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奴隷というもの

5000ユニーク行きましたー*(^o^)/*

読んで下さってる皆様にありがとうっ!


2019年の投稿は、こちらでラストになります。

スタートして3ヶ月程、中ではまだ1週間も経ってないとゆースローもいいとこの展開にお付き合い下さりまして感謝しかありません。

来年もまたよろしくお願いします(^^)

 

「雇うって奴隷の事だったの!?」


 今更な事だったけど、雇うっていうから、てっきりバイトの募集みたいなものだと思ってたら全然違った。

 奴隷なら、雇う、じゃなくて、むしろ、買う、じゃん……。


 何か変ですか?


 みたいなキョトンとした顔してるみんなに、僕が思う奴隷がどんなものかを教えてあげる。

 ガレー船に詰め込まれての重労働とか、鉱山で鎖付きとか、およそ人として扱われてない感じが奴隷なんだよね。


「それは、犯罪奴隷ですね、奴隷がそのような認識だとは及ばず申し訳ありません。一般的な奴隷というのは、身分の定かではない奉公人を指すのです」


 奴隷にも、いくつか区分けがあるみたいで、僕の思ってた奴隷は犯罪奴隷という奴隷の中でも扱いの悪い人達の事になるらしい。

 罪の重さがお金になって、その金額を稼ぐまでが罰になるんだとか。

 もちろん、それじゃ済まなくて死刑になる場合もあるけど、その場合は、見せしめの為に惨たらしくするみたいで、公開処刑などを好奇心で覗いたりしない様に言われた。

 見ないよ!


 で、それとは別に普通? の奴隷というものがあって、こっちが僕が用がある方になる。

 小さな村で食い扶持が賄えない時に売られる人や、何かで首が回らなくなった人の家族とかがこれにあたる。

 借金した人とかは、この中間くらいの扱いみたい。


 で、この普通の奴隷の人達は、お仕事をこなして、自分の分を稼いだら解放されるんだそう。

 犯罪奴隷であっても、自分の罪の金額稼いで、更に自分を買い戻せば解放されるので、酷くない犯罪をした人でやり直したい人が頑張る事も少なくないそうだ。


 奴隷商というのは、こういった人達を集めて職業訓練をさせて人材の売り買いをする人達で、公認されてる奴隷商は、真っ当な商売なのだ。

 公認されてるって言葉があるって事はそうじゃないのもあるって事だから、そっちは怖そう。


「じゃあ、奴隷が、ムチでビシバシされたりとかはないの?」

「いえ、ありますよ?」

「あるんだ……」

「言うことを聞かない奴隷など意味がありませんからね。それでも必要な場合に限られます。元貴族などは立場を理解していない場合が多いのでよく叩かれるそうですが、努力している奴隷であればそんな事はまずありませんので大丈夫ですよ」

「そうなんだ……」


 まぁでも、思ったよりも健全? な感じで良かった。

 住み込みのバイトさんを雇う様なものって事だよね。


「解放される奴隷も両者の合意があればそのまま雇用に移ったりしますから、良い関係を築ける様にしましょうね」

「うん、それはもちろん」


 元々酷い扱いになんてするつもりはないけど、奴隷って言葉の響きで偏見は持たないようにしないとね。


「但し、普通に働き手を雇うのとでは、やはり扱いに差がありますので、ご注意ください」


 普通に働く、と言うのは、ここではコネって事になる。

 信用が置ける前提で雇う形になる。

 知り合いを預かったり、知り合いの紹介だったり、そういう人。


 身分の保証がない奴隷達は、それゆえにいくつかの制約の魔法が掛けられている。


 雇い主に危害を加えないとか、逃げ出さないとか、そういったいくつもの魔法の枷。

 ここらへんは、雇う側で増やしたり減らしたりも出来るから、関係が良好であれば緩くしてもいいらしいけど、あくまで奴隷なので、あまり良いことでは無いみたい。


「今回は、庭師と料理人を二名の三名ほど雇えればと考えております。予算は金貨で150くらいですね」

「一人につき50枚くらいってこと?」

「はい、余裕を見た金額ですから、超えることはないと思いますが、多少足が出ても構いません」

「えっと、一応だけど、普通はどのくらい?」

「種族や、持っている技能などでも変わりますが、料理人という事であれば、30枚程度で問題ないくらいですね、わたくし達はもう少し高めが良いと言ってありますから、ユウト様のご希望された少し若めの才能を買うと言うことでしたら、何か多才な方が紹介されるかもしれませんね」

「30枚って……僕達の服が全部で850枚じゃなかったっけ? 人を雇うにしては安くない?」


 なんか僕の金銭感覚が変なのかな?

