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隣の芝生は青い (side:リュリュ)

章タイトルが全然冒険者してないので変更されました(爆)

冒険者になる為に外に出したはずなのに……

過保護に育てられてて冒険者が遠い……orz


魔王のマの字も出てないのは忘れて下さい(ぁ

 

 カノンから相談されて良かった。

 もう少し遅れていたら危なかった、と思う。


 人手がただでさえ足りてないのに病人とか困る。

 それにユウト様にもご迷惑がかかる。


 迷惑と言えば……


 アイリス様はついにやってしまった。

 魔法使えるようにしてしまった。

 使えないのも、実際は困るから、仕方ないけど、お風呂が無くなるのは困る。


 いや、もう開き直ってこれからもお風呂は一緒すればいいのではないだろうか?

 今度、話そう。


「ふんふふ〜ん♪」


 テリア、またそんな浮かれて、抜け駆けはするなとあれほど……

 あれ……


「メノ?」

「あ、リュリュ。何かありましたか?」

「それはこちらのセリフ。まさかテリアだけに飽き足らずメノまで抜け駆け?」

「違います。大丈夫です。すぐにでもわかるはずですから」

「それなら教えてくれればいい」

「わたくしが教えても構いませんが……聞いたら絶対に後悔しますよ? これは親切で言いますが、わたくしからよりユウト様からちゃんと聞かれた方が宜しいと思います」


 なんだそれは。

 そんな幸せオーラ振りまいておいて、聞くなとか。


「……メノが私の立場だとして、聞いていたらどれくらい恨む?」

「ん〜、そうですねっ! テリアのようにデート出来そうになったら何がなんでも邪魔するくらいには恨みますね」


 それは嫌だ。


 ユウト様に置いていかれたテリアみたいにはならないとこの前決めた。

 今の言い方だと、メノ自身を犠牲にテリアにやり直しさせてでも邪魔をするという覚悟すら見える。


「分かった、聞かない。ちなみにユウト様はどこ?」

「おそらく寝室でしょう」


 何故寝室。

 でも、それも理由があるのだろう。


 何かユウト様にお伺いする用事を作らねば。

 エニュハの事は今はまだ使えない。

 さっきメノが見てきてそれからユウト様にも報告したのだろう。

 そこで何かがあった。

 テリアといい、メノといい、なんでそういう場面に出くわすのだろう?

 私にはないのか。


 とりあえず、今やるべき事を先に片付けよう。

 階段の手すりを磨いて、その後はエニュハの代わりに料理の手伝いをしないといけない。


 きゅ……きゅ……きゅ……きゅ……


 あぁ、いつもなら無心で磨くのが何とも楽しいのに、今日はなんでこんなに気が急くのだろう。

 でも、焦って適当にすると、甘いところがやはり目立つ。

 裏側なら見えないんじゃないかと思わなくもないが、後日、裏側をやった時に汚れが付けば、嫌な気持ちになるし、やはりやらないという選択肢はない。


 手際が一向に良くならない所為でユウト様のところに行くまでもなく、晩ご飯によってみんな集合した。

 なんかもじもじとしているユウト様が、とてもとても気になったけど、メノの言うような何かを言うでもなく、時間だけが過ぎていく。

 他のみんなもその様子に気になってるみたいだけど、待ちの体勢だ。

 その中でメノはともかくペリオン様もなんか落ち着いてる。

 まさか、ペリオン様も抜け駆けを?


 それとも寝室という事は……まさか、まさか、ここまで何も行動して来なかったペリオン様がユウト様のお相手を務めた……?


「あ、あのね! ちょっと聞いて欲しいんだけど!」


 !


 と、思っていたら大体食事が終わったくらいの時になってユウト様が声を上げた。

 何かとても緊張してる、けど、これがユウト様からお話されるいい事。


「僕、これから、みんなの事、呼び捨てにするから! 僕がみんなの、えと、主人だから、その意味でって事で、まずは形から、みたいな……嫌な人は、いる?」


 不安げに見ながら言って下さったこれが……!

 つまり、ユウト様が、私をリリ、と呼んでくれる?


 思わずスっと手を挙げた。


「リリさんは、嫌って事でいいの?」

「違う」


 そうじゃない。これは、これはちゃんと確かめねば。


「大賛成、だから、呼んで」

「う……」


 あぁ、これは、聞かなくて正解だ。

 チラチラと周りを見ながら、顔を真っ赤にして!

 こんなの、先に聞いていたら、何通りも想像して新鮮さが薄れてしまっていたところだ。


「リリ、これからは、リリって呼ぶから!」

「はい……はい……」


 背中にゾクゾクしたものが、流れる!

