お屋敷の謎はお酒と扉
すみませんm(_ _)m
年末は忙しくなるんです(言い訳)
それなのにこんな間取り考えてたら進まないことっ
「おー……」
エントランスっていうんだっけ。
玄関の扉をグッと開けば広い空間があって、煌びやかな……
「……暗いね?」
「ふふ、灯りをすぐにつけますね」
窓から入る光だけじゃ広いな、くらいしか分からなかった。
今は誰もいないんだからそうだよね。
後ろに着いてきてくれてたメノさんがさっと手を振るとそこかしこの魔道具の灯りがついて、途端に明るくなる。
そこには、ホテルもかくやといった感じの、品のいい感じな装飾が施されたエントランスがあった。
「お荷物などはわたくし共で整理しておきますので、ユウト様は屋敷の中を見て回ってて大丈夫ですよ」
「いーの?」
「もちろんです。どこまでユウト様の好奇心を満たせるかはわかりませんけれど、きっと面白いかと」
そんなことないよって声をかけてお屋敷探索に行く。
お城の部屋はそりゃ豪華だったけど、僕には気後れしてしまうところもあったし、お金は出して貰ったけど、ここは僕の家って言ってもいいんだ。
ここでは、家は基本的に買うものなんだって。
それでいらなくなったら売る。
アパートみたいな賃貸とかはほとんど無くて、家は買えないけど部屋が欲しい時は宿屋の一室を借りるそうだ。
だから、宿屋は結構多くて、目的別になってるんだって。
冒険者用とか、旅人用とか、商人用とか。
もちろん、冒険者の人達が多いところに旅人が泊まるのがダメって事も無い。
そんなわけで、ここは僕の家なわけだ。
メイドのみんなも護衛のみんなも一緒だから、合宿みたいな感じになるのかもしれないけど、いいよね、みんなで一緒に生活するのって。
そんな事を思いながら、エントランスの右手にある扉をそっと押し開くと、大きな窓が目に飛び込んできた。
結構広いなぁ、と思ったけど、多分どこも広いんだよね。
部屋の真ん中に大きな楕円のテーブルがあって、椅子が、えーと、12個。
なんか二つだけちょっと高そうなやつで、その内の一つはサイズが小さいから、きっと僕用だね。
扉を入って右の壁には棚があって何だろうと思って開けてみたらお酒だった。
ワインセラーかと思ったけどこれはワインじゃないから、お酒置き場だと思っておこう。
ボラさんが、喜びそうだね。
左の奥はキッチン。
レストランで使うみたいなここも広い空間。
料理は誰がするんだろう?
オッソさん、とか?
後は見るところもない……というか、冷蔵庫的なヤツとかは開けたらなんかダメそうだし、次は反対側かな。
エントランスに戻ると馬車に積んであった荷物がいくつか運び込まれてたんだけど、朝に持ち出した数よりなんか明らかに多い気がする。
「あ、ユウト様、お屋敷探索は順調ですかー」
「まだあっちだけだよ。キッチンとかの方」
「……じゃあ、まだまだですね?」
「うん。ところで、なんか荷物が多いみたいだけど、僕、手伝わなくても大丈夫?」
「ユウト様は、ご主人様ですからね、ドーンと構えてて下さればいいんですよー」
よいしょっと荷物を入り口辺りに置いたテリアさんが、いってらっしゃーいと手を振るのに僕も返して、気にしないことを決意してから、反対側へ。
大きな窓は向こうと同じで、ソファがどどんとローテーブルの周りに置いてある感じだから、ここはリビングルームかな。
左の壁にはなんか風景画がかけられてる。
右の方には、扉が二つ。
手近な右側の扉はキッチンで、左はワインセラーだ。
ここにはお酒が色んなところにあるんだね。
僕は飲めないんだけど。
……………………あれ?
まって。
なんで、右側の扉がキッチンなの!?
慌ててキッチンの方を開ければ、間違いなくキッチン。
見た感じは向こうのと同じに見える。
確かに広いけど、エントランスを跨いで横たわる広さじゃないんだけど、まさか二つあるの!?
