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教会へ行こう

裏事情はさておき……


ようやく……!

 

「今日はよろしくお願いします」

「あぁ、よろしく。とは言っても、僕も少し楽しみではあるよ」

「……そうですか?」

「何せ、フタワ卿の聖痕の事を考えると、なかなか見られない光景になりそうだからね」

「あはは……」


 軽く挨拶として握手をしながらコルモ殿下と話をすれば、そんな感じでニヤリと笑いながら肩を軽く叩かれた。


 王族と握手なんて普通なら出来ないけど、今日はお忍びの面もあるからって、こんな付き合い方にする。

 とは先に言われたけど、凄い友達感覚な感じでちょっと戸惑っちゃう。


 今日は、僕も殿下もフード付きの外套をかぶって、馬車も装飾の少ないシンプルな奴で行く。

 外套もその下も仕立ての良い物だけど、どちらも普段着ているものよりもシックな感じで、良いとこの人だとは分かるけど、服装からは細かいところは判断出来ない様な感じ。


 今日の僕の護衛は、アデーロ。

 殿下の護衛は、ゼシンさんと、モクさん。

 まぁ、殿下の方は他にも周りにいるって聞いてるけど。


 直接的な護衛が僕の方がアデーロ一人で、殿下の方が一人多くて二人なのは、僕が殿下に敵意がないよって言う意味と、殿下も僕の事も警戒してる訳じゃないよって二つの意味があるみたいで、やっぱり大人はややこしい。

 同じにするのもダメな事の理由とか、殿下の方に他の護衛がいるのはいいけど、僕の方でやったらダメだとか、聞いたけど、半分聞き流してたよ。

 みんなの言ってくれるのにとりあえず合わせておけば大丈夫、みたいな。

 良くないんだけど、全部覚えてくのはちょっとキツい。


 ちょくちょく新しい人と会うから顔と名前を一致させるのも大変なんだよね。頑張るけど。


 えっと

 ゼシンさんは、アデーロと別の意味でイケメンな感じの人。

 金髪を短く刈り込んでて、美丈夫? って言うんだっけ。

 無骨な感じだけど、整ってて男前な感じ。

 アデーロがちょっと軟派な感じだから、硬派な感じって言うと合ってるのかな。学ランとか着て応援団やってそう、みたいな。


 モクさんは、ボラと同じワイルドな感じの女の人。

 なんだけど、ボラと違って、こう……気品がある……って言うとボラに悪いけど、真面目そうな雰囲気がある。

 黒髪に濃い紫、かな、そんな瞳で、なんかお化粧のせいもあるんだろうけど、凄く色っぽい人。


 何でか、自己紹介の時に、二人ともアデーロに対してグイグイ行ってた。

 モクさんは女の人だから分かるけど、ゼシンさんはなんでだろう。


 そんな感じで挨拶が終わり、馬車に乗り込んだら、移動開始。


 僕が片方の席の真ん中で、右にモクさん、左にアデーロ。

 対面側に左側にゼシンさん、右側に殿下。


 この並びも、ゼシンさんとモクさんの二人で、僕とアデーロ、それと殿下を分けるようになってるんだって。


 大人は席順だけでも本当にややこしいよね。


「さて、じゃあ教会に着く前に、どの順番で回るかだけ確認しておこうか」

「はい」


 何せ、神様は11柱もいるし、それが大きな教会の中に全て納まってるんだから、敷地も広いし、神殿もそれぞれにあるから、予め決めておかないと、あっちこっち飛び回らないといけない。


 他の大きくない町とかだと、神殿もいくつか一緒にしてたり、開拓地とかだと、それも余裕がなくて全部一つってこともあるみたいだけど、ここはエランシア王国の王都になるから、ちゃんと別々になってる。


