お菓子チート シンプル編
リアル事情により更新が滞りまして申し訳ありませんー!!
とゆーことで、異世界チートの超イージーモードです。
誰でも作れるくらいの簡単お菓子
最近、とても慣れてきて困った事がある。
僕の入浴と、就寝についてだ。
この前は、ようやく魔法、というか魔力の扱いに慣れてきて、アイリスさんから、魔道具使ってもいいよ!
という許可が下りた。
つまり、もう僕は一人でお風呂に入れるわけなんだけど。
僕はまだ一人で入ったことがない。
ちゃんと実際に使えるか試してみましょう。
こういう使い方が出来ないとやはり困りますよ。
慣れない内は疲れやすいですから、安全の為にも傍に控えておきます。
髪を乾かさないとダメですし、一々後で呼ぶのは面倒ですよね。
エトセトラエトセトラ……
僕、もう一人で入れないんじゃないかなー。
って思わなくもないけど、僕も男だから、あんまり良くないよね。
どうしたら、大丈夫だって思って貰えるかな。
後、そのままなし崩し的に僕が寝るまで添い寝がセットで付いてくるんだけど、そっちもどうにかしたい。
前に夜中に目が覚めたら、またテリアさ……テリア、がくうくう寝てて凄くびっくりした。
これがリリだと、何故か目が合う。
で、メノはというと、びっくりするくらいリラックスする。
なんか樹精の血が入ってるからみたいなんだけど、自然に包まれて寝る、みたいな、
「今夜は、なるべくユウト様の商品化出来そうと思われるものを考えながら寝てくださると嬉しいですね」
「……ん……いつも、おもうけど、えらべないんだよね……?」
「はい。ですが、見易さが変わりますから、おまじないみたいなものです」
「わかった……」
こうやっておしゃべりしてるのにすぐに眠くなっちゃう。
で、次の日は、爽快な感じで目が覚める。
もうメノはいないけど、メノの時は、こう、残り香みたいなものが残ってて、凄く気分がいいんだよね。
朝食の時に聞いたら見れなかったって言われた。
さもありなん。
「という事で、まずはデザートを作りたいと思いまーす」
「よろしくお願いします」
今日のところは、試作という事で、カノンだけ。
テリアがぶーぶー言ってたけど、お仕事はお仕事でちゃんとしないとダメです。
これから暑期といういわゆる夏になるので、その前に冷たいデザートを作るのだ。
僕的にはゼリーが大好きだけど、テングサがどうにもわからないみたいなので、それはプジョリさんの商人パワーに期待だね。
「じゃあカノン、まずは玉子ね、えーっと、とりあえず10個くらいにしようかな……割って、白身と黄身を分けて」
「はい、かしこまりまして」
僕がやるつもりだったんだけど、カノンはこの新しい? 料理を作ってみたいって言うから、簡単だし、お任せしてる。
まぁ、玉子アイスなんて、材料は玉子と牛乳と砂糖だけだし。
とはいっても、やっぱり丁寧さは必要だから、ちゃんと料理人してるカノンにやって貰った方がいいのは確かだよね。
材料は
玉子 10個
牛乳 1リットルくらい
砂糖 100g
もうちょっと砂糖使いたいけど高いからね、甘さ控えめ。
玉子1個で1人分くらいになるから、10人分くらいだね。
「割れまして」
「じゃあ、黄身だけ使うから、白身の方は冷蔵庫に入れておいて」
「はい」
5個ずつにして、砂糖も半分こ。
量が多いからね、黄身と砂糖をしっかりまぜまぜ。
泡立て器が欲しい……っ!
「カノン、頑張るよ!」
「はいっ!」
まぜまぜ、ひたすらまぜまぜ……
今度、絶対、泡立て器を用意するっ!