キッチンの奥には扉が一つ。
勝手口だと思うんだけど、恐る恐る開けてみれば、やっぱり外で、勝手口で合ってた。
お屋敷くらいになるとキッチンも二つとかあるんだ。
凄い。
と思って勝手口を閉めようとして、なんか違和感を感じて、外をよくよく見てみると、塀が右側にあった。
左側は庭みたいな空間で、離れたところに小屋がある。
僕は、屋敷の左の部屋に入って、玄関から見たら奥の方を向いてる扉を開けたらキッチン、その外を開けたら左側に塀があるはずなんだけど、なんで右に……?
魔法か!
空間がぐんにゃりしてて謎の魔法パワーで、キッチンに行けるようになってるんだ。
と言うことは、ワインセラーも、なんか別のとこに繋がってるんじゃないかな!?
だって、ワインセラーがありそうな形にでっぱってないし。
お屋敷は、逆L字みたいな形っぽいから、ワインセラーも別のとこに繋がってないと変だもんね。
なんかワクワクしてきた!
急いでワインセラーの方もどこに繋がってるのか見たくてキッチンに戻ってリビングルームに戻ったら、最初に入ったでっかい楕円のテーブルの部屋だった。
「えぇー……?」
なんでこっちに……
向こうは一方通行なのかな?
いやでも、そうだとしたら、なんかわざわざ繋げてる意味があんまり無いような気がする。
という事は、なんかの仕掛けが扉にあるんじゃ。
戻って、扉をキッチン側から見てみる。
「あ、これだ! リビングのスイッチと、二階のスイッチ」
扉の横にあったよ。
つまり、コレを押せば行きたいところにワープ出来るって事だよね!
カチッと、リビングのスイッチを押して、それから開ければ、僕の予想通りリビングルームに繋がってる!
「なんでぇ?」
と思ったのに、また楕円テーブルの部屋。
だって、リビングのスイッチ押したんだから、リビングに出ないとおかしい。
もう一度、キッチンに戻ると、スイッチが元に戻ってる。
勝手に戻るんだ。
今度こそは大丈夫と、スイッチを見ながら、扉を開けて、スイッチが押されたままなのを確認しながら扉の先に目を向けても、やっぱり楕円の部屋。
「………………むぅー」
絶対にあのスイッチなのに!
分かったよ。
あれ
魔道具だ!
魔力流さないとダメなんだよ。
つまり、僕がまだ魔道具使えないからこのキッチンのワープは僕には使えない。
あ
テリアさんが、僕が楕円の部屋から出てきた時にどこに行ったのか聞いてきたのは、このワープのがあったからだ!
リビングからも行けるんだし、僕が魔道具使えないならどこに行っても、少なくともキッチンに入っちゃえば、楕円の部屋から出てくるのは確実だから、テリアさんには、分かんないし。
それにメノさんが面白いって言ってたのもコレだ。
という事は、キッチン以外にもスイッチがあるんだ。
多分、ワインセラーにもあるけど、ワインは別にいいや。
あそこには絶対あるし、あるの確認するだけなら、他のを探してみたい。
まず、キッチンに繋がるもう一つは二階にあるんだよね。
また楕円の部屋から出ると、今度はリリさんが居た。
「ユウト様、順調?」
「キッチンがあっちとこっちで繋がってるのは分かったよ」
「ふふ、そう。後──」
「後、二階にもあるのは分かったから、そこを探しに行ってくるね!」
「──……行ってらっしゃいませ」
よし、二階にいくぞー!
エントランスの奥の方で両脇から、ぐるっとついてる階段を上って、二階に行く。
なんでこんな階段なんだろうね?
正面から見たら丸みのあるXみたいな感じ。
真ん中くらいで踊り場みたいになってて、肖像画がある。
王様かと思ったけど、なんかもう少しワイルド?
王様も随分と、筋肉凄そうなワイルドな人だったけど、それよりもっとワイルドで、この人は、なんだろうね?
親戚、とか?
