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スイーツ競走

そういえば、1周年ですね。

最近の進行はグダグダですけどもっ!

読者の皆様、ありがとうございます、とこれからもちまちま頑張りますので宜しくお願いしますm(_ _)m

 

「殿下! それはいくらなんでも強欲に過ぎるというものですぞ! 何事も程度、というものが御座います!」

「何を言う! この僕を差し置いて商会長とはいえ一商人が先んじようなどと業突く張りも程々にしないか!」



 キャンプから戻って、一日、今日はゆっくり休んでくださいってみんなから言われてまったりしていた。


 んだけど、僕の前では商会長のプジョリさんとコルモ殿下が、顔を真っ赤にして自分が先だと訴えている。

 何がって、アイスとゼリーの売り出しをどっちが先にするかって事で。


 いっそ同時じゃダメなのかなって思ったけど、それはどっちも嫌だって事みたいで、こう……マウントの取り合いみたいな事に。


 向かって左に座る恰幅のいい七福神みたいなプジョリさんの言い分はこう。


「そもそも商売の事については商業ギルドの管轄ですからな。国から認められた権利を王族だからといって横紙破りをされては困りますな。勿論、殿下のお墨付きであるアイスの販売には全面的に協力させて頂きますが、鶏卵の確保などが整って居られないとか。でしたらこちらが先に販売する事に待ったをかけるのはお門違いというものでしょう」


 ぽっこり膨れたおなかを撫でながら言う様は流石の商会長。

 情報収集は抜かり無しと。

 後で僕もおなかを触りたい。


 向かって右に座るメガネも眩しいインテリオーラなコルモ殿下の言い分はこう。


「ギルドのまとめ役というならどちらに先に話があったか、知らぬはずもないだろう? そう、この僕だよ。それを後から出て来て前に立とうなど、それが商会長たるもののする事かい? 僕が話を付けていたのは当然ながら商業ギルドの皆なんだが、全面的に協力と言う割に、そちらに遅れているのは一体どういう事かな。まさか、裏で足を引っ張ろうだなんて考えてや居ないだろうね」


 大の大人がスイーツの話題で意地を張ってるのは、なんかシュールなんだけど、スイーツの話題というか、これはお金とかメンツとかの話で良いのかなぁ。


 まぁね、ゼリーは寒天さえあれば後は何を混ぜるかは割と自由だし、ガラス容器が作れれば問題ないよね。買う人はちょっと裕福な人が多いし。

 一応、庶民向けにカラフルにしてないフルーツ一種類のも販売する予定だけど、そっちはゼリーの宝石箱じゃなくて、何とかゼリーって普通にフルーツの名前で売り出す予定。


 ところが、卵アイスは、当然ながら卵が必要なんだけど、卵欲しいって言ってもニワトリがいないとダメなわけで、ちょうだい! はいどうぞ! とはならないから、方々に迷惑がかからないように調整が必要とのことで、少しだけ時間がかかるみたい。

 少しだけで大丈夫なのは、何か恩恵があるからなんだそうだけど、少しだろうが時間はかかるわけで。


 牛乳は大丈夫なの? って思ったら、なんか牛を頑張らせれば調整出来るみたいで一安心したけど、頑張るのは牛だから、あんまり無理させないであげて欲しい。


「なんか、めんどくさいですね……」

「そーゆーこと言ったらダメだよ、テリア」

「せっかくユウト様がお休みなのに」


 確かに、二人で決めてくれたらいいと思うんだけど、どっちも僕の発案という事になってるから、僕抜きではダメみたいでどうにかしてくれって言われたんだけどどうしたらいいのかなぁ。


「「どちらの方が先か!?」」


 ぐりんとこっちを向いて言われても困るんだけど……。

 でも、まぁ、僕が決めていいなら決めちゃうよ?


