結果が良ければ全て良しとまでは言わない (side ????)
パニック注意!
「馬鹿だ馬鹿だと思っていましたけど、まさかここまでとは思ってなかったわ」
ふるふると震える馬鹿が平伏するように蹲っているけど、謝罪があれば許されるとでも思っているのだろうか。
「ねぇ? ロロ、妾はどうしたらいいと思うのかしら。私のユウトとの熱烈な出会いを台無しにされた、このやるせない感情をどうしたら宥められるというの」
「も、申し訳、ありませんー」
「ふふ、さっきから謝ってばかりだよね? 僕はどうしたらいいのかって聞いているじゃないか。謝罪の言葉には何の意味もない、価値もない、興味もないよ。問題は賠償だろう? どうやって償うのか、どうやって補填するのか、それが無ければ上っ面の中身のない文字でしかないと思わないかい」
全く度し難い。
やらかした事の責任も取れないのならば調子に乗るべきではないだろうに。
だからこそ調子に乗るのかもしれないけれど。
考えの足りない愚図にはちゃんとオシオキして分からせてあげないといけない。
カツリカツリとヒールを響かせて馬鹿の前まで歩き馬鹿を見下す。
「黙っていたら分からない。誰の許可を得て、領域を侵したのか」
「じ、自分の、判断で……」
「思い上がりも甚だしいぞ。ワタシはそんなに自由を許したつもりはなかったと思うのだけど、違いまして?」
クイと顎を靴先であげれば、青ざめた顔にはらりはらりと涙を流すロロ。
これは泣けば許して貰えるとでも思ってると見ていいのかしらん?
有り得なくなーい?
ヒールで頭をぐーりぐーりしてあげないと。
「ウチもさぁ、こーゆーコトしたくてしてるわけじゃないんだよねぇ? で、も、さぁ? コトバでゆってもわかってくれないとぉ、困っちゃう、みたいなぁ。ねぇ、ワカル?」
「ぁぐ……ぉ、畏れ多くも────様のお決めになられた事の、深慮も弁えず、差し出がましい事をして、申し訳ありませんでしたー」
「だよねぇ? そうでしょうとも。えぇえぇ、反省が出来る、それそのものはとても良い事でありますわ。ですけど、反省とはやはり次に活かすことが前提だと思いませんこと?」
「全くその通りだと思いますー」
「なれば、我が愛し子に要らぬ負担を掛けたこと、悔いて改めねばなるまいな」
いや、この様な八つ当たりじみた振る舞いは我に相応しくないな。
踏みつけていた足をどかせば、額づいたまま微動だにしないロロに憐れみさえ覚えてしまう。
「あらあらあらあら、ロロったらおでこから血が出てるじゃありませんの。貴女はちゃんとごめんなさいしたのだもの。わたくし、貴女は反省の出来る子だって分かってましてよ? ほら、わたくしが拭いて差し上げますから顔をお上げになって?」
「だ、大丈夫ですー。お気遣いなくー」
「わたくしが、拭いて差し上げます。よろしくて?」
「は、はい!」
「聞き分けが良くていい事。愚鈍なキミに分かりやすく言うと次はないよ? 僕はね、学べる時に学ばない、学ぼうとしない、向き合わない、そんな事がとても不愉快なんだ。だから二度としないで欲しいね」
全く、妾の手を煩わせるとは、手のかかる事ね。
まぁ、良いわ。
やはり出会いは劇的でなくては、なりませんもの。
みなのついでだなんて、よく考えたらつまらないわ。
「そうね……うん、私もちょっと浮かれていたみたいだわ。こんな形で会うのはちょっと有り得なかったわ。そう考えると、貴女の粗相も役に立ったと言えるのかもしれないわね」
「…………」
「ならば、咎めだてするのも無粋となろうか。過程はともあれ結果として利する事になったと言えなくもない故に」
「あ、ありがとうございますー」
「いやいやぁ、カンチガイしないでよねぇ? ケッカとして間違ってないってだけだからさぁ、カテイはぜーんぶアウトっしょ。それでもぉ、ケッカが悪くないんならぁ、ジョージョーシャクリョーしてあげてもいいよぉ? って、だ、け、ワカル?」
「重々承知してますー」
まぁ、それなら良し。
「じゃあ、帰っていいわよ? 私が、妾が、ワタシが、僕が、わたくしが、我が、ウチが、許すわ」
わたしってば、優しいな。
失敗しても、なんとかなるなるって思っちゃったら、怒っても仕方ないもんね。
無駄な事してもお互いに嫌な気持ちになるだけだもん。
ならしない方がいいよね。
ペコペコ頭下げて居なくなったロロ。
そしたら、わたしと二人っきり。
「ゆうと、早くわたしの事を刻みつけてね」
目を閉じて苦しそうにするゆうとのほっぺをそっと撫でる。
わたしのチカラのほんのひとしずく。
垂らして飲ませればほら、安らかな顔になったわ。
可愛い可愛いゆうと。
そっと唇を撫ぜる。
「あらあら、まぁ、わたくしったらはしたないですわ。でも、無防備な寝姿をみせていらっしゃるのだもの。仕方ないですわよね」
ほう、と熱い吐息が漏れる。
このままではいけない。
「サアラー?」
「はい、お母様」
「お呼びでしょうか」
「なんか呼んだ?」
「この子がね、頑張るって言うから、あんまり手を出さないであげて? 妾はそれが見たいの」
「「「はい、分かりました」」」
「ま、キミ達は勇斗がこっちに来てくれないと何も出来ないし、出来ることはないけどね。ちょっかい掛けすぎると良くないから、成長するかっこいいところを記録してくれればいいよ」
「「「はーい」」」
儘ならぬものよな。
だが、それが心地よい。
全てが分かりきっている事ほどつまらぬものはない。
いずれ、相見えた時にこの想いが伝われば良し。
「じゃぁ、ウチは寝るからぁ。ジュクして落ちたらぁ、潰れる前にちゃんと拾っといてよぉ?」
「「「わかりましたぁ」」」
という事で、最大級のキ〇ガイがやって来ましたが……
基本的には絡んで来ませんので、大丈夫。
寝てる子は寝させておけばいいんです。
えぇ。
本作はヒロイン未定で進めておりますが……
神様はヒロインじゃありません。
いいですね?
誰とは特に言いませんが。