お正月すぺしゃる 姫はじめ(誤)
あけましておめでとうございます!
予約なのでなんか、変な感じですが、
以下注意事項になります!
本編とは無関係です
キャラが概ね欲望に素直になります。
三人称視点で、メタなツッコミが入る場合があります。
視点のない新キャラ二人はキャラが定まってない為、危険回避の為に出演しません。
話し方が特徴的なキャラが他の作品に比べて少ない為、誰が言ってるのか分からない可能性があります!
酔っ払いなのでゴチャついてる!
とゆーていでお願いします!
テリア(私)、メノ(わたくし)、ペリオン(私)、イシュカ(私)、アイリス(あたくし)辺りが分かりにくいよね!
わたくし、あたくし、がセリフに入らない時に作者とのシンクロ率が要求されます!
以上をご理解頂いた上で、
お楽しみくださいm(_ _)m
「メノ、もっかい言ってくれる?」
テリアは、そう言ってメノを問い詰めた。
リュリュも、戸惑いを隠せない様子で首を傾げ、ペリオンはまたこのパターンかと項垂れた。
「ですから、ユウト様の世界には、姫はじめなる催しがある様なのです」
姫はじめ
それは、恋人や夫婦が、年の初めに致す事を指す言葉であるが、当然、エランシア王国において認知されるものではない。
よって、必然としてねじれる。
「姫はじめって、そもそもユウト様のとこには貴族制度なんてないんでしょ? なんか、勘違いしてるんじゃない?」
怪しいというテリアは枕を抱きながら、アイリスにどう思うかを尋ねる。
「そうですね、確かに変だと思いますが、確か王族の様なものは居たと聞いた気がします。天皇? でしたか?」
アイリスもひとかどの貴族として、記憶力はいい。
そうでないとやっていけない。
貴族の必須スキルとも言えるのかもしれない。
尤も、必須スキルを持たないおバカもいるのだが、それはさておき。
「ですけど、そう言えばそんな方々も居たなーくらいのニュアンスだったと思いますから、一般的に知られている催事ではないのかもしれませんよー?」
そうであって欲しいと切に願うペリオンも必死だ。
またお姫様などと勘違いをされても堪らない。
「皆様、おつまみをお持ちしまして」
そこにワゴンを押してカノンがやってきた。
ここは2階にあるバーだ。
今夜は飲むぞー!
と、方々を巻き込んで年越しを祝う為に集まった。
辺りには、毛布やクッションがこれでもかと集められていて、もはや埋もれるようにしてみんなでごろごろしている。
「カノーン、ごめんねぇ? 一人でさせて」
「料理は好きですから」
「カノンも、こっち来る」
「いえ、わてしは……」
「イシュカ、確保です」
「かしこまりました、お嬢様」
手をわたわたと振って固辞しようとするも、風のように背中に回り込んだイシュカによってポーンとクッションの海に投げ出されたカノンは、抵抗する間もなく群がってきた先輩からのパワハラによってひん剥かれて逃げ場を失った。
「なに……このムッチリ」
「エロい……」
「てーせ、わてしは、ふてってますよ、しってます!」
仕方なく毛布を被って逆らえない先輩方にせめてもの抵抗をしつつブー垂れるカノンだが、みんなの視線は、厳しい。
「いや、太ってはいないよね?」
「カノンさんの体型は、その、肉感的? でしょうか」
「セクシー」
料理マニアで、戦力外だと信じていた女達に戦慄が走った。
「皆様、話が逸れております。あたくしが思うに、やはり姫はじめは、姫とつくくらいですから、年初めに綺麗どころを揃えて何かするのではないですか?」
ふむ、と少し考えて、確かにありそうだと確認し合う。
世の男共は、綺麗だったり可愛かったりする女の子に囲まれるのが好きなのだから、そんな事があれば、それはもう鼻の下を伸ばして楽しむに決まってるだろうと。