「じゃあ、殿下が先で。話した順番なら仕方ないよね?」

「さすが、ユウトは道理が分かってるな」

「ぐぬぬ……はぁ、仕方ありませんな。こちらが裁定をお任せしたのですから、これ以上は止めておきましょう」


 ふふんとふんぞり返る殿下と、苦笑を滲ませるプジョリさんだけど、それもなんか可哀想だよね。


 ゼリーの方が用意するのは簡単なのに、待たないといけなくて、それで、殿下のお墨付きの後になるんだから、話題性も取られちゃうし。


「その代わりになるか分からないけど、次に何かあったらプジョリさんにお願いするね」

「ほう! それは楽しみですな!」

「待て! ユウト、それは無いだろう?」

「しーらない。あれもヤダこれもヤダとか、子供の僕でも恥ずかしいと思うなー?」

「あー!! クソ! 分かった、分かったよ! 今回は僕が悪かった」

「殿下、クソなどと言葉選びが悪いですよ」

「今は許せ。全く……失敗したな。だが、その次の次は僕だよ?」

「分かりました。プジョリさんもそれでいいよね?」

「ええ、もちろんですとも。持ちつ持たれつですな、はっはっはっ」


 ということで、ようやく、和やかな感じになった。


「……ちなみに、だが、次は何か候補があるのか?」

「あるよー」

「ほう! それは是非とも聞きたいところですな。殿下のいらっしゃらないところで、ですが」

「そりゃあないだろう?」

「でも、お楽しみにした方がいいと思うんだけどなぁ」

「む……そう言われると、知ってて待つのも辛いか?」

「お菓子以外かもしれないし」

「それはそれは、ええ、いつでもご相談承りますゆえ、気軽にお声がけ頂きたいですな」


 その後、しばらく雑談みたいな感じで少しお話して、プジョリさんはお先にと帰っていった。


「さて、僕も帰るが、その前に本題といこうか」

「本題……?」


 そういうと、ケリッヂさんが何か巻物みたいなものを取り出した。

 なにそれ?


 それをテリアが受け取ってから、僕に渡した。

 書状だけどね。


 ちらっと見れば、そこには見事な蝋封がされてて、これは、誰に言われないでも分かるよ、王様の奴だよね。


「ユウトのお披露目の詳細な日時が決定した。詳しくはそちらの書状で確認を願うが、拒否は認められないから諦めてくれ」

「……えっと、失礼します?」


 封を開けて中を見れば、あんまり使わないから大丈夫って言われたあの分かりにくすぎる表現で日時が指定されてて、その前日にお城に来て欲しい、みたいな事が書かれてた。


 大体、一ヶ月後くらい、かな。


「蔑ろにしているわけではないが、召喚が成功してから周辺への根回しが行われていてな。明確な役のないユウトへの通達は最後となった。また、勇者としてこの式典の参加は義務として行われる。面倒をかけるが、宜しく頼む」

「……はい、えと、頑張ります」


 お披露目だって。

 うわぁ、絶対に僕がやりたくなさそうなやつだよね。


 一ヶ月後って、まだ時間あるけど、僕が最後になったってことは、あれだよね、僕は特別何かしないとって訳じゃないって事だよね。


「うん、まぁ、気持ちは分からなくもないが、そんなにあからさまに面倒臭そうな顔をするな」

「う……だって、これ、僕に客寄せパンダになれって事でしょう?」

「パンダが何かは知らないが、まぁ、客寄せとは言い得て妙ではあるな」

「きっとまた豪華な衣装とかあるんだよね?」


 そうテリアに聞いてみれば、さっき僕が聞いたのが初めてのはずなのに、満面の笑みで頷かれた。


「もちろんですよ! もうしばらくしたら完成するはずです」

「まって、なんでもう作られてるの!?」

「式典は必ず行われますし、その為の衣装が一ヶ月くらいでは普通は出来ないからですよ?」

「うわぁ」


 た、確かに、工場で機械パワーで作られるんじゃなくて、一々手縫いになるんだから時間はかかる気がしたけど、一ヶ月かかっても出来上がらない衣装ってなんなの!?


 というか、そんな大事でみんなに見られる衣装の事何も聞いてない気がするんだけど。


「そんな話どっかでしたっけ……?」

「してないですねー。ユウト様の負担になるかもでしたし、色の指定などは先に頂いてましたから、変更は出来ませんし」

「……何色? 赤はヤダよ?」

「マントの部分ですから、大丈夫ですよ。それにとってもかっこいいですから大丈夫です!」

「何故そんなに赤が嫌なのか分からないが、王家の色は赤が基本だからな、諦めてくれ」


 それって、今後も何かあれば僕は赤い衣装を着るって事?


 絶対に出ないといけない奴以外は出ない。

 赤を着ないといけないのは絶対出ない。


「ちなみに、だが、もう少しすれば、民衆への布告が行われて式典に向けた催事の用意が始まるから、騒がしくなるぞ」

「えぇ……それ、僕のことでみんなが盛り上がるって事でしょう? しかも、僕は僕が勇者とか言いたくないんだけど」

「まぁいいじゃないか。みなも待ち望んでいた事ではあるから、よほどの捻くれ者じゃなければ歓迎してくれるものさ」

「そーゆー問題じゃなくて、僕のことで街中が話題もちきりなんてことが恥ずかしいんだよ」


 二人とも何が? みたいな顔してるけど、僕みたいな庶民が、そこかしこでウワサされてるとか、恥ずかしいし、居た堪れないんだけど、分からないのかなっ!?


 殿下は、多分慣れてて分からないんだろうし。

 テリアは、きっと僕が晴れ舞台に出るのが嬉しいなってだけだし。


 こういう事になると僕の味方がどこにもいなくなるのをどうにかしないといけないなと、強く思った。







プリンプリン考えてたらアイスの部分がプリンになってて自分で混乱しました。


そして、プリンの話は消えるとゆーorz


あれー??

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