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改めましてあけおめです。

更新遅くなりまして申し訳ありませんでした。

リアル都合によるものでご迷惑をお掛けします。

せっかくブクマしたのに年明けからこっち一度も更新されないなぁ、とかやきもきさせてしまってすみませんσ(^_^;)


 

「さて……では、坊っちゃまには、奴隷契約の条項を定めて頂きたいのですが、こちらは従者の方にお願いした方が宜しいでしょうか?」


 三人は荷物をまとめてから来ると言う事で一度別室に戻されたけど、もしかしてこっちが本題なのかな。

 なんかごわっとした感じの紙をリンドさんが取り出して並べながら言う事は、奴隷の人にはあんまり聞かせたい話じゃなかった。

 奴隷の人を縛る為のルールって事だよね。


「基本条項に加えて、先程提示しました当家の事に関する機密情報の秘匿に対する永続した漏洩禁止を盛り込んで下さいませ」

「かしこまりました」


 リンドさんが紙の上に指を滑らせると、魔法みたいにするすると文字が書き加えられていく。

 いや、魔法なんだよね。


「あの、禁止してるのって他に何があるの?」

「これは申し訳ありませんでした。まず、主人の言動に対して逆らう事を禁じております。又、意図的に不利益を与える事や、当然ながら逃げ出す事、などとなっております。但し、これらの禁止条項には、本人に対して危険が及ぶ場合に限って破っても良いとされています。先程、従者の方に定めて頂いた条項はこれに含まれておらず、たとえ生命の危機があったとしても口外出来なくなっております」

「……え?」


 なにそれ。


 最初の方のはいいよ?

 僕個人としては、なんかヤだけど、ここではそうするものなんだし、本人達も納得してるみたいだし、僕を守るために必要な事だって分かるから。

 でも、メノさんが加えたっていう最後のは、殺されても言わないって言うことを無理強いしてるんだよね?

 僕の事をしゃべれない事で、殺される事がある?

 しゃべったからって殺されたりしなくなるかは分かんないけど、しゃべれないなら生かしておこう、にはならない、よね?


「メノさん……」

「坊っちゃま、こちらは譲れません。彼女達もそれを分かってて受け入れております」

「でも……それはわかる、けど……」


 全部、僕の為なんだ。

 僕がここでイヤだって言うことは、僕を守りにくくして欲しいって事で、だから、ペリオンさんも、ボラさんも、口にはしてないけど、聞いてもダメだって言うだろう。

 それでも──

 そう思って二人を見たけど、揃って首を振られた。


 僕以外の誰も、コレが当然の事だって思ってる。


 戦争なんか遠い場所の事でしかないと、そう思っていた僕には正しさの基準が違う事しか分からない。

 僕の正しさは、平和だから成り立つもので、ここでは違うから僕の正しさは、ワガママになる。

 でも、このワガママをただ我慢したら、僕はそれを飲み込める気がしない。

 どうしたらいいの?

 考えなきゃ、今、考えなきゃこれが、通っちゃう。


 僕の為に、生命を賭けるかもしれない絶対のルールを受け入れてくれる三人に、僕がしてあげられることはなに?


 ここを譲れないなら、他で譲ってもらうしかない。


「……分かった」

「ご理解下さりまして、ありがとうございます」

「でも、他で譲って欲しい」

「他、ですか?」


 メノさんが言うのは、分かったし、それを絶対に外してくれないなら、他のとこを外して貰う。

 それで、どれだけバランス取れるかは分かんない。

 生命を賭ける事に対する対価として、釣り合うものなんて、多分ないと思うけど、少しでも多くを返したい。


「意図的な不利益は、困るからそのまま。他のを無くして欲しい」

「それでは、逃げ出したくなったらいつでも自由になれるということです。今日にでも。その時にわたくし達はほぼ何も出来なくなります」

「いーよ」

「よくありません! お金を捨てるという事ですよ? 分かっておいでですか?」

「それは、三人が逃げ出すって決まってたら、だよね?」

「わざわざ低賃金な奴隷身分のままを良しとはしません。自由になれるなら、そちらを取ります」

「でも、それは僕のとこにいたいって思ってくれなかったって事だよね?」


 いい関係が出来てたら、そのままちゃんと雇用出来るって事は、そういう事だよね。

 仲良くなれなかったら、バイバイするだけで、それが早いか遅いかだけ。


「カノンさんは、お料理がしたいんだよね。じゃあ、僕のとこでして貰えばいいよ。僕に遠慮して貰っても解放されたらそのままさよならだよ。じゃあ、気持ち良くお料理して貰いたい。僕のところ以上にいい所なんてないって思ってもらおうよ。エニュハさんもお料理楽しいってもっと思ってもらう。カノンさんに教わってるんでしょ? それならカノンさんと一緒にお料理出来るなら、いてくれると思うよ。コーリーさんは、庭の事、一緒に決めたらダメかな。僕がこうしたいってだけでただ言われた事するだけより、コーリーさんのやりたい事もいっぱい出来る方がやりがいあると思う」