 で、そんなわけだから、広くて仕方ないけど、迷う人が出たりもする。

 そこらじゅうにいる神官の人とかに聞けば、そりゃ教えてくれるけど、一々そんなことしてたら神官の人も大変だから、教会の一般の人が回れるところのマップが、配られてる。


 馬車内に取り付けられる簡易テーブルをモクさんがささっと取り付けて、そこに殿下が教会マップを広げてくれる。


「子爵はまだ教会に行ったことはないんだよね?」

「はい……あの、誘われてはいたんですけど、司祭の方とかに」

「それは着いていかなくて良かったよ。そんな強引な事をする司祭なんて知らない内に言質を取ろうとしてきたりもするからね、揉め事が起きていたよ」


 まぁそれなら丁度いい、と殿下が言って、コンコンとマップの入口辺りを叩くと


「今日はフタワ卿に時間を取ってあるんだ。入口から順番に見て回ろうじゃないか。一般参拝の場から行こう」

「僕は、ありがたいですけど、そんな観光案内みたいな事までして貰っちゃっていーんですか?」

「我が王都の自慢の場所を見せびらかしたいだけだよ」

「王子……」

「そんなに睨むなよゼシン。いいじゃないか、たまには」


 そう肩を竦めて、溜息をつくゼシンさんを放っておいて、殿下はマップに視線を向けると、指を滑らせる。


「初めてになるんだから、最初から順番に行く方が良いに決まってるじゃないか。入口にはクシァンテ、ロロの二柱の神のシンボルがあってね、その間を抜けて、教会のシンボルが祀られている場所で祈りを捧げられるんだ。初めて見た人は動けなくなるからね、必見だよ」

「へぇ……! 早く見てみたいなぁ」

「で、そこまでが、まぁ前庭みたいなものでね。今回フタワ卿が用があるのはその奥になる」


 つ、と指が更に奥に動いて、空間が扇状にぶわっと広がる。


「ここが、名もなき至高の神の大聖堂。となってるけど、全ての信者が通るところでもあるから、とても開放的になってる。壁なんかはほとんどなくて、ここからどこにでも行けるようになってるよ。この奥は、霊図の形とほぼ同じように広がってるね」


 大聖堂の左側がロロの聖堂、右側にクシァンテの聖堂。

 その奥側に左よりから、レメト、ホロゥ、アフォス。

 更に奥に、デムテア、ネジュン。

 一番奥にオード、ハーレイ、フェゼットってあるみたい。


 フェゼットの聖堂は、他のところと違って例外的に小さな森みたいになってるそうだけど、大体は似通った構造になってるそうで、慣れていないとそこらへんもあって迷子になるそう。


「あの、霊図ってなんですか?」


 この並びには、なんか普通、というか、一般的、というか、極当たり前みたいな感じで殿下が言ってたけど、その言葉を聞いた気がしないんだよね。


「あぁ、そうか。フタワ卿は知らないのか。神々にも相性の良いもの、悪いものがいるって事は聞いているかな?」

「はい。例えば、夜の神のホロゥと、太陽の神のハーレイはあんまり仲が良くない、とかですよね?」

「そう。筆頭であるクシァンテ、ロロや、至高の神は別にして、残りの八柱の神にはあまり隣同士にするのは好ましくない組み合わせがある。この教会の絵図を見てもらえれば分かると思うけど、少し歪な四角になっているんだ」


 言われてみれば、台形を二つくっつけたような、少し真ん中の太い砂時計みたいなような、形になっている。


「ま、細かい所を話すと時間がかかるから今は置いておくけど、その相性を簡単に図にしたら、こんな感じになるんだって事。それを霊図という。フタワ卿には見れないけど、キミの背中にある秘痕も、同じような感じに並んでるって聞いているよ」

「え!? そーなの!?」


 驚いてアデーロを見れば、アデーロも苦笑しながら頷いた。


「僕も実際には見ていないけどね、そうだと聞いているよ」


 と、言うことは、見たのはメイドのみんなだよね。

 その事を僕に教えてくれてなかったのはなんでだろう。


「……霊図というのはね、それそのものに力が宿るんだ」

「それそのものに……?」

「そう」


 それは、どういう事だろう?


 殿下が静かに語るのを聞く。


「聖痕に力が宿るのは知っているね?」

「はい。だから、いっぱいある僕の魔力は凄いって聞いてます。まだあまり分からないですけど」

「その聖痕が複数あるとき、神の好みの関係もあって、相性の良い神同士の聖痕が顕れやすい、という法則がある。すると、聖痕も惹かれあって繋がりが強くなるんだ」


 パンっと手を合わせて言う殿下に、そういうものなんだと思った。

 まぁ、仲良しなら、一緒にいれば楽しいよね。


「でね。聖痕だけなら、滅多に起きない事なんだけど、そうなると、聖痕同士で神気の交流みたいなものが起きる」


 おしゃべり、してる、みたいな?