今は、仕方ないから、フォークとヘラでまぜる。
「「………………」」
シャカシャカと、砂糖と黄身をまぜる音だけがする。
「ご主人様、これはいつまでされるのですか?」
「ザラザラした感じがしなくなるまでー」
「これくらいでしょうか?」
「ん……んーと、大丈夫、かな……?」
ヘラで確かめてみたけど、大丈夫そう。
というか、早いね、カノン。
僕の方はもうちょっとかかるよ。
「ご主人様、代わりますか?」
「うぅん、こっちはいいから、牛乳あっためて欲しいな。絶対に沸騰させないでね。泡がちょっと出たらすぐ止めてね」
「はい」
そうして、牛乳をあっためて貰って、まぜたヤツに牛乳を入れて、また、まぜる。
しばらくして、またちゃんと混ざったら、火にかける。勿論沸騰はさせない。
そのアイスの素は任せて、僕は氷を用意しておく。
「じゃあ後は、氷水で冷やしながら少しヘラでまぜてね」
「混ぜるの多いですね、これは疲れます」
「今度、まぜる道具、用意するから」
「はい」
カノンもさすがに疲れたみたいな顔をしてるけど、新しい料理ってだけで顔を輝かせてるから、こっちも楽しくなる。
後は冷やすだけ。
途中で、少し固まったところを何回かまぜてあげれば完成だね。
次は残った白身を使ったクッキーもどき。
「混ぜますか……」
「うん、まぜるよ……後ちょっとだからね」
「はい」
お菓子系はすぐまぜるよね。
失敗したなぁ、泡立て器を先に用意しとかないとダメだった。
あると思った僕が悪いけど。
いっそハンドミキサーみたいな魔道具作れないかな。
こっちの材料は
白身 10個分
砂糖 玉子よりも多め
で、メレンゲが出来るけど、どうせだからオレンジとレモンの皮をすり潰したのを混ぜ込む。
メレンゲは、ふっかふかになるまでやらないとダメ。
しんどい。
途中、アイスをまぜたりしながら、何とかメレンゲになったのを、スプーンで丸く形を作って、100℃ちょっとにしたオーブンに入れて1時間半くらい焼いたら終わりになる。
クッキングシート欲しい……
「カノン、お疲れ様ー」
「混ぜるのがこんなにていへんては思いませんでして」
「僕も、泡立て器ないとこんな大変とは思わなかったよ」
またアイスをまぜてるカノンと味見したら、とてもよく出来てた。
苦労して失敗とか、目も当てられないし。
大丈夫って言ったもんね。
「ご主人様、これからも色々教えて欲しいです」
「うん、最初はカノンに作ってもらうから、いっぱい覚えてね」
「はい!」
と言うことで、これからもまぜたりはいっぱいするけど、ちゃんと覚えて欲しいな。カノンなら大丈夫かな。
今も、焼き上がりを待つ間に手早くレシピをまとめてるし。
「玉子アイス、美味しかった?」
「はい! 氷菓子は、もってこう、てめてい感じをてのしむものと思ってましてが、これは、そう……口溶けの滑らかさに、しっとりとした甘みで優しく包まれるような味わいです。乳などを入れるとまろやかになりそうですね。あぁ、最初にあれほど混ぜていたのは砂糖の粒が残るとこのアイスの舌触りにザラつきが出てしまうからですね。ご主人様がザラつきがなくなるまでと仰ったのもよく、えぇよく分かります。それを楽しむのも良いかもしれませんが、ナッツなどを入れてもそれはそれで柔らかさと固い食感を楽しめそうです。あのメレンゲを焼くのも、なんでしょうね、ケーキにはなりませんし、クッキーとも違いそうです。あれもメレンゲがふわふわですから、ふわふわしてるのでしょうか? 焼き菓子でふわふわとかちょっと想像出来ませんが、ふわふわクッキーになるのでしょうか? 早く焼けるといいのですが、まだですかね?」
「……あ、あーっと、うん、もうちょっと、かな?」
そうですか、としょぼんとするカノンを見てぽかーんとしていた僕はようやく分かった。
カノンは、料理オタクなんだ。
料理人になりたいのも、好奇心旺盛なだけで、そりゃ作るのも楽しいみたいだけど、料理そのものが好きというか、うん。
好きなものがあるのは良い事だよね。
「ところで、カノン、お昼ご飯間に合う?」
