バレちゃいましたね
カウントダウンよーい
ダスランさんと他愛ないおしゃべりをしながらに連れてこられたのは食堂。
その広さと言ったら体育館とどちらが広いのか、といった感じで、全部の席が埋まったら、一体何人の人が同時にご飯を食べられるのだろうか?
今も、いくばくかの人が小さく集まって食事をしながら談笑しているけど。
「確か、詰めれば500人程度が座れるくらいだな」
「へぇ、やっぱりお城って凄い人がいるんだね!」
「とはいえ、作る側の手間もあるし、一度に皆で食事をとる訳にもいかんからな、平時は多くても100人もいまいよ」
「だから、スカスカなんだね、もったいないな」
「それが、空きがないと面倒な事もあるものでな」
「そうなの?」
「あぁ、例えば……いや、ユウト、何が面倒か、わかるか?」
そういって、ニヤリと笑ったダスランさん。
スカスカじゃないと困っちゃう事、って意味だよね?
何だろう。
そう思って、見てみると、同じ様な格好をしている人達で集まってるような気がする?
あれ? あれは何だろう?
なんか旗を立ててるところのテーブルには周りに人がいない。
なんで旗?
そうやって見てみるとそこかしこに旗が置いてあるのに気づいた。
「んんん?? 同じお仕事の人で集まってるよね?」
「まぁ大体そうだな」
「多分、あの旗が関係あると思うんだけど合ってる?」
「よく気付いたな。そうだ。旗の立ててあるテーブルには近寄らないんだ」
やっぱり旗でいいみたい。
他のところと、旗のあるところで何が違うんだろう。
むむむーっと見てるけど、なんか大事な話してそうだし、ジロジロ見てたら良くないかな。大丈夫かな?
ん……? あ!
「内緒話してる?」
「正解だ。個室を借りる程でもなく、さりとてあまり他には聞かせたくはない、くらいの話をする時に立てるんだ」
「あ、だから広いと迷惑かけなくて済むってこと?」
「そういう事だ。だから、ユウトがここを使う時は旗のある所は避けてあげてくれ」
「うん、わかった」
色々、あるんだなー。
みんなで協力して居心地悪くならないように面倒くさくならないようにしてるんだ。
「と言っても今日はここじゃなくて奥の個室なんだがな」
「そんなとこもあるんだ」
「あぁ。別にここでやっても構わないんだが、折角の初顔合わせなんだ。騒がしすぎても落ち着かないだろう?」
「うん。ありがとう」
広いとは言っても所詮は食堂だ、ほどなく奥の扉を開けて、通路に出る。
その中の二つ目のところに利用中のフダがかけてあって、ダスランさんは、そこを迷いなくバーンと開けた。
「待たせたな、では、早速だが始めようか」
ダスランさんの後ろからひょっこりと顔を出して中を見ると、男の人と女の人が二人ずつ席に着いてて、ダスランさんの声に反応してみんな席を立った。
分かってはいたけど、みんな大人の人だ。
右腕を身体の前で横にしてるのは、敬礼みたいなものかな。
それで一斉に視線がこっちに向くからちょっと怖いけど、ぺこっと頭を下げて、ダスランさんの後に続いた。
四角いテーブルに、椅子が二つずつあって、そこの一つに座らせて貰ってると、みんな立ったまんまだ。
「無礼講だぞ、いーから座れ座れー」
ダスランさんも隣に腰掛けながらひらひらと手を振って着席を促すと、ようやくみんなも座ってくれた。
いくら僕が子供でも、大人達が立ってるのに一人だけ座ってるのは緊張するから、ほっとする。