 いやでも、服が人数多いとはいえ850枚で人が30枚って、どうなんだろう?

 僕用の服が安いわけないから、100枚で収まってるとは思えないし、下手したら200枚とかいっててもおかしくないのに、三人分で150枚って、どう考えても安い。


「奴隷身分の方は賃金が安いのですよ。その代わりに雇い主は衣食住の保証をしなければなりませんし、人頭税などもこちら持ちです。つまり、後でお金がかかるのです。それに優秀な奴隷には高値がつけられますし、安い奴隷であれば、使い捨てられる事も珍しくありません。そして、いつかは解放されてしまいますから、あまり高くても困るのです」

「それだと、奴隷商の人は儲からなくない?」

「下手すると人を右から左に流すだけでお金が貰えるのですよ、割が悪い訳ありません」

「そーゆー見方もあるんだね」

「奴隷としても奴隷商にいる間は更に低い賃金で働かねばなりませんから、雇われた方が良いですし」


 それだと、奴隷商は奴隷で商売出来そうだけど、そういう事は出来ない様な法律もあるみたい。

 そこらへんは大人の世界なので、僕には関係ない。


「失礼します。遅くなりまして申し訳ありません。連れてきた者たちを通して大丈夫でしょうか?」

「問題ありません。お願いします」


 戻ってきたリンドさんは恐縮そうに頭を下げてから入ってくると、鈴をチリンと鳴らす。

 そうすると、入ってきたところと反対に奥の方のドアが開いて、四人の女の人が入ってきた。

 そして、一列に並んで立つとぺこりと頭を下げた。


 僕から見て、右から一人目が、狐っぽい耳を生やした明るい茶髪したお姉さん。なんかとても不安そうにしてる。

 僕が見てるのに気付いて少しほっとしてた?

 二人目、こちらも負けず劣らず不安そうな茶髪おさげしたお姉さん。僕が見てる事に気づいてないっぽい。

 三人目、不安というより居心地悪そうな女の子。青の髪のショートカットで、僕と目が合うとなんかビックリしてた。

 四人目、お澄まししてる感じの黄色髪のお姉さん。僕と目が合うとパチンとウィンクしてきた。


「順番に軽く紹介しておきます。こちらから……

 コーリー18歳、狐の獣人です。庭師の折に紹介しようとしていた娘ですが、今回の御要望にも添いますので、お連れしました。

 次に、カノン20歳、当店で用意出来る奴隷の中で一番多芸な娘です。

 次が、エニュハ12歳、人魚の血が少し入っています。入って日が浅いですが、料理を熱心に勉強しています。

 最後に、ミファナ19歳、今、連れてきた者たちの中で一番料理の腕が立つ娘です」


 それぞれに頭をまた下げてくれる女の人達に僕も頭を下げようとしたけど、メノさんが、小声で頭を下げない様に言ってくれたので、軽く目を合わせるだけにしておいた。

 なんか、僕みたいな子供相手で軽く見られちゃったかな。

 アレかな、主人と奴隷で主人が下手に出たらダメ、とか?