「おひるごはん? ……あ、あぁっ!?」
キョトンとしていたカノンだけど、時間を見てさーっと顔を青くさせた。
ガタンと立ち上がってあわあわと用意を始めたカノンだけど、どう考えても一人だと手が足りなそう。
「僕も手伝うから」
「すみませんー!! てりあえず、このお野菜を洗って皮むきを!」
「うん、わかった」
「ひぁぁーっ!!」
バタバタと走り回るカノンと一緒にお昼を作ったけど、最後の方はほとんど手伝える事もないし、みんなを呼びに行くのは僕が引き受けた。
「そういうのは私達がやる」
んだけど、リリに伝えたら、僕は食堂で待ってるように言われた。
別にいいのに。
「エニュハ」
「はい! 何でしょうか、リュリュ様」
「ユウト様が大人しくしてるように食堂までお連れして。後、お茶淹れは頑張って」
「はい」
まだ疲れが残ってそうなエニュハは今日はリリと一緒にお仕事してて、僕の監視役になった。
別にいいのに。
まぁでも、エニュハが少し休めるようにって事もあるぽいから、仕方ないかな。
どっちがどっちのお守りなんだか分かんないけど。
「エニュハは、大丈夫? 無理しなくていいんだからね?」
「はい、大丈夫、です」
「あ、お昼の後にはお試しでデザートあるから楽しみにしてくれるといーな」
「デザート、ですか?」
「うん。カノンに作って貰ったけど、僕のとこのお菓子。カノンには好評だったし、エニュハも楽しめると思うよ」
「ご主人様の、デザート……?」
「うん、そう」
「……っふぁっ!?!」
突然、エニュハが身体をぶるっと震わせるとへにゃりと座り込んで息を荒くついた。
「エニュハ!? だ、大丈夫!?」
「大丈夫、れす」
「とてもそんな風には見えないんだけど……」
「ご主人様の、デザート、わたし達も食べれます、か?」
「え? うん、もちろんだけど、今はそんな事いいから! えっと、オッソを呼んでくれば大丈夫かな……ちょっと待っててね?」
こういうのはオッソが得意だから、オッソに見てもらった方がいい。
エニュハをこのままにしとくのはなんか、心配だけど、
ガシッ
「へ?」
「大丈夫、です! それよりも、ご主人様の、デザートは、ご主人様の、故郷の、デザート、ですか!?」
「え? ……うーん、どう、かな? 故郷とかゆーと何か変な感じだけど……」
へたりこんだままのエニュハにしがみつかれる様にして鬼気迫る感じで聞かれたけど、それよりも本当に体調は大丈夫なの?
「エニュハ」
「はい!」
「デザートなんていつでも食べさせてあげるから、先に体調を治そうね?」
「もう、治りました!」
「えぇ!?」
フンっ! と立ち上がったエニュハは、これから戦場に赴く戦士のような勇ましい顔つきで、僕をキリッと見る。
そんな顔つきされても、服装は簡素な黒のワンピにエプロン姿だからね?
後、カチューシャはとても似合ってて可愛い。
「さ、行きます。ご主人様」
「ちょ、まって」
ぐいぐいと手を引かれてエニュハに食堂に連れていかれた。
エニュハってもっと大人しい子だと思ってたんだけど、そんなにデザートが楽しみなのかな。
でも、今までカノンとデザート作ってくれてた時はこんなじゃなかったと思うし、僕の故郷がどうのとか、そっちが気になってる?
僕の手を引いて歩くエニュハの後ろ姿を見ながらそんな事を考えてたら、キッチンに着いてた。
「「あれ?」」
と、疑問の声を上げたのは僕とカノン。
「ご主人様! デザートは、どこです?」
「ご飯の後にね」
「そんな! アフォス様が……ぁ」
そんな僕達には構わず勢い込んで聞いてきたエニュハに、やっぱりデザートはご飯の後か午後3時って感じだよね、と思いながらそういうと、絶望したみたいな顔になったけど、何だって?
「アフォス様って、なんでそこで、アフォス様?」
アフォス様は、海の神様だよね?
えーっと、変遷と大海の神様。
僕の聖痕にもあったと思うけど。
エニュハの聖痕の神様だよね?
失言した! みたいな感じで目を逸らしたけど、もしかしてアフォス様がエニュハに何かしたの?