「しかし、お嬢様、仮にも姫と呼ばわってそのような如何わしい事を指す催し物を、ユウト殿が知っておられるでしょうか?」
「ユウト様は、頭いいから」
「リュリュさん、頭が良くても10歳ですよ?」
「でも……」
「それに、もしそうだとしたら、あなた方が手を出されていないのはおかしいと、言わざるを得ません」
「それは、おかしい」
「でも、ユウト様、まだ子供だったし」
「「「ふぅん……」」」
「ねえ、まって? アイリス様とかはいいけど、メノとリュリュは同罪だよね?」
アイリスのどういう事なのか? という氷のような視線に二人がぶんぶんと首を振る。
「アイリス様、わたくしとリュリュは、冤罪です」
「発情して手を出そうとしたのはテリアだけ」
引っ越し当日に全部見たなどという地雷は踏まないのだ。
「アイリス様、明日はみんなでお風呂に入りませんか?」
「みんなで、ですか?」
「はい、みんなで。ユウト様のお風呂は広いですし、さすがに手狭になりますけど、一緒に入れると思いますし」
「悪くありませんね」
テリアは頭の中で謝罪した。
私も自分の身が可愛いです、と。
「まぁ、無理矢理襲うのでなければ、構わないでしょう。男冥利に尽きると言うものです」
「イシュカ様、さっきと言ってる事が違いませんか……?」
「ペリオン、何を言っているのですか、女が子供でも女なら、男子もそうだと言うだけの事です。それに、ペリオンだって、ユウト殿が勇ましい顔つきになると、普段とのギャップで、ここが疼くでしょう?」
そういっておなかをついっと撫でると、艶然と笑った。
最年長ながらも、エルフの特性によって若々しさを保つイシュカの食っちゃってもいーんだぜ、合意なら。
という爆弾発言で、にわかに戦況が変化した事を察知して抜け駆けは許さない、と牽制していた女達は、その色気に「一番ヤバイのはこのエロフなんじゃ……」と思った。
「姫はじめは、もういいのですか? 皆様」
ともあれ、場が膠着したのが分かったカノンは早く話を終わらせて部屋に帰りたいと、軌道修正にかかった。
「姫だと言うならやはり気飾れば良いでしょうか?」
「そうすると、はじめ、って言葉が分かんないよね」
「メノ、他に何か手がかりは?」
待ってくださいと、手を挙げて押しとどめたメノが、目を瞑りユウトの世界の事を見た記憶をあさる。
この前、許可を得てユウトの世界の事を見させてもらったのだ。
その際、接触が必要だと言い張ってこれでもかとくっついたのは、役得……ではなく、仕様なので仕方がない。
べつに何が見たいってわけでもなかったから、見なくても良かったなんて事もない。
「……冷やし中華はじめました」
「なんですか、その冷やし中華、とは」
「おそらく、食べ物? でしょうか」
「それと姫はじめとの関連はある?」
「いえ、分かりかねます」
「それでは役に立ちませんね……」
なんだか知らないが、姫はじめと関係ないなら、話を戻さなくては……と、残念に思いつつ姫とはじめがどう繋がるのか。
そう考えようとしたところで、メノがくわっと目を開いた。
「皆様! 姫はじめは、年明けの催事ですが、その時、ユウト様の世界でも寒い時期なのです」
「そりゃ、まぁ、ゆっくりするには雪籠もりの時期がいいし、何も変なとこはないと思うけど……」
「冷やし中華は、暑い時期の食べ物だと思われます。麺類でしたね」
「……つまり、メノはこう言いたいのですね? 冷やし中華と姫はじめは対極に位置する催事だと」
「となれば、姫はじめも食べ物の暗喩と言う事ですか?」
「その可能性が高いのではと思います」
高くありません。
「待ちなさい」
アイリスが、食べ物になろうとする姫はじめに待ったをかけた。
「麺類だと分かったというなら、メノには冷やし中華なるものが見えた、そうですね?」
「はい、その通りです。色鮮やかな盛り付けがされておりました」
「しかし、姫はじめは分からなかった」