「さて、まずは自己紹介くらいはしておくか、アデーロ頼む」
「では、僕から」
そういって、左側に座ったアデーロさんはまた立つと、にこっと笑いながら自己紹介を始めた。
「僕は、アデーロ・シャンス。これからキミの身の回りの安全に努めさせてもらうよ。歳は26。主に剣術を修めているから、キミが剣術を習いたいなら僕が教える事になるかな、よろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
人当たりのいい人だなぁ。
髪の毛が紫とか、メノさんといいファンタジー凄い。けど、それがすっごい似合ってるイケメンさんだ。
きっと女の人にきゃーきゃー言われるんだろうなぁ。
「んじゃつぎは俺だな」
そういって立ち上がったのは、日焼けとかじゃなさそうな焼けた肌の女の人、オレって呼び方から分かったけど、ワイルドな人っぽい。
髪の毛も黒いから夜になったらかくれんぼ強そう。
「俺はボラ。一応貴族だが、テメエそんな扱いしてみろ。ぶん殴っぞ! 格闘メインだが、武器は何でも使えんな。アデーロの野郎のヌルいやり方じゃ物足りなくなったら俺んとこにきな。みっちり扱いてやんよ」
「分かりました。その時はお願いします」
「おぅ」
ドッカと座り直すボラさんは野獣みたいな人だ。
貴族の人なんだ。僕の偏見かもしれないけど、多分、ボラさんは貴族の中でも変な人なんじゃないかな。
でも、僕の事を真っ直ぐ見てくれてたから、口が悪いだけで、素直な人なんじゃないかな。
お姉さんと言うか、姐さんって感じ。
そう思ってると、のそっと立ち上がったのはでっかい人。
クマみたいなその人は、僕に軽く頭を下げるとボソボソと喋り出した。
「オッソ・ボンサム。33。工兵だ。料理もする」
「僕も料理は好きです。今度教えて下さい」
「わかった」
あんまり喋らない人なのかな?
でも、料理好きな人に悪い人はいないし、多分大丈夫。
最後はオッソさんと並ぶと子供みたいに見える女の人。
大人の女の人に言うことじゃないけど可愛い感じ。
で、ラフな格好してる三人と違って、おしゃれさんだ。
「えっと、ペリオン・エントです。歳は20で、まだ未熟なので、御三方と違ってお役に立てない事もあるかと思いますが、精一杯頑張りますのでよろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
なんかすっごい緊張してるけど、ペリオンさんは、どっかのお嬢様とかなのかな?
ダスランさんは無礼講って言ってたけど、ドレスほどじゃないけど、ちゃんとした服装してるくらいだし、もしかしたら箱入り娘なのかもしれないね。
「最後にユウト、と言いたいところだが、その前に俺の事もちゃんと言っておこう」
僕の番かと思ったらダスランさんもするんだ。
「俺の名は、ダスタン・ヴィエ・オルトレート。子爵位を賜っている。そして、騎士団の一つも任されている。得意とするところは剣技だが、それなりには他のも使えるな。とはいえユウトに構ってばかりもいられんから、とりあえず、教わるのはアデーロ辺りにしておけ」
「わかったよ。じゃあ、僕だね」
さっきは見てる側だったけど、僕が一人で立つとやっぱり緊張するなぁ。
「ユウトです。ユウト・フタワです。えと、今日来たばかりなので、なにも分かってませんが、よろしくお願いします」
そそくさと座り直したけど、みんなの注目は集まったままだ。
えーと、どうしよう?