 奴隷だからって、我慢ばっかりじゃ、きっとダメだよ。

 子供のくせに、とか

 男なんだから、女なんだから、とか

 大人は、なんかダメな理由を上手く探してくる。


 でも、やりたい事をさせないって事だよね。


 権利と義務を言うのは違うのかな。

 したくない事をさせるなら、したい事もさせてあげたい。


 したい事をやる為にしたくない事の我慢は出来る。


 したい事をさせてくれないのにしたくない事をやらされる。


 それは、とても疲れる事だと思う。

 だから


「だから、僕のとこに来て良かったって絶対に言ってもらうから。奴隷だけど、奴隷で良かったって思ってもらうから、お願い、メノさん」

「……はぁ……仕方ないですね……」

「じゃあ!」

「試用期間が過ぎたら、です。せめてそれまではどうか普通に制約させて下さいませ」

「うん、わかった」


 がっくり肩を落としたメノさんだけど、僕がニコニコ笑ってるのを見て頭を一つ撫でてきた。


「えぇと、本当に、宜しいのですか?」


 置いていかれた感じになったリンドさんが、明らかに戸惑った様子で確認してくるけど、ここはもう譲らないって決めたもん。


「はい、機密情報の永続した漏洩禁止と、意図的な不利益を与える事のみで、試用期間中においては、通常のものも盛り込んで下されば大丈夫です」

「こちらとしては、試用期間を終えられましたら何も言えませんが、あまりに緩すぎますと舐められてしまう可能性があります。せめて、主人に対する言動には制限をかけられた方が宜しいかと思われますが……」

「大丈夫です」


 キッパリ言い切った僕だけど、リンドさんはどう言い含めたら僕に納得して貰えるかって悩んでるみたいで、困った顔になった。


「そこの、ボラさんにほおり投げられたりしましたけど、今思えば楽しかったですし、そーゆーのも、遠慮はあまりして欲しくないので、投げられたいわけじゃないですけど、奴隷だから言えないとか、主人だから言えないとか、遠慮して欲しくないです」

「……分かりました。但し、こちらも責任は持てませんから、そこはご理解下さいね」

「はい」


 お手上げだと、諦めた様に笑うリンドさんは、それでももう一度確認するかのようにメノさんに目線で問うたけど、メノさんももう問題ないと頷いた。


 そうして、決めることが決まって、少し雑談しながら三人を待っていると、用意が出来たらしい三人がやってきた。


「では、お前達に制約をかける」


 さっき書き付けてた制約の紙をそれぞれに渡して、内容を告げると、手を出させて小さなナイフで指から血を貰って親指をハンコにしていた。痛そう。

 三人とも、リンドさんにこの条件でいいのかと確認をしていたけど、奴隷から見ても変な条件なんだ。

 でも、これは僕のワガママだから。


 この世界で生きていかなきゃいけない僕だけど、仕方ないって諦めながらにしたくない。


 何も出来なかった僕じゃなくて、何かが出来る僕だから、誰かを不幸にしないワガママなら、僕はしたい。


 そうして考え込んでいる間に、契約の書かれた紙がそれぞれの手の中で淡い幻想的な光に包まれて、両手に腕輪みたいなものがカチリとはまったのが見えた。


「あれが、奴隷紋です。犯罪奴隷とは違い、首にはつきません。また、奴隷紋の色合いは基本的に二色になります。下地が全体としての主人のイメージカラー、紋が個々のカラーになりやすいと言われております。明るい色合いだと良いのですが……」


 そっと囁くメノさんは少し不安そうだけど、なんかミサンガみたいなんだなぁと思った。


 でも、首輪ドン! とかじゃなくて良かった。

 女の子なんだし、外せはしないと思うけど、ファッショナブルなのはいいよね。


「坊っちゃま、こちらへどうぞ」

「あ、はい」


 なんか困惑してるリンドさんに呼ばれて行くと、すみませんと軽く謝られた。


「えっと……何か問題が……?」

「問題、となるのかどうか、少々分かりかねますが、まずはこちらのコーリーがですね……」


 そういって、リンドさんに目配せされて前に出てきたコーリーさんの突き出した腕には


「赤いですね」

「えぇ、そうなんです」


 それは鮮やかな赤色に明るい茶色のラインが入った腕輪があった。

 僕のイメージカラーが赤なの?