「その通りです。申し訳ありません」
「お嬢様、もったいぶらずに教えて下さい。ならば姫はじめはなんだと言うのですか」
「女体盛り」
ざわり、と、室内に戦慄が走った。
「確かにそれなら、ユウト君が知らないのも分かるね……」
「ユウト様にはまだ早い」
「料理への冒涜は許されませんけど」
「芸術ですから、ある意味」
「芸術って、結構便利な言い訳だよね」
「テリア何か含みでも?」
「ないけど、誰に盛るの?」
ピタリと、動きが止まった。
───誰に盛るのか───
そこにスっと手を挙げてリュリュが口火を切った。
「白磁という食器がある。白い肌の事、私が適任」
「待ちなさい。姫はじめですよ? それなら、ユウトさんに姫と言われたあたくしの方が適任ではなくて?」
「姫ってだけなら、ペリオンさんでもいいと思いまーす。それにアイリス様はお貴族様ですから、裸にしてお料理盛るとかちょっとダメだと思いまーす」
「料理を遊びにするのは良くないです」
「器には温かみが必要ではないですか? その点、木の器というのは、とても良いものだと思うのです」
「メノは盛りにくいでしょ」
「テリアは盛りやすそうですね」
「じゃあ、私で良くない?」
「それなりに女だと分からないといけないというのであれば、自然の温かみも出せるエルフなど、どうでしょうか?」
「ユウト君は10歳ですからね?」
「ペリオン、言いたい事があるならハッキリ仰いなさい」
「ババアは引っ込めと、言ってた」
「言ってませんからね!?」
「そもそも人とは時の流れが違うので、エルフとして見れば若輩ですから、ババアなど、見当違い甚だしいですね」
喧々諤々、どうにも譲らない自己アピールにこれでは収拾がつかないと思ったアイリスが、自薦禁止を言い渡した事で他薦オンリーになった。
他薦、とは、自分のいいと思う人を薦める事を指すので、これならば、血も涙もない言葉の応酬もなくなるだろうと、思ったのだ。
それに、仮にも貴族の自分が不利になるとは思えなかった。
ナチュラルに自分の有利な空間を作り出すのも嗜み。
邪魔に思う事もあった美貌ではあるがプラス要因である事も確か、他薦になればどうとでもなる。
そう思っていた。
誰のどこがダメか論争になるとは思わなかった。
が
「ウルッせぇぞ!! 楽しく飲めねぇ酒なら飲むな!」
そうそうに高い酒を飲みまくって寝ていたボラが起きた。
絶対に朝まで起きないと思っていた蛮族の帰還にみんなの熱が一気に引いた。
何ケンカしてんだと睨みつける、酒の入った蛮族に逆らえるものはおらず、矢面に立ったペリオンが事の次第を話すと、
「じゃあ、誰がいいかを紙に書け、そんで恨みっこ無し」
アイリスは渋々了承した、内心では勝ったと思いつつ。
酔ったボラに抗する意味もないわけだし。
ペリオンは、これなら大丈夫と思いつつ、安牌はどこかと探し始めた。
アイリスに投じるのが手っ取り早いが、たまには痛い目をみてもいいんじゃないかとも思う。
メイド達は、お互いを選択する事は無いだろうと見切っていた。
イシュカは、どうなれば面白いかと考えていた。
カノンは関係ありませんと投票を固辞。
ボラは、自分が選べないんじゃ意味が無いと辞退。
六人の票は、比較的すぐに揃った。
「では、開票と参りましょうか」
裏返した紙に手を乗せて、周りを見渡しながら、アイリスが、問題ない事を確認。
「「「いっせーの……せっ!!」」」
ピエレ
ピエレ様
聖女
聖女様
聖女様
聖女殿
「「「………………」」」
痛々しい沈黙の中、ペリオンがポツリと呟いた。
「姫はじめなのに、どなたもマナリス殿下に入れなかったんですね……」
あのメンヘラっぷりを見た私には無理でしたが……
そう言って口を閉ざしたみんなにボラがトドメを刺す。
「お前ら、馬鹿だろう? いない奴に投票するとか」
どーすんだぁ?