なんかもっと喋った方がいいのかな。
「ま、後は食べながら話そう。待ちきれないのもいるみたいだからな。では、日々の糧に感謝を」
「「日々の糧に感謝を」」
アデーロさんとペリオンさんは、一緒に言ってたけど、ボラさんは早速食べ物に手を伸ばしてた。
「いただきます」
僕も手を合わせてから、手を伸ばす。
どれもこれも美味しそうだ。
大人のみんなはお酒を飲むみたいだけど、僕は子供なので何かのジュースを貰った。
「ユウト殿は、剣を握った事もないと聞いてるけど、ホントなのかい?」
「うん」
「それは、ユウト殿が子供って事で?」
「違うよ。僕の国では、剣とかはほとんどないんだ。一応、剣道っていうのはあるけど」
「へぇ、剣道……」
アデーロさんは、やっぱりというか、コミュニケーション取るのがとっても上手みたいで、食事会が始まってからは基本的にずっと口が動いてる。
「うん。なんていったらいいのかな。剣道とか、他のもそうだけど、身体を鍛えるだけじゃなくて、心も鍛える? みたいなところがあってね、むしろそっちの方が大切だって教えてるよ」
「そりゃご立派な心意気じゃないか」
「そうだね。僕がもう少し大人だったら、学校の授業でそーゆーのも教えてくれたかもしれないけど、僕まだ小学生だったから、剣道とかはなかったんだ」
「それは残念だね」
苦笑いって程でもないけど、もったいない?みたいな微妙な感じで笑いながら相槌を打つアデーロさんが急に首をひねった。
「あれ? ユウト殿、僕の聞き間違いだったら申し訳ないんだが、オルトレート卿から聞いた感じだと、さほど裕福な家庭ではなかったのではないかい?」
「うん。そんな言い方しなくてもいーよ。ウチは貧乏だったよ」
「それなのに学舎に通ってたのかい?」
「中学までは義務教育だもん。誰でも通えるし、通わせないとダメなんだ」
「はー……それはまた、国が豊かなんだね」
あぁ、そうか、ここでは教育って貴族の人とかお金持ちの人にしか出来ないんだ。
それもいつかは変わるのかもしれないけど。
「ユウトの国では、貴族と平民は何で分けられている」
「貴族はいないよ?」
「いない、のでは国が回らないのではないか?」
「えーと、みんなの中から頭のいい人を選んで、その人達で政治とかするんだ。後、ごめん、貴族みたいな人もいるよ。天皇様っていう王様みたいな人」
「王制は残ってるのか、よくわからんな」
あー……違うんだけど、どう言ったらいいのかな。
しどろもどろだったけど、王制はなくて象徴なんだと言ったらみんな微妙な顔してた。
価値観が違うのは仕方ないけど、そういうシステムがないと理解しづらいよね。
僕の国の制度の事、魔法の代わりに科学が発達してる事、銃火器の事、剣とかが骨董品みたいな事、代わりにスポーツとかが盛んな事、お金持ちはどっちでも強いって事、そして──
「本とかはいっぱいあるから、勉強しようと思えばいくらでも出来るんだ」
「は〜、それでユウト殿は沢山本を読まれて来たと」
「読んでるけど、難しい漢字も多いから、ちゃんと読めない事も多いよ?」
「カンジ?」
「僕の国は変な事も多いけど、文字がね、普段から3種類もあるんだ。僕のとこでもすっごい珍しいけど」
「3種類!?それは凄い。ユウト殿も普段はそれを使い分けられてるわけだよね」
「うぅん、ぜーんぶまぜこぜ! 凄いでしょ?」
「それで意味が伝わるのかい?」
「大丈夫だよ? えーと、ひらがなカタカナの二つは、あ、とか一つの音だけでね。文字をくっつけないとあんまり意味が無いの。だけど、漢字がね、いっぱい種類があって、山とか川とか、川とかは別の漢字もあったりして、それで読み方もいっぱいあるんだ。二つの漢字くっつけたら意味がちょっと変わったりもするしね。だから大変なの」
「それはまた……複雑な言語だね。ここらへんで使われているのは、共通神聖語に、古代語くらいかな。古代語なんて神官の説法で引用とかされるくらいで普段は使わないから、実質共通語さえ学べば問題ないしね。あぁ、忘れてたけど、魔法に使う専用言語もあったか。おや、そうすると僕達も3種類使ってる事になりますかね」
「普段使いはしておらんだろう、ユウトのところとは違うさ」
「そうですね、失礼しました」