「先に何か質問されますか? 後になさいますか?」


 メノさんがどうしますか? と聞いてきたので、少し気になることがあって質問させてもらうことにした。


「じゃあ、えっと、エニュハさん? 最初に僕と目が合った時に驚いてたみたいだけど、僕に何かありましたか?」

「も、申し訳ありません!」

「あ、怒ったりしてるわけじゃないんだ。なんでかなって少し気になったから、聞いてみようかって思っただけ。僕に言いたくないなら答えなくていいよ?」

「その、ご主人様がわたしより若いとは思ってなくて、ビックリしました。それだけ、です」

「そっか、ごめんね? 変なこと聞いちゃって」

「いえ、わたしこそ、失礼な事してごめんなさい」


 頭を下げさせちゃってごめんね。

 でも、やっぱりだ。


 コーリーさんがあからさまにほっとしたね。

 カノンさんはようやく僕に気付いてビックリ。

 で、ミファナさんは……悦んでた。

 この人は、愛想いいのは、表面だけだ。

 エニュハさんがペコペコと謝罪してるのを見て見下してるのがよく分かるよ。

 私はこんなヘマしない。

 とか、思ってるんだよね。


「リンドさん、すみませんでした。もう質問はないです」

「かしこまりました。では、先程の順に自己紹介をさせます。その後にこちらで補足と提示する金額をお伝えさせて貰います。質問はそれぞれその後にお願いします」

「分かりました」


 リンドさんに促されたコーリーさんが一歩前に出て、僕を見て話し始めた。


「初めまして、コーリーと申します。ご紹介にありんしたが狐人で御座います。料理はまだ不得手ですんで、庭師でのご用命でお役に立ちとう御座います。後、草花や野菜の栽培も出来んす。読み書きは簡単なもんまでです」

「コーリーは40枚ですね。本人は引っ込み思案なタチなので、少し高く見えたかもしれませんが、小器用に色々と手慰みをしておりますので、裁縫なども出来ます。また獣人としては狐人は身体能力が低めですが、その代わりに魔法の才が多少良いです」


「コーリーさんは、僕みたいな子供がご主人様でも大丈夫ですか?」

「はい、問題ありんせん。前に出されたところでは、よく怒鳴られてましたんで、お優しそうで、わちしでお役に立てるなら精一杯働きとう御座います」

「当家に来て頂いた場合、これは他の皆様もですが、解放後にもかかる守秘義務の為の制約を受けて頂きますが、コーリーは問題ありませんか?」

「それは、もう他にもありんす。構いんせん」


 あれ?

(ねえ? コーリーさん、前にも奴隷で雇われたのにまだ奴隷なの? 解放されるんじゃないの?)

(半月の試用期間で戻されたのでしょう。その場合は、商館に戻りますので)

(そうなんだ。庭師で大丈夫だよね?)

(はい)


 内緒話で少し不安そうにしてるけど、リンドさんに目配せして次に進んでもらう。


「はじめまして、カノンです。料理はひ()()おりできます。他にも、せん()く、そうじ、さいほう、読み書き、せいか()魔法、()いじゅつ、楽器のえんそう、栽培も、他にも、色々、でき、ます……後、制約も()いじょうぶ、です……」


 すっごいカミカミだ!

 本人は当然しょんぼりしてるけど、コーリーさんの耳と尻尾もへんにょりしてるし、何でかエニュハさんも泣きそう。

 ミファナさんは……ニコニコしたままなんだね。


 ボラさんは堪えきれずになんかぷッとか吹いてるし!

 カノンさんは必死なんだからそーゆーの良くないよ。


「こほん、カノンは……100枚です。本人からいくつも挙げられておりますが、本当に多才なのです。大抵の事は頼めると思います。そのおかげで、高値になっておりますが、料理人としてはもちろん、どこでも通用する能力の持ち主と言えます。しゃべりに難があるのは愛嬌、でしょうか? 奴隷身分なので、こちらで囲えないのが惜しい人材ですね。後、以前に知らぬ間に犯罪の片棒を担いでおりますが、本人は預かり知らぬところでしていた事と、すでに罪の精算は終えております」


「ちなみにどの様な犯罪をされたのか聞いても?」

「……麻薬の製造、です」

「重罪ではありませんか……」

「驚かれると思いますが、カノンは、料理をしていると思わされておりました。真偽の魔法も使っておりますのでそこは間違いありません。ここに来てからの彼女は勤勉そのものです」


 これは、犯罪者の家族と同じだ。

 僕も、似たような扱いを受けたけど、正確な情報が得ようと思えば得られる向こうと違って、こっちでは噂の方が強そうだし、カノンさんも自分が悪いと思ってるみたいだ。

 つまり、周りの目は絶対に良くならない。


「坊っちゃまは、何かご質問されますか?」

「……カノンさんは、騙されたと思ってる?」

「わ()しが、重い罪を侵し()事は変わりません」

「そう……」

「でも、料理がし()い、です」


 そう微かに、大事な宝物に触れるような声には、それだけじゃない、何か必死さが、あった。

 壊れそうなガラス細工に触れたいのに握りしめて壊してしまいそうな、そんな危うい気配。


 リンドさんに次をお願いする。


「エニュハ、12歳です。よろしくお願いします。なんで、わたしが呼ばれたのかわかりませんし、お料理もまだ下手くそです。でも、カノンお姉ちゃんに教わって、お料理するのが楽しいので、お仕事で出来たら嬉しいです。他の事はあんまり出来ません」

「エニュハは35枚ですね。海で生活していたので料理など今まで大してした事がなかったのですよ。また、他の事も知らない事が多いので、ご迷惑をおかけするかもしれません。しかし、この子はアフォス神の聖痕を授かってます。大事にして頂ければきっとお役に立ちます」


 えぇ? 聖痕あるのに、奴隷になってるの?

