめった男の手首を握り潰し、痛みに絶叫を上げる男からナマクラを拝借すると、重心の悪さに辟易としながら投げつけて、逃げ出した男の足を斬り飛ばす。


「いでぇ! いでぇよぉっっ!おれ、俺の腕がぁっっ!」

「あぁぁぁっ! 足がっ! クソっ! ゆ、許してくれっ! アンタ相手だなんて、俺は知らなかったんだ!!」

「そうか、残念だったな。それと、待たせたな。今殺してやろう」

「ま、まってぐびゃ!」


 愛用の大振りのククリナイフで頭をかち割り、仰向けに崩れ落ちる男をそのままに、殺戮の空気に飲み込まれ硬直した男どもを睥睨する。


「なん、なんなんだよぉっ!? テメェはぁっ!?」

「シゴトの内容を精査しなかったのはオマエらの落ち度だろう。自分の浅慮を恨め」

「クソがっ! 囲んで一気に殺っちまえっ!」


 思い思いに雄叫びを上げながら突っ込んでくる臭い男共は、タイミングもバラバラで練度など欠片もない。


 とはいえ、一人以外、逃げ出す素振りを見せなかったのはなかなかだった。

 逃げに転じる時間もなかった気もしなくもないが。


 むせ返るような血臭に、火照る身体をふるりと震わせる。

【血闘場】をやるとどうにも興奮してしまうのが欠点だ。


「さて、残したお前に私が何を求めてるかは、分かるな?」

「は、話す! 全部話す! だから、殺さないでくれっ!」

「お前が正直に話すなら生かしてやろう。だが先にやることがあるだろう?」

「さ、先に……?」

「こんなところに死体がゴロゴロ転がっていたら不自然だろう。穴は開けてやる。お前以外全員そこに捨てろ」

「ぜ、全員……」


 つと、男の視線が、足を失って失血により顔を白くした男に向く。


「全員だ。嫌ならお前も埋めてやろう。好きな方を選べ」

「や、やる! やらせてくれ!」

「ジン……う、うそだろ、なぁ?」

「俺は、まだ死にたくねぇんだ! カトル、テメェだって俺たちを見捨てて逃げようとしたじゃねぇか、今更被害者ヅラすんじゃねぇよ!」


 面倒な事だ。


 人の命を弄ぼうとしておいて自らの命は保証されていて欲しいと考える者の多さに辟易する。


 亡骸の処理をやらせている間に、妖精に主様へ言伝を頼み、撒き散らされた血などを焼いてから、常備してある聖水を振りまいておく。


 加護ある土地を穢したままにすれば、加護は失われるし、瘴気の素にもなりかねない。


 私はクズ共は滅ぶべし、と思ってはいるが、無関係なところに被害が行くのは間違っているとも思っている。


 加護地は一種の聖域だからして、むやみに穢すのは躊躇われる。


 ふむ。

 殺戮者(スローター)などと呼ばれて来たが、私も常識というものを弁えていると、ベンド・バローズに知らしめてやらねばならんな。

 私が非常識だの、冷血だなどと散々文句を受けて来たが、穏やかな気質の主様と共に過ごす私も穏やかな心を学んだという事だろう。


 ゴミにもゴミなりに仲間意識はあるだろう。


 それをわたしが勝手に燃やしてしまっては弔いを邪魔してしまう事になるからな。

 まぁ、さすがに血などはそのままに出来ないから燃やすし清めるが。


 寂しくない様に生き埋めになっても問題なさそうな死に損ないも確保した。


「……私も、丸くなったものだな……」


 最近の私の優しさは、かなりキテるのではかなろうか。


 死体を埋め終わって憔悴していた男が、私の呟きにギョッとした顔を向けたが、そうだな、昔はヤンチャしていたからな。


 丸くなった私はこの前「今度、お誘いしても?(山賊退治しませんか?)」という誘いもあまりに雑魚過ぎたので、命を捨てるつもりなら今死にますか? と優しく忠告してやったくらいだ。

 死ぬなら一人で死ね。


 案の定、ちょっと投げられた程度で腕を折っていたのだ。

 誘いをかけるならもう少し力をつけてからにするべきだろう。

 それに、そんな事をしようとして主様が興味を持たれたらどうしてくれるのか。


『ペリシー! 山賊退治って楽しいの? 僕もやってみたいな

 、山賊皆殺し!(渾身のキメ顔)』

『では、世の膿を掃除しに行きましょう!(慈愛の微笑み)』


 なーんてなぁ。

 私は張り切って三つくらい潰してしまうかもしれない。


 それに主様は山賊退治は未経験だろう。

 せっかくの初体験を私が横取りしたらさすがに主様も怒るのではないだろうか。


「思い出したら腹が立ってきたな。今度手頃な山賊でも潰しに行くか……」

「ヒッ」


 急に老け込んで見える男が、まるで悪魔にでも出会ってしまったかのような顔になったが、仲間が死んでしまったのが堪えているのだろう。

 存外、肝の小さい男だ。


「おいお前」

「はいぃっ! なんでございやしょうか!?」

「出来ることなら私が拷問にかけてやりたいところだが、恥ずかしながら私は拷問下手でな。勢い余ってつい殺ってしまう。他にやる者が居なければそれでも私がやるが、丁度いい事に明日別の者がこちらに来る。そいつに全て話せ。私は主様のところに行く。朝までここで待機だ。分かったな」

「わ、分かった。だ、だけどよ……その、俺が、逃げる……とか思わねぇのか?」

「逃げても構わん」

「……は?」

「その場合、お前は後に逃げなければ良かったと今のお前が逃げた事に唾を吐くだろうな。安心しろ。例えお前が死んでいてもお前を後悔させてやろう」

「逃げねぇ……」

「つまらんが賢明ではあるな」

「死にたくねぇからな」

「そうだな、死人が金を持っていても仕方ないからな。有効に使うといい」

「へ、へへ……気づいてたのかよ……」


 ま、金目の物を取るのは生に貪欲という事なのだから、特に悪いものではない。

 戦場ではよくある。


 朝来る二人連れの特徴だけ伝えて一旦その場を離れる。


 逃げ出すかどうかはこれで半々くらいだろうか。

 すでに【マーキング】は済ませているから、地の果てまで追いかけられるが、追いかけっこは面倒だ。


 逃げなければ玉無し野郎だし残念だが情報がすぐに手に入り、逃げればもう一度世直し出来ると思えばどちらでもいい気もする。


 それよりも今は主様に安心してもらう方が先だろう。


 妖精の助力も、そのお心遣いが身に染みる。

 ベンド・バローズもこういった機微を理解出来ないから女にモテないのだ。


 そういえば昔、一人前の男にする為に女を手配してやったのに逃げ出したことがあったが、あれから経験は積んだのだろうか?


 ベンド・バローズの朝の生理現象を見るに使えない事もないと思うのだが。


 男色だとすると私の手には負えないが、それ以外であれば何とかしてやれるだろうし、今度聞き出してみるか。


優しさに満ち溢れた仲間思いの対応に咽び泣くゴロツキさんは改心してきっと悪いことはしなくなるに違いないです!


ヨカッタヨカッタ!

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