 これは、ダメなやつだ。

 なんか今ならユウト様に酷いことされてもいい気がしてくる。


『リリ、おしおきだよ?』


 とか、言われたら、どうしよう。

 ご褒美にしかならない気がする。


 その間も、他の方も呼び捨てにされていて、テリアなんかはだらしない顔をしていた。その顔はさすがにちょっと。

 ボラ様までも、呼び捨てを許されていたが、少し照れていたかもしれない。珍しい。


「後、片付け終わったら……メ、メイドのみんなは後で僕の部屋に来てね、相談したい事あるから」


 そういって、解散になると、ユウト様が一目散に駆けていった。

 これから、恥ずかしさに寝室で悶えるのだろう。


 見に行きたい。


「メノー! よくやったね! 私はいつこうなるのかと期待してたけどまだ時間かかると思ってたよー!」


 なに……?

 私はユウト様が呼び捨てとか、絶対に無理だと思ってたのに。


「いえ、わたくしは……ペリオン様の尻馬に乗っただけですから」


 しかもペリオン様の仕込みとは……


「しかし、言っては何ですが、女性の方は、なんでこう、男に紳士的に扱って欲しいと言いながら、強引さを求めるんですかね」


 苦笑しながらそういうアデーロは、それでもそれが有効だから、そうしていて、女をその毒牙にかけているのだろう。


「アデーロさんは分かってませんねぇ」

「おや、ペリオンに言われるとは思いませんでしたが、僕が呼び捨てにしても、別に気になりませんよね?」

「全然」

「分かってましたけど、それはそれで何か腑に落ちないというか……まぁ、仕事に支障が出ても困りますしね」

「お前、そんだけ女で遊んでて、んな事もわかんねえのかよ」

「いえ、分かってることと理解出来るかは別ですから。ちなみに、僕がボラ、と呼んでも気になりませんよね?」

「いや、ムカつくな」

「それは困りますね」


 お手上げだと、肩を落とすアデーロだが、よくもボラ様を仮定の話だとしても呼び捨てに出来たものだ。


 そういえば、オッソ様はどうなのだろう。

 いつも無言ですが、心の中では敬称を付けていたりするのだろうか?