 メノさんも少し戸惑ってるみたい。


「えっと……失礼ですが、聖痕を授かっているのに奴隷になられたのですか?」

「わたしがいるとみんながダメになるってアフォス様が……」

「それでも、奴隷になる必要はなかったのではないですか?」

それ、は……(言わせないで)

「メノさん、ストップ! エニュハさんもいい。そこは聞かないから、言わないでいーよ」

「え……? で、でも、その……」

「あー、分かった……言うな。エニュハさん、いーよね?」


 こくこくと頷くエニュハさんに、何か酷く安堵した感じが広がったのが分かった。

 多分、何か逆らっちゃいけない制約とかあるんだろうな。

 あんまり、強制はしたくない。

 ここで聞くのは好奇心を満たすためじゃない。

 必要かどうかだよね。


 奴隷になった理由は犯罪でもないなら要らない。


「(宜しいのですか?)」

「(多分、聞いたらダメな気がする。聞こうとしたら、なんか背中と頭がチリチリした気がするんだ。多分、僕の聖痕だと思う)」

「(……分かりました)」

「(後、少し高くなるけど、この三人にするから)」

「(あぁ、あのミファナはわたくしも要りませんので問題ありません。お値段も少し高いですが、カノンに期待しましょう)」


 と、言うことで、聞く必要はもう無いんだけど、多分、聞かないと納得しないだろうから、一応ね。


「初めましてご主人様、アタシはミファナと言います。料理人をお探しとの事で、宮廷に出しても恥ずかしくない料理を作れるアタシをどうぞお選び下さい。ここに呼ばれた他の娘よりも必ず満足出来る料理を作ってみせます!」

「ミファナは、70枚ですね。料理の腕ならば、ここの誰よりも高く、商館においても抜きん出た才能を持っています。またそれでいて日々研究を重ねる努力家でもあります」


 リンドさんの賛辞に鼻高々といった感じ。

 確かに腕はいいんだろうね。

 料理しか見ないならこの人もすごい人なんだろう。


「ミファナさんは──」

「ミファナ、とお呼びください、ご主人様」

「──じゃあ、ミファナは、お菓子とかも作れるの?」

「当然です。例え知らない料理でもレシピさえあれば必ず再現出来る自信がありますし、アレンジもお手の物です!」


 そこのと違って!

 とか、副音声が聞こえてきそう。


「それは凄いね。ちなみに、肉とか、魚とか、野菜とか焼いただけのものってどう思うかな?」

「? それは……何かの比喩ですか?」

「うぅん、そのまま。ただ焼いただけのは料理になると思う?」

「有り得ません。料理とは、料理人が手を振るうから料理になるんです。それ以外は料理ではありません」


 焼きリンゴとか、美味しいんだけどなぁ。

 この人は自信があるんだろう。

 努力もしてるんだろう。

 でも、わざわざ聞いた、焼いただけのものが料理になるのか?

 それを考えもせずに切るのは頭が固いよね。

 僕はそういう人は必要ない。楽しくないから。


 エニュハさんは少し首を傾げてたけど、コーリーさんは、なんか涎出そうだったから何か好きな物があるんだろうし、カノンさんは、何かを考えてた。


「リンドさん、ミファナさんを返して他の三人を残して下さい」

「はい、かしこまりました」

「何故ですか!? アタシの方が凄いんですよ!?」


 分かってたみたいに静かに返事をしたリンドさん、三人も、特にカノンさんが驚いてるけど、僕のオーダーに添えるのは、少なくともミファナさんじゃない。


 コーリーさんは、庭師メインだし、料理は不得手って言ってたけど、野菜作ったり出来るんだから、大丈夫。それに何を焼いたのが美味しいと思ったのかな。そういうのは、分かるんなら味付けが苦手なだけかもしれないね。