「で、聖痕そのものじゃないから、神気が隠されずに結構漏れてくるんだよ。フタワ卿、神官に拝まれたり良くあるだろう?」

「あ……あれってそういうのなんですか!」

「そう。神々が、交流する事で、漏れてくる神気を感じて、神官達は、キミが神に愛されてる事を知り、その類稀なる寵愛に頭を垂れるんだ」

「えぇ……」


 つまり、僕が今まで頭を下げたりされてきたのは、虎の威を借る狐というか、僕についてる神様に頭を下げてたって事だよね?

 いや、分かってたけど。


 いきなり子供に跪く大人とか、変だし。


 だから、居心地が悪かったし、なんか、友達の友達だから無条件で友達、みたいなよく分からない感じがしてた。


 神様にこんなに愛されてるんだから、凄い良い子なんだねって、そんな感じの、僕を見てるようで見てない感じがする。


「そんなわけで、キミからは神気がかなり漏れてる。それこそ神々しいくらいにね。普段から神の息吹を感じてる神官ならまず見逃さない」

「はい……」

「でも、なんか肩身が狭い感じがしてないか?」

「だって、それは僕のじゃないから……」

「だろうと思ったよ。けど、これが神だから分かりにくいんだけどね。例えば、そうだな。みんなに好かれてる人と、みんなに嫌われてる人がいて、嫌われてる人より好かれてる人の方が嫌な奴だって可能性は高いかな、低いかな」

「えっと……低いと、思います」

「そういう事さ。友達の多い奴は多い理由がある。それが何かは本人には分からないかもしれないけど、多くの人に好かれるって事は、分からなくても、言葉に出来なくても、どこかに理由はあるんだ」

「はい」

「じゃあ、神々に愛されまくりなフタワ卿はそういう人なんだとみんなに思われるってことだよ。ちょっと規模が大きいけどね」


 なんだろう。

 凄く、嬉しい。


 嬉しいけど、なんか変な感じがする(気にする必要ないのよ)


「で、ちょっと話は逸れたけど、聖堂はこんな風に並んでるから、フタワ卿の聖痕は手前側に集中してるけど、手前から順々に行くってなると無駄が多い。だから、クシァンテから、アフォス、ネジュン、フェゼットと、右側から順番にぐるっと回って行こうと思ってるんだけど、大丈夫かな?」

「はい、よろしくお願いします」


 ふと気づけば、馬車はとっくに止まってたみたいで、話が終わるのを待ってたみたい。


 ちゃんとしたっていうとアレだけど、なんか観光みたいでちょっとワクワクしてきたな。


 それにここで魔法とかスキルみたいなのとか覚えられるんだもんね。


 恩恵だっけ?


 何が貰えるかなぁ。




『早くおいでね』

『ワシからかの。みな、すまんのぉ』

『えー? 私、後回しなのー?』

『順番順番! 大物はドンと構えとけって』

『待ち遠しいナァ、待ち遠しかったネェ』

『何もしなくていい?』

『それでいいならいいさ』

『やっぱヤダ』

『全部はダメなんじゃろうか?』

『ダメに決まってるでしょが』

『やはり、筋肉が必要ではないか?』

『やめてよねー、汗臭いのとかー』

『勤労の証ぞ、労働の何が悪い』

『働くとか、死んだ方がマシ』

『おめぇは、そんななりで会うつもりか』

『悪い?』

『汚ねえ奴だと思われてもいーんならな』

『……お風呂入ってくる』

『あら? お酒、お神酒ならいーのよね?』

『駄目に決まっとろうが!』


『皆様お静かに、案内はこのわたしがしますから』

『皆々様静粛に、案内はこのあたしがしますから』

『みんなしーっ! 案内はナビ子にお任せだよっ!』


『いつもいつも狡いぞ! 貴様ら!』

『そーよそーよー!』


『『『きこえませーん』』』


誰が誰とかはあまり気にしないで大丈夫ですw


ワシとか言ってるのがクシァンテ。

ニートがホロゥで、お酒がフェゼット。


くらいが分かる、かな……?

後、筋肉言ってるのがハーレイかオードか。


11柱の神様

のとこを見返していかないと分からないかもですが、まぁ問題ないです……多分。


とゆーか、神様の名前とか覚えてないから!

って人が普通な気がします(爆)

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