と、ニヤニヤしながら、ボラは高みの見物おもしれーと新たな酒瓶を開封しながら嗤う。
「ま、まぁ、この結果は残念なものでした。この場にいながら選択肢に入らなかった人もいますけどね」
「自分は美人だから勝ったとか思ってた腹黒もいるけどなぁ」
「……なんの事かわかりませんね」
「アイリスがそんな事を考えてなければ分からないだろうなぁ」
「当然です」
しかし、これでまたやり直しが決まったとも言える。
「聖女様じゃ、てめなんですか?」
「カノンは知らないと思うけどね、あの聖女様は、変態なんだよね」
「ユウト様にメスブタとして飼われたいそうですよ」
「普通に引く」
「じゃあ何で、聖女様に……」
それ以上は言うな、とイシュカに口を押さえられた。
「でもこれ、どうなっても結局のところ、勝った人以外誰も納得しないんですよね、多分」
ぐうの音も出ない正論だった。
だから、ノーカンになると分かってても聖女に投じたのだ。
そして、話は誰に盛るのか? から、そもそも姫はじめをやるのか? という後退っぷりを発揮した。
どうせ、一人勝ちの未来しかないのならば、公平さのために勝負も無かったことにしてしまえば……
いいんじゃないだろうか?
誰もが勝ち組になれないくらいなら等しく負けを選べば、ユウトにも迷惑かけないわけだし。
女体盛りを決行した挙句としてぎくしゃくしていれば、ユウトに要らぬ負担を強いる事になる。
それくらいなら、止めておこう。
酒が入っているにも関わらず、ユウトの事となれば、ブレーキが仕事をする。
悪いことではない。
ブレーキを踏むと分かってるから、アクセルも踏み込めるところもあるが、悪いことでは、ない。
「もう、いっそ、ユウトに盛ればいんじゃね?」
この日最大の爆弾が投げ込まれた。
女体盛りの根底は覆ったが、誰もがウィンウィンになれる、そんな発想の転換だった。
ユウトの裸身を余すところなく見てしまうが、致す以上、早いか遅いかの違いでしかない。
この時、みんなの脳裏にはそれぞれの妄想逞しいラブな展開が繰り広げられていた。
当然、妄想なので、二人きり。
ブレーキを踏むつもりはあったのに、ブレーキは先程の革命で取り払われた。
「姫はじめとは、少々趣きが違ってしまうかもしれませんが、詳しい事を知りませんし、致し方ないですよね」
正解を誰も知らないんだから、少しくらいは誤差と切って捨てた。
「食べ物である点は合っておりますし」
食べ物じゃないけど、指摘出来る人がいないので誰もが頷く。
「エランシア王国版って事にすればいいよね」
元祖にこだわる必要もない。
「過程は重要じゃない、結果」
前後が入れ替わるだけの些細な問題。
「先にお風呂を頂きたいですね」
何も器だけが綺麗であればいい訳では無い。確かに。
「祝いを分かち合えることは幸せな事ですね」
その幸せ家族計画にユウトの意思は欠片も入っていないが。
一人、酒の入っていないカノンだけが、コイツら正気か!? と、ドン引きしていたが、奴隷なので、口を固く閉ざした。
そして、この場で部屋に戻ろうとすれば、見つかって引き込まれるだろうとクッションの海に潜った。
翌日
酔いがすっかり醒めた女達は、ユウトにどう頼めばいいのか? という絶壁に気付いて泣いた。
やけくそで着飾ってみたらユウトが喜んでたのだが
「うわぁ、みんな綺麗だね! みんなお姫様みたいだよ!」
悪意なしの賛辞に半笑いしか浮かばなかったという。
改めまして、あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いしますm(_ _)m
何となく着地点はそんなにズレてなかった!
肉食になると求めるところはズレようがないんですね、分かりますw
後、本編には関係ないのですが……
な い の で す が ! !
テリアの貧乳に続き、カノンがムッチリになったのはコレを書いてる最中です。
ごめんね、カノン……ムッチリと幸せは関係ないから幸せになるんだよ……?