いや、親戚なら王様にしとけばいいんだし、じゃあ、前の王様とかかな。
まぁ後で聞けばいーや。
二階に上がると、エントランスを囲うように廊下があって、右側はすぐに正面に扉、右にも扉。
こっちが、リビングルームの方だよね。
正面の方が扉の装飾が細かいから、こっちが僕の部屋とかになりそう。
開けてみたら、ザ校長室みたいな、高級そうなリビングルームのより小さいソファセットと、その奥にどっしりした感じの机、壁には大きなガラス付きの棚みたいなやつ。
今はスカスカだけど、ここにもお酒が隅っこの方にある。
棚があるところにはお酒がないといけないのかな。
その隣に寝室と、後、お風呂もあるね。
右に右にって扉がついてるから、このお風呂か、校長室……はなんか、響きがおしりの辺りむずむずするから、えっと執務室、から出て、すぐ傍の扉はどっちかがワープしてるっぽい。
寝室の奥にはウォークインクローゼットもあるけど、今は開け放ってあるから、僕の服とかはこれからすぐに持ち込まれるんだろうね。
じゃあ次はと思って執務室の隣に入ったけど、こっちはそんなに広くない部屋で、ワゴンとかあるし、お茶を用意したりする為の部屋なのかな。
そしてありましたよー!
奥に扉!
この奥はどう考えてもお風呂に繋がっちゃうから、ここが、
「キッチン!」
やっぱり!
キッチンだよ!
つまり、ここが二階のスイッチの場所だね。
入っちゃうと、また楕円部屋に行っちゃうからそっと閉めて戻って、はたと気づく。
まだ二つも扉がある……
こっちは、エントランス上の廊下に繋がるのと、寝室に繋がるっぽいの。
四方に扉があるとか、普通に考えたら多分変なんだけど、ワープあるから許される構図の様な気がする。
寝室側も、廊下側も、ワープなのかな。
寝室には、こんなとこに扉あったら分かるよね?
という事はワープ扉。
ワープ扉ばっかりだね!
どこに繋がってるのかと寝室側をひょいと開けてみたら、寝室だった。
「あれ? ワープしてない」
ワープしてないなら、と寝室に入ってみれば、壁に溶け込むように扉があるのが分かった。
なんか、意味があるんだろうね。
んー……
まぁ、寝室にお茶の用意するのに、一旦廊下に出て、執務室通って寝室だとめんどくさいから、そんな感じなのかもね。見えにくい仕様なのは分からないけど。
で、本命の廊下側は、なんか廊下に出た。
エントランスのとこじゃなくて、なんか、両脇に扉がいっぱいある別の廊下。
これは、あれかな。
使用人になる人達のスペース的な。
奥の方で道が右に曲がってるね。
ここは、楕円部屋かキッチンの上の辺りになるのかな。
入ってみたいけど、ワープがあると思うと、どこに行ったか分からなくなるから、後で確認取れたらにしよう。
廊下に出て反対側へ。
壁に沿って廊下が続いてて奥で左に折れてるけど、壁際のままっぽいし、その先で更に折れてるのかも。
さっき覗いたとこは両脇に扉だったし。
で、その前に廊下に扉。
ワープはしないだろうから、これは普通の扉のはず。
開けてみれば、なんかカウンターのある殺風景な感じの部屋。
部屋の上の方にガラス窓があるから、そんなに暗くないけど、なんの部屋なんだろ。
ひょいっとカウンターの奥を覗いてみれば、棚がよーく見える。
つまりお酒ね。
この屋敷、お酒がないと死んじゃう人用の屋敷なんじゃ。
なんで、僕に譲られたのか分かんないね。
そして、カウンターの奥に扉。
お酒には、おつまみ、とか、あるよね。
でも、キッチンのスイッチは二つだけだったし、それならここの扉はどこに繋がってるんだろう。
キッチンなのが正解だと思うけど、キッチンであって欲しくないような、キッチンであってほしいような。
そーっと、開けてみるとそこは、やっぱりキッチン。
「なんでやねん」
思わず関西弁になるくらい意味がわかんない!
隠しスイッチでもあるんだろうか。
いや、隠す意味が分かんないし。
よ、よし、意味わかんないし、スイッチも分かんないけど、魔法って不思議パワーだから、魔法がなんやかんやしてキッチンなんだ。
ここは他にはないっぽいし、廊下の先にお茶の部屋に繋がる扉があるはずだから、そこを見つけに行こう。
廊下の先を曲がって、当然、右側は、窓があって、その左側には扉が二つ。
奥にも扉。きっとその先が、お茶の部屋に繋がる扉だらけゾーンに繋がる、はず。
手前の扉を開けてみると、それなりな感じの部屋?