 なんで赤……?


 チラッと見上げてみれば、切れ長の瞳を彷徨わせたコーリーさんが、申し訳なさそうに頭を下げた。


「申し訳ありんせん。ご主人様が、その……焼いたとか、言うており申しましたので、思いを馳せておりましたら、熟れたリンゴの色に」

「という事らしくてですね、坊っちゃまの色として相応しくない場合は、金貨一枚で付け替えも行っておりますが、如何しましょうか?」

「付け替えも出来るんだ」


 なんかそれはほんとにアクセサリーみたいな感じがするね。


「えぇ。もちろん、変わらない場合もありますし、これからのコーリーとの付き合いでも多少の変化は見込めますが、かなり鮮やかな色合いなので、おそらくあまり変化はしないのではと思っております」


 しゅんとした華やかな美女という感じのコーリーさんだけど、どうなんだろう、奴隷紋になるくらいだから、リンゴがとても好きなのかな。


「僕は似合ってると思うし大丈夫なんですけど、コーリーさんは嫌?」

「似合うておりますか? ……それでしたら、このままでよろしゅう頼みます」

「うん、よろしくね」


 ほっとした感じで柔らかく笑ったコーリーさんはあれだ、着物とか似合いそうだよね。はんなりーみたいな。

 花魁さんにしてみたい。


「では、次にカノンですが、こちらは黒ですが、坊っちゃまの髪色ですので、問題ないかと思われますが、どうでしょうか?」


 なんで髪色と同じだと問題なさそうなのかと思ったけど、誰の奴隷か分かりやすいからかな。

 でも、それだと金髪の人は金色の腕輪になるの?

 まだ見た事ないけど、桃色の髪の人いたら、腕輪も桃色とか、似合わない人いっぱいになりそうなんだけど、大丈夫なのかな。

 僕が心配することじゃないか。


「大丈夫です。と言うか、禍々しい色! みたいなのじゃなければ本人が嫌でないなら問題ないです」


 カノンさんの腕輪も黒だけど、なんかツヤツヤしてるし、紋様は何故か銀色だしで綺麗だよね。


「では、こちらも……大丈夫でしょうか?」


 そういって、すっごい恥ずかしそうなエニュハさんの手を持ってリンドさんがお伺いをしてく……


「なんで!?」

「すみませんすみません!」

「先程からこの様な感じでして」


 キラッキラした感じのプラチナ的な?

 どう見ても奴隷紋には見えない高級感溢れる腕輪があった。


 神々しい感じの清冽な煌めく白に、透き通る青の紋で、アクセサリーと言うか、宝飾品。ニュアンス的に。

 これを見て誰が奴隷紋だと思うんだろうか?


 小説とかだったら、悪い貴族に「貴様の様な下賎な輩がこんなものを持ってるはずがない! どこで盗んできたものだ!」とか言われてもおかしくなさそうな感じがする。

 もちろん、あれだよ、実はお姫様のパターン。


「ちょ、ちょーっとまってね?」


 どうしよう?

 そう思って振り返れば、何故かドヤ顔のメノさんが。


 ダメだ。

 何も問題ないのでは?

 とか言いそう。


 ボラさんは目を逸らしてるけど、あれは絶対に笑うのを堪えてるよね。

 ペリオンさんだけが頼りだよ!


 沈痛そうな顔でふるふると首を振っていた。


 どっち!?


 ダメなの? それとも止められないってこと?

 あぁもう……。


「チェンジで」

「かしこまりました」


 背後の無念そうな気配を無視してリンドさんにお願いした。


 さすがにキラキラ腕輪とか、関係ないところでトラブルになりそうなのはダメだと思うんだよね。


 何でかしょんぼりしてたエニュハさんの新しい奴隷紋はしっとりした感じの白いものになった。

 だからなんで白なのさ。



 そんなこんなで、カバン一つを持った三人を加えて、女の子を六人も連れた僕、という意味のわからないパーティは奴隷商館を出た。

 帰りは大した事ない距離だったけど、馬車が用意されてて、それに乗って帰った。



奴隷をゲットするだけでどんだけ時間(文字)かかるんだ!

って感じですが、ようやく御屋敷に戻りまして、時計の針を回します。


後、後日になりますが、奴隷の顔見せで一人足りない点を問題ない様に修正します。

ミファナに気を取られすぎて人数おかしいのに気づきませんでした!


カノンの他に三人で二人減って二人追加したらその時点で四人じゃん(爆)

連れてく一人を減らさないと……

(顔見せに一人増やす方がめんどくさい)

全部ミファナのせいにしようと思いますw

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