 カノンさんは、まぁ高いけど、色んな事を知ってるなら、勉強が好きなら、色んな事を覚えてくれるよね。分からないって言わずに焼くだけで料理になるのか、考えてくれた。


 エニュハさんは、楽しんでるんだから、出来るようになるよね。それに焼いただけのは、魚以外でだよね、きっと。だから変な感じしてたんだろうね。


「ミファナは、なんで僕がキミを選ぶと思ったの?」


 そこが分からない。

 だって、僕が条件にしたのは、完璧な料理が作れる人じゃない。

 一緒にワイワイ料理作ったりできる人だ。


「リンドさん?」

「だから、条件が違うと言ったろうに。馬鹿な事だ」

「こんな、未熟な出来損ないよりもアタシが劣ってるはずがありません!」

「僕が、リンドさんに求めたのは、一人で何でもできる人じゃなくて、僕と一緒に料理を楽しんでくれる人だからだよ」


 何を言ってるんだと、呆然としていたけど、リンドさんが鳴らした鈴の音で入ってきた男がミファナさんを連れ出す。


「い、今からでも遅くありません! そこのゴミではなくアタシを選んで下さい! 絶対に満足させますからっっ!」


 ドアにしがみつくように抵抗しながら喚く姿は鬼気迫るものがあるけど、僕は、みんなが守ってくれる、護ってくれる。

 だから、それは情けないけど、ちゃんと目を見て言うよ。


「僕は人の事をゴミだとか言う人と友達になれるほど大人じゃないよ、ごめんね?」


 《 ミファナ、大人しくしなさい 》


「っ! ……ぁ……」


 急に力が抜けたみたいなミファナさんをやれやれと見送って、リンドさんが肩を竦めた。


「今のは? 制約ですか?」

「はい、その通りです。見たことありませんでしたか?」

「初めてです。凄いんですね……ちょっと怖いくらい」

「それくらいでないと、特に犯罪奴隷を抑え込めませんから」

「あぁ、そうですね、うん」


 少し疲れた様な笑みを浮かべてから、申し訳ないと謝罪をしてくれた。


「絶対に無理だから諦めろと言ったのに聞かなくて……引き取り先を酷いものにすると脅したのですが、自尊心に折り合いを付けられずに引っ込みがつかなくなってしまいました。坊っちゃまには要らぬ苦労をかけました」


 そういうリンドさんにメノさんが慈母の笑みでにこりとした。


「その分は、色をつけて下さいますよね?」


「はは、今後もご贔屓下さいね。人を見る目のある方は大歓迎ですから」

「ええ、勿論です。では、150枚で宜しいですか?」

「は? いやいや、さすがに25枚は引けませんよ、勘弁して下さい。170枚では?」

「まぁ! 坊っちゃまが先程の剣幕に大層怖がってらっしゃいますのに……150枚にして下さいますよね?」

「毅然とした大変ご立派な立ち居振る舞いでしたが、私共の不手際ですからね。165枚で、何とぞ」

「先程のミファナさんでしたか? あの方、70枚でしたよね? キリよく100枚で捌けば……いえ、ここはミスリル貨でお支払い下さる方もいらっしゃいますよね。あら、あらあら……30枚もお得ですね? 150枚でも儲けが増えてしまいます、不思議ですね?」

「あー……参りました! 150枚で! ですけど、次は適正価格でお願いしますよ? ウチもあまり恨まれる商売はしたくありませんから」

「どなたも喜ぶ結果ですから、今も適正価格ですよ。そうでしょう? リンド様」

「そうですね、えぇ。次回のお取り引きもみなが笑顔の締結を致しましょう」

「もちろんです。坊っちゃまはお優しい方ですから」


 ガッチリ握手を交わした二人、怖い。

 大人、怖い。


 もうここは見ないでおこう。

 僕は立ち上がって、まだ成り行きを飲み込めない三人の元に歩いていって、手を差し出す。


「三人とも、これから宜しくね」


 僕の顔を見て、手を見て、それから慌てて手を服でゴシゴシしてから、そっと、僕の手を摘むように握ってくれた。


「……宜しく、お願い致します」

「ありが()う、ございます!」

「ご主人様、ありがとう!」


 みんな、キラキラとした笑顔で、それが、とても眩しかった。


さて、こんな感じで、今年の締めくくりになって大丈夫か少し不安ですが、来年から新しいメンツを迎えてのスタートで行ける感じは、悪くないかなぁとか、思っています(^^)


お付き合いして下さる読者様、ありがとうございました!

良いお年をー!


後、予告の姫はじめは、元旦になり次第投稿されます。

(ちゃんと書けたよ!)


では、ここらへんで、ありがとうございました!


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