多分、お客様用の部屋みたいな感じ。
クローゼットと、お風呂と、トイレがあった。
隣の部屋も、内装は少し違ったけど、全体的にそんなには違わない感じだね。
さて、後は廊下の奥の扉が、扉ゾーンになってれば、行けそうなところは全部回った感じになる、はず。
そう思って奥に入れば、すぐに左に折れてて、思った通りの扉ゾーンだった。
左側に五つ、右側に六つの扉で、手前二つと奥四つの間にスペースがあって、寛げるようになってる。
右の手前二つは、お風呂、トイレで、左側と、右側の奥四つが、使用人用の部屋みたいな感じ。
まだベッドと小さな机くらいしかないから、これから人それぞれになんか増えてくんだろうね。
それに、左側だと窓ないんじゃ? って思ったけど、屋根の方に窓があったのはなんかホッとした。
あんまり不公平感あると、良くないもんね。
これで奥の扉がお茶の部屋に繋がってればおっけー。
「なんで、階段……」
下の方に向けて左右両方に階段があったよ。
お茶の部屋にはどうやって行くの?
扉の脇にはなかったんだけど。
それともお茶の部屋からの一方通行なの?
行き来出来た方がいいと、思うんだけどなぁ。
うぅん、まぁ、僕が使う用のじゃないから、知らなくてもいいんだけど、これも後で聞いておこう。
で、階段だね。
右下の方は、多分、キッチンの勝手口の近くに出ると思うんだ。
あの時は混乱してたから見逃したのかな。
取手は右に付いてたから、開いた扉の裏に隠れてたのかも。
問題は、左下だよ。
下に降りればキッチンとエントランスの間くらいの場所に繋がるのかな。
キッチン……は、さすがに、もうないよね?
キッチンは、多分見たし、他には扉なかった、はず。
仄かな灯りを頼りに下に降りて、折り返しの下り階段と、右側に扉。
下は地下だとして、この扉は、エントランスだよね。
ワープさえなければ。
祈るような気持ちで開ければ、ちゃんとエントランスで、これはきっと、使用人の人達が手早く、他の人の目につかない様にエントランスに出る為の裏道なんだと分かった。
右側の方も、外に繋がってるって事は、洗濯物とかの為かな。
エントランス通ってって言うのもなんか、こんなお屋敷だと怒られそうだし。
後は、地下だけかな。
でも、僕には関係ないと思うんだよね。
倉庫的な。
ワインセラーとか、ありそうだけど。
あそこからワープしてそう。
なら、これで、大体全部見たのかな。
ワープの事考えると、なんか他にもありそうだけど、僕には分かんないし。
屋根裏部屋とか、ないとは思えないんだよね。
きっとあるよね。
魔道具使うんだよきっと。
だから、探検はもうおしまいっ!
と、エントランスに出て、玄関とは反対側の扉から庭に出てのんびりしようと思ってたら、一面ガラス張りの、他に比べたら比較的狭い部屋に出た。
サンルームって言うんだっけ。
リクライニングチェアみたいなのも何故か四つもあるし、ちょっと休憩しちゃおうかな。
みんなには悪いかなって思うけど、僕が手伝う方が気を遣わせちゃうみたいだし、今はまったりしよう。
はい、ごろーん!
あ、なんか気持ちいいってゆーか、なんでしっとりもちもちしてるんだろうね?
それでいて、なんか、ちゃんと受け止めてくれてるって言うか、何なんだろう、この触感……
もちもち?
むちむち?
むにむに?
ぷにぷに?
むちぷに……かな。
うん、よくわかんないや。
僕はなんか好きだし、それでいーよねー。
とまぁ……ちゃんと図面的な物ないと分からないんじゃ……
とか思いながらユウト視点で断行したのは私ですがっ!
ユウト君がこのままだと困る事が一つ。
後、屋根裏部屋は、あるんですが、まだ見つかってないですね。
ワープ扉は使用人が屋敷の主人の為にショートカット(時間的、距離的)になりそうな箇所に設置されてます。
また、外と内を繋ぐワープ扉はありません。
使用人エリアから、キッチンへの直通がないのは、給湯室(お茶の部屋)を経由させる為です。(つまり扉ゾーンから給湯室には行ける双方向)
給湯室からは屋敷の主人のところにすぐ行けるので、献立のお伺いをしたり、体調の確認をしたりしやすくする為ですね。
使用人の拠点とゆー事です。
そこらへんの細かいとこは後々別視点で掘り下げるかもですが、掘り下げないかもですw
ではまた次回の更新でよろしくお願いします(^^)