うん。日本語が複雑なのはいいとして、世界ではそれじゃ通用しない言葉だから、英語も習うんだよ! とか言ったら、みんなはどんな顔をするかな。
「ぷは〜っ! くったくった! おい、ユウトよぉ、オマエそんなんじゃ身体は鍛えてねえんだろ?」
「うん。特別な事は何もしてないよ。学校で体育の授業があるから、その時には運動するけど」
「それはどのくらい身体動かすんだ?」
「えーと、40分くらい?」
「かーーっ! そんなんじゃなまる一方だろが! 学校でナニ教えてんだよ!」
「えーと? 国語ってさっきも言った言葉の勉強でしょ、歴史とかの社会に、算数、科学とかの理科、音楽もあるし、美術もやるよ。それに道徳もあるし、後は体育もだね」
「まてまてまてまて! それはオマエんとこじゃ普通なのか?」
「うん。小学校からだから、6歳からだけど」
「マジかよ……俺んとこよりもよっぽど厳しいじゃんか」
「そうなの?」
「言葉の勉強に算術、後は礼儀作法だな。俺は特に身体動かす方が好きだからな、そこらへんは適当で武器の扱いに格闘、馬術、戦術理論ばっかやってたけどな。魔法も俺は好きじゃねえし」
「そうなんだ。でもボラさんだっていっぱいやってない?」
「俺は好きなもん以外はほとんどやってねえさ。でもオマエは違うだろ? 好きでもない事をやらされてんだから」
「んー?? でも僕、勉強嫌いじゃないよ?」
「うへぇ、ますます勇者っぽくねえなぁ」
「僕もそう思うよ」
そうだよね、やっぱり僕が勇者とかおかしいと思う。
本当になんで僕が喚ばれたんだろう。
嫌そうに手をひらひらと振ってるボラさんはまたご飯を食べるみたいだけど、どれだけ食べるんだろう。
「ユウト殿、それでは国防はどなたがされてるので?」
「自衛隊の人かな? 大人になってから、そこに行くのが国防をしてる人になると思うよ」
厳密には軍隊じゃないから違うんだけど、僕には違いが分からないところだね。
「でも、その者たちもユウトと同じく幼少の頃は学業を修めているのだろう? 急に身体を使おうとしてもついていけぬのではないか?」
「うーん……どうなんだろう?学校の他でもスポーツやってる人は少なくないし、そうじゃなくても銃を撃つだけなら、別にそんなむつかしくないと思うよ」
「おー、オマエんとこでも俺みたいなヤツはいるんだな! そりゃそうか、みんなヒョロかったら誰が戦争すんだってハナシだもんなぁ」
「銃をパーンって撃つだけだけどね。そりゃ、上手下手はあると思うけど」
「その、よ……ジュウってのは、そんなすげぇのか?」
「うん。凄いよ。すごく怖い。だって引き金っていうのをぐってやるだけで人を殺せちゃうんだもん」
「……そんなもん使った戦争なんて戦争じゃねえな。虐殺じゃねえかよ」
「そう、だね。何だったかで、近代の戦争の怖いところは、人を数字で見てるって、そういう風にまるでモノを動かすみたいに人を扱うのが怖いって書いてあったよ」
「そりゃあゾッとしねぇハナシだな。戦ってもんはやっぱ身体でぶつかってなんぼだろがよ」
「そもそも戦争なんてない方がいいよ……」
「男のクセになさけねぇなぁ」
「ユウト君は優しいんだねー」
「何言ってんだペリオン! 男がいざって時にブルってどーすんだよ」
「それはそうですけど、私も兄を戦争で亡くしてますから。誇らしくはあっても、悲しみが、ないわけではないですよ?」
そう言って、儚げに微笑を浮かべるペリオンさんは、お嬢様なのに凄い強い人だなと思った。
そんなことがあったのに、僕の護衛をしてくれる。
戦争に、出る事も覚悟して頑張ってるんだ。
「ペリオンさんは、どうしてお兄さんを亡くしてるのに騎士になろうと思ったの?」
「そうですね、私は兄が大好きでしたから、兄の意思を継ぎたいと思ったのですよ。弟は武芸の才がありませんでしたし、私はこう見えてお転婆だったので」
「へー! お嬢様なのにって言うと変だけど、ペリオンさんって凄い頑張り屋さんなんですね!」
「頑張り屋だなんて、そんな……って、何ですか!? そのお嬢様って!」
「え!? だ、だって、ペリオンさん、すっごいオシャレしてる、から、違うの?」
「違います! 私は普通の平民なんです!」
あ、あれ??
てっきり、どこかのお嬢様なのかと思ったけど、違うの?