「では、わちしは、エニュハにご飯を届けてくるでありんす」


 コーリー、貴女、そのしっぽとか、ユウト様がよく目で追ってるので、何とかして欲しい。

 獣人にとって、大事なものなのは分かるが、さすがの私もコーリーに先を越されたりすると、困る。

 いや、これは、私も奴隷というものを低く見ているという事だろうか。

 ユウト様から賜った道具でいつにも増して艶々なしっぽ。

 次の日から、コーリーが心なしか背筋が伸びてる気がする。

 カノンもだ。

 コック帽を貰ってから、料理により力が入ってる気がする。


 まぁ、ユウト様が持て囃されるのは必然だから。


 それぞれに散っていくもの達を意識の外において、メノ、テリアと、お互いの仕事を確認して、ユウト様の部屋に行く。


「ごめんね、集まってもらっちゃって」

「いえ、構いません。それで、何のご用件でしょうか」


 そういえば、いつの間にメノはメイド長になっていたのだろう。

 年齢的にも経験的にも不満は無いのだけど、気付いたらそうなっていた。


 ユウト様に促されてソファに座る。

 私達三人とユウト様一人だとバランス悪い。


「あ、さすがにキツイから私、そっち行きますね」


 口を開こうとしたらテリアがさっさと動いていた。ズルい。

 こういう時にテリアは行動が早い。

 テリア、くっついてたら意味がない。価値はあるけど。


「えっとね、エニュハの事もそうだけど、やっぱり人が足りなくない?」


 それか。

 瞬間的に私達は目線で確認をとる。


「ですが、ユウト様……その、奴隷を雇うのはあまり好まれてないですよね?」

「奴隷にこだわる必要あるの? 普通に誰かに来てもらえば良くない?」

「それだと、信用出来ないからダメですよー」


 私達もそうだと同意する。

 安易に人を増やすべきではない。

 どんなモノが紛れ込むか分かったものじゃないのだから。


「じゃあ、みんなは? どうして信用していいの?」


 あ、これは不味い、かも。


「わたくし達は、その、貴族家の紹介がありまして、それで信用して頂いているのですよ」

「じゃあ、同じようにすれば良くない? ダメなの?」

「それは……」

「ユウト様、あのね、あんまり言いたくはないんだけど……そのね……」

「勇者だから、変なのが混じってくる」


 テリアが口ごもったけど、これは隠しても仕方ない。

 むしろ、ちゃんと言っておかないといけない。


「最初は、まだユウト様がどんな方か、みんな分からなかったから足踏みしてた。でも、今は違う。ユウト様がどんな方か分かってきたから、食いこもうとしてくる」

「……それは、教会の人とか?」

「それもそう。貴族家もそう動いてる」


 そう言えば、聡明なユウト様なら、どこもかしこも八方塞がりな事に気づく。


 奴隷はユウト様が嫌。

 教会は以ての外。

 貴族家も今は信用ならない。

 アイリス様の家は大丈夫だけど、力関係が拗れるからこれ以上は望ましくない。

 王家もあまり肩入れは出来ないから、厳しい。


「じゃあ、平民の人でいいじゃん」

「それは、信用の面でお勧め出来かねます」

「……プジョリさんの紹介でも?」


 ここを用意してくれた商会長は、信用、出来る。

 出来なければ、その地位にいない。


「でも、商人がそもそも信用しづらい」

「あの人達、損得で動くから、現状で信用出来ても、いつ心変わりしてるかわかんないんだよ」

「それは、僕に味方してたら、損になるって、そう判断されたらダメって事だよね?」

「その通りです」


 信用出来る商人などというものは幻想だ。

 例えば私達なら、誰でも、ユウト様をお救い出来るなら命を差し出しても構わない。

 でも、商人には、そんな事は出来ないだろう。


 最後の最後で信用出来ない事が分かってるのは、そこまでだと割り切れるなら、いいかもしれないけど、ここには必要ない。

 どこかで裏切る可能性をもった人を置いてはおけない。


「じゃあ、僕が利益を提供出来ればいいんだよね?」

「それは、そう出来れば、それが一番ですが、そこが一番難しいとも言えます」

「僕、異世界から来たんだよ? その知識は、どれくらい価値があるかな」


 得意げなユウト様可愛い。


 じゃなくて、それは、どうなのだろう。

 確かに誰も知らないものを商品化出来るなら、それは商人にとって、これ以上ない優位性だ。


 しかも、勇者様の御印つきになる。


「……確かに、可能性はありますが、商人の方を納得させ続けなければなりませんよ?」

「ふふ、僕の世界の事はメノが一番知ってるはずだけど、どれくらい物が溢れてたか、忘れたの?」

「ンン! 忘れておりませんが、ユウト様、それをこちらで再現は出来ますか?」


 呼び捨てにされただけで何悶えてるの。


「出来るよ。出来る物を売り込むし」

「ユウト様、いつになく自信たっぷりだねー」

「僕が向こうでしてたのは、いつか、自立して行けるように知識を溜め込む為に本を読むことだったから」


 保護者に疑われないように嗜好になる本も読んでたって。

 そうはいうけど。

 でも、書物なんて学者以外の誰の役に立つのだろう。


「こっちでは、本なんて高級品みたいだけど、向こうだと一人で絶対読めないくらいあるから」


 それから、ユウト様が言ってくださった本は、もう意味がわからなかった。


 どの本は、ユウト様みたいな子供でも買えるくらいで、誰でも出来る料理の本みたいなものすらあったのだとか。

 機械なる、魔法に頼らない通信? という伝達の手法。

 良質な紙の製造方法。

 芸術の分野のもの。

 遊戯にかかるもの。

 生活を豊かにするもの。

 学者も顔負けの知識がある。


「それを、少しずつ出していくのはダメ?」

「……ユウト様の身の安全を保証しなければダメです」

「それは、プジョリさんに頼もうよ。儲け話がなくなると思ったら頑張ってくれるよね」

「分かった。ユウト様に賛成する」

「リュリュ!?」


 メノが驚いているけど、もうこれは我儘にしかならない。

 ちゃんと、ユウト様が考えて決めた事なら、それがいい。


「うん、私も賛成。だけど、ちゃんと売り物になるかはちゃんと判断しようね。メノもそれなら良いでしょ? どうしたってお金を稼ぐ必要はあるんだし」

「リリもテリアもありがとう。メノも、僕のこと心配してくれてありがとうね。でも、みんな忙しすぎて余裕ないなら、やっぱり人は増やさないとダメだと思うから、他の形でもいいけど、これは譲らないからね」

「……分かりました。ですが、わたくし達は商人ではありませんから、商品になるかは、厳しくみますからね?」

「うん。それはお願いします」


 そういうと肩の荷が降りたのか、ほっとひと息ついて、隣のテリアにもたれかかった。


 ズルい。



ついに

異世界チートの出番ですよっ!


ユウトの予定がどんどん決まるとタイムテーブル管理が大変になりますw

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