「エニュハ。アフォス様から何か言われてたの? 最近の体調不良もそれが原因?」
あうあうしてるけど、それがもう雄弁に語ってると思った。
きっと、エニュハにとってはアフォス様は神様だし、敬う気持ちがあるんだろうし、僕だって別に向こうでは神様なんて……って思ってたけど、ここでは実在するんだ。
神様がちゃんといるなら、ちゃんと応えてくれるなら、僕だってお祈りくらいしたいし、いつかはさせて欲しいと思うかもしれないけど。
でも、それでエニュハが体調崩すなら
それはもうウィルスなんじゃないかな。
「あの……ご主人様……何か、言われた、とかでは、ないんです」
手を組んで縋るようにそういうエニュハの姿は、嘘をついてるように見えないけど、ならどうしてここでアフォス様の名前が出るんだろう。
「何があったか、ちゃんと教えて」
声にトゲが混じるけど、僕にとって神様は敬うものじゃない。
それに、僕が聞いた話には僕に何かいい事があるように思えなくて不信感の方が強い。
神様が僕に、僕の周りで何かしてるなら本当にやめて欲しい。
それじゃ聖痕じゃなくて烙印じゃないか。
「ご主人様、あの、アフォス様には、何も、言われてません」
じゃあなんで、ここでアフォス様が出てくるのか分からない。
「ご主人様! アフォス様は、流行りものが好きなのです!」
「カノン? どーゆーこと?」
カノンが言うには、アフォス様はとても新しいものが好きらしい。
だから、発明とかをする人に援助──つまり聖痕?──も惜しまない神様なんだけど、海の天気は女の機嫌よりも変わりやすい、というのを体現される方でもあるそうで、つまり、超気分屋さんなのだ。
前にアイリスさんにも聞いた気がするけど、11人分とか覚えられないから、何となくしか覚えてなかった。
それで、僕が異世界から来た、料理も嫌いじゃない、となれば、何か新しい料理が味見出来るだろう、とでも思ったのではないか。
それなのに、僕がお休みした日にも作らないし、じゃあいつになるんだ?
みたいな感じで不機嫌になったのではないか。
アフォス様なら、有り得る。有り得ちゃう。
「想像ですが、こんな感じではないでしょうか……」
「なんて、はた迷惑な……」
「すみません……」
「いや、エニュハは悪くないから。悪いのはアフォス様だから」
それでつまり、その八つ当たりでエニュハが怯えてたってこと?
夜も眠れなくなるくらい?
「アフォス様が、次に同じ事したら二度と作りません」
「ご主人様!?」
「エニュハは大丈夫だから。大体言いたい事があれば僕に直接伝えれば良かったんだよね。僕にもアフォス様の聖痕あるんだから」
そうだよ。
一々エニュハにあたらなくても、僕に作って欲しいって伝えてくれればそれでいいのに、回りくどい事してエニュハに迷惑かけるなんて酷いよ。
二人がおろおろしてるけど、悪いのはアフォス様だから。
冷凍庫から、玉子アイスをスプーンでとって、メレンゲクッキーを一つとって、エニュハに渡す。
「はい。とりあえず、これでアフォス様黙らせて」
「は、はい!」
はむっとスプーンを口に入れたエニュハが、目を丸くしてる。
「んんーー!! つ、冷たくて、甘い、です!」
「アイスだからねー。はい、こっちも食べて」
「ふぁ……口の中で、溶けて、無くなった、です!」
メレンゲクッキーだからねー。
ぴょんぴょん跳ねて喜んでるエニュハに僕も自然と笑顔になる。
これでいいでしょ?
「後はご飯の後でね」
「「はい!」」
二人とも笑顔で僕に返事してくれたから、これで良かったんだよね。
さて、食堂に戻っておかないと、と、振り返ったら、そこには、無表情のリリさんが。
いつもの暖かい感じのお済ましじゃない、ほんとの無表情。
「エニュハ。私はユウト様に食堂でお茶を、と言った」
「すみません!」
「あー、リリ? これにはちょっと事情が……」
「ユウト様、ダメ。理由によらず、していい事と悪い事はちゃんと区別しないとエニュハの為にならない。今回のはダメ」
めっと言ったリリにみんなでごめんなさいとしたけど、必要な心構えが出来ていないと、そこからリリによるお説教が始まった。
カノンはほぼ関係ないけど、ごめんなさいもして今もエニュハと一緒にリリのお説教を聞いている。
止めようにも、リリからユウト様は口出ししたらダメと言われちゃったから、止めらんないよ。
ご飯の時間はそのために更にずれ込んで、痺れを切らしたボラがリリにチョップして話は終わった。
「後にしろ! 俺は腹が減ったんだ!」
おぉ、言っちゃ悪いけど、ボラの癇癪もたまには役に立つね!
材料は、異世界準拠なので、ちょっと足りない感じになってます。
実際に作る場合は、玉子アイスは作中の砂糖5割増
メレンゲクッキーは卵白の重さのこちらも5割増
くらいの分量で作りましょう
後、言及していませんが、玉子10個分でメレンゲクッキーを作ると、死ぬほど作れるので止めましょう。
玉子3個分くらいが良いと思います。