あ、もしかして、普通の平民のフリ、みたいな?
そうすると、お嬢様とかじゃなくて実はお姫様とか?
(ダスランさん、ダスランさん、ペリオンさんって実はお姫様で身分隠してるとかそーゆーの??)
(ペリオンが、お姫様?)
(うん。隠してるつもりなのかなって、そうした方がいい?)
(あー、いや、大丈夫だ、俺に任せておけ)
(わかった、お願いします)
本人が必死にお忍びしてるのに、突っついたらイジメだもんね。
それとも、騎士してる時は、身分なんか関係ありません! みたいな感じなのかな。
でも、知らなかったら、いきなりお姫様なペリオンさんが出て来たら慌てちゃうと思うんだよね。
「あー、ペリオン?」
「な、なんですか!?」
「残念な事に、お前がお姫様だとユウトに見抜かれちまったぞ」
「は!?」
「ご、ごめんね、ペリオンさん」
「いや、ふ、くく、ユウト殿が謝る必要はないよ? ほら、ペリオン姫、だから言ったじゃないですか、もう少し平民らしくしないとダメだと」
「アデーロさんまで何言ってるんですか!?」
「もうバレてしまってるのですから、いつもの様にアデーロ、とお呼びください」
「クク、そうだぞ姫様。平民は私服と言われてそんなオシャレはしねえんだよ、これで分かったろ? なぁ、ペリオン、サ・マ?」
「くぁ〜〜っ!! みなさん、悪ノリですか!? そーですか! ユウト君、違うんですよ? 私はホントーに平民です! 間違ってもお姫様なんかではありません!」
「う、うん」
「さすがお姫様、下々にはお姫様“なんか”とは、いえんなぁ」
「だまらっしゃい! ……あ」
「申し訳ありませんでした」
「あぁぁぁぁ……」
テーブルに崩れ落ちるペリオンさん。
な、なんか悪いことしちゃったな。
どうしたらいいのかと周りを見ても、みんなニヤニヤしてるだけで、ペリオンさんを助けたりはしてあげないみたいだし。
オッソさんは、無言でそっぽ向いてるし。
「ペリオンさん、ごめんね? 僕が変な事言ったから……」
「違います、ユウト君は悪くありません」
「そうだぞ、ユウト」
「勘違いにつけ込んだオルトレート卿が悪いんです」
「その通りですな、おっと、その通りだ」
「なんで私が隠したがってる、みたいなわざとらしい言い直ししたんですか!?」
顔を真っ赤にして否定するペリオンさんと、やんわり窘めるダスランさん、アデーロさん、ニヤニヤ笑いながら弄るボラさんと、無言を貫くオッソさん。
お食事会は、そうやって過ぎていった。
大人に囲まれて、少し緊張してたけど、仲良くなれたかな、と思うと、ダスランさんに感謝しなきゃ。
もしかしたら、みんなも交代とかあるかもしれないし、そもそも子供のお守りなんて嫌かもしれないけど、こうやってお話すれば、ちゃんとお友達になれる。
みんないい人だよね。
僕一人に護衛だって言って4人も大人が交代しながらついてくれる。メイドさんも3人もいる。
ちゃんとした護衛じゃなくても、僕を守る為に動いてくれてる人も当然いるだろうし、メイドさんにしたって、同じようなものだと思う。
色んな人達が、僕個人の為にたくさん頑張ってくれてる。
何が出来るのか分からないけど、それでも、ここに僕がいる意味があるのだとしたら、それに応える事が出来るのなら、僕に出来ることをしよう。
この召喚は、僕にとっても救いなのかもしれない。
元の世界に未練がないわけじゃない。
けど、“元の世界”なんて思ってる僕は、きっと、すでに棄ててるんだ。
今まで10年過ごしてきたところを。
ここでは、誰も彼もが僕を道端の小石みたいにしない。
それが
それだけの事が、僕には堪らなく嬉しいのだ。
結局バレたのかバレてないのか
そもそも隠してないものがバレるって……
大丈夫、バレてないよペリオンさん!