魔法の使い方 基礎・座学
PV1万突破ー(≧∇≦)
ブクマもちまちま増えててやったね!
みんなありがとー!
ノノリさんに抱っこされ、ノノリさんにアーンされ、ノノリさんにアーンして、それを衆人監視の下でやらかして、勝者の笑みを浮かべつつ、ノノリさんは去って行った。
大変美味しゅうございました。
とゆーコメントは、ご飯に対してなのか、この状況に対してなのかはもう確かめようもないけど、去り際に見せた優越感溢れるスマイルにみんなから殺気が迸ったのだけは、分かったよ。
《 気配察知 》のスキルを手に入れた!
とか、言うとカッコイイけど、ね?
そういえば、ノノリさんはマナリス様のお付き? の侍女らしいんだけど、僕のとこの3人と違ってお休みがあるんだなぁ。
メイドと侍女で何が違うのかな。
というか、他で見掛けるお掃除してるメイドの人とか、そういう人はともかく、僕の専属になってるみたいなのにメイドなのは何が違うんだろう?
侍女じゃないの?
別に僕自身としては、メイドでも侍女でもどっちでもいいんだけど、侍女だったらお休み貰えるのなら、侍女になれないのかなぁ。
でも、メイドは色んなとこで見掛けるけど、侍女は全然見かけないって事は、侍女の方がレアなんだろうし、つまり何か資格とか、そういうのがあるのかな?
毎日僕のお世話ばっかりじゃ疲れちゃうし、たまにはお休みないとダメだと思うし。
イシュカさんは、お休みあるのかな。
聞いてみたいけど、アイリスさんの前で聞いていいのかな。
むーん!
「ユウト殿ー、そろそろ着きますから、何に悩んでるのかは分かりませんが、切り替えて勉強に集中して下さいよ?」
「あ、うん、ごめん」
「魔力感知も出来ましたし、今日はこっちでも訓練になりそうですから頑張って下さいね」
「あーそっか……そーだね。でも、僕もこれで魔法使えるんだって思ったらワクワクするなぁ」
「ふふ、ユウト君はそんなに魔法使ってみたいの?」
「だって僕のいたところだと魔法とかないから、なんか夢みたいだなーって」
「じゃあ、魔法の勉強も頑張らないといけませんね」
「身体動かすのよりこっちの方が楽しみだよ、僕」
挨拶もそこそこに、じゃあ魔法について、簡単に説明をしましょうか、とアイリスさんに言われて、魔法の基本的なとこを聞いてるんだけど、これは魔法の授業なのか、理科の授業なのか、どっちなのかハッキリして欲しい。
お水を作り出す魔法を使うとして、そのお水はどこから作るのでしょう? とか言われても、魔力でズバッと作るんじゃないの? と聞いたら、そうだけどそうじゃないって言われた。
例えば、砂漠でお水を作るのと、川辺でお水を作るのだとどっちが簡単そうか、と聞かれたらそれはやっぱり川の近くの方が作りやすそう。
と言ったら、僕が言う様に魔力で作れるなら、どっちでも同じ様に作れないと変じゃないかと、言われてみればそうだよね!
じゃあ、同じ様に作れるの?
となると、砂漠の方が作りにくいんだそうだ。
それは何故か?
それは誰もが砂漠は乾燥してて、あまりお水がないと知っているから、作りにくいんだって。
「えっと……じゃあ、砂漠の事なんて全然見た事も聞いた事も無い人なら、砂漠でもお水は作りやすい……??」
「ふふ、どっちだと思いますか?」
「……作れると思う。だって、暑いとは思うけど、乾燥してるとかは知らないんだし、知ってるとダメだって言うならそうじゃないと変だよね?」
「ところが、作りにくいのですよ」
「えぇ〜??」
「しかも、砂漠の事を知識として知っている人よりもダメになります」
共通認識による事実は無知よりも優先される……?
えっと、みんなが知ってる事を知らないと、何故上手くいかないのかが分からないから、よりダメになるんだって。
知ってるから作りにくいのに、知らないからより作りにくいってなんか変な気がするんだけど……
なんで失敗するのか、わからないからより良く出来ない。
失敗する理由はわかるけど、どうしようも出来ないから、小さな失敗にするまでしか出来ない。
という違い、らしい。
普通にやったら大失敗なところ、大失敗はしないけど、失敗はする、みたいな?
「じゃあ、魔法の使うのが下手くそでも、お水のあるところだと成功しやすくなるの?」
「その通りです」
これを、事象改変への理解、と言います。
と、アイリスさんがビシッと僕を指さして言った。
じしょうかいへんへの理解。
「魔法には二日前に調べた通りそれぞれに適性があります。更に使いたい魔法自体への親和性、それを行使する場所や環境などによる難度の違い、それらを深く識る事がとても重要なのですよ」
「…………かんたんにゆーと……?」
「あ……すみません。……んー、つまり、個人的な得意不得意があります。それに加えて……そうですね、お野菜でも、場所によって作りやすい作物があるでしょう? 肥料やお水のあげ方も違いますよね? 間違えると、美味しいお野菜は作れません。そういうものですね」
「ん……何となく分かった!」
「なので、魔法使い達は、色々な知識を貪欲に吸収します。知らなければ、無駄が出てしまう事を知っているからです」
ところで
「ボラなど純粋な魔法使いではない、戦士たちは特にですが、魔法を身体に使う事があります。力を増やしたり、速さを上げたり、そういった事をするのですね」
ただ、筋肉を増やせば、力が増す事は分かってても、魔法で筋肉を増やしたりすることは出来ないみたい。
コップに水を満たして、元々の筋肉がその水だとして、そこに魔法で別の力を入れたらどうなるかなんて、解りきってる。
溢れる。
つまり、筋肉を魔法で作ったら、さっきの例え話が、冗談じゃないなら、酷いことになるのなんて、キチンと説明されなくても分かる。
じゃあどうするのか?
「魔法で身体の動きをサポートしてあげるんです。あやつり人形みたいなものですが、操る方も操られる方も自分ですから、イメージさえしっかりしていれば、力加減を間違えるとか、速さに慣れなくてコケるとか、そういったミスはありますが、逆にそれさえ克服出来ればある程度は形になります」
事象改変も同じですよ。
と、言われたけど、同じ……なのかな?
「肉体に作用する魔法でなくても、幻影を作り出す魔法も、ハリボテみたいなイメージでドラゴンを創っても誰も騙されてくれません。ちゃんと誰が見てもドラゴンだと言える幻を創り出さないと意味が無いですからね」
がおーってアイリスさんがやってるのは可愛いだけだけど、ボラさんがやったら怖そう。
うん、分かった。
「ところが、今の上げた二つのものは、魔法を行使するにおいては素材なのです。魔法を魔法たらしめるのは、魔力操作の精密さにおいてほかなりません」
綺麗に無駄無く魔力を扱う事が大事なんだって。
「頭の中に綺麗な風景が思い出せても、絵の具も筆もいいのがあっても、綺麗な絵は描けない、みたいな感じ?」
「良い例えですね。そういう事です」
なので、画力を鍛えるように魔力操作を鍛えましょう。
と言われた。
「それに、ユウトさんは聖痕のおかげか魔力が多いので、操作を疎かにすると大変ですからね、徹底的に鍛えます。厳しく指導しますから、ちゃんとついてきてくださいね」
「お願いします」
「それと、今はあまり考える必要はありませんが、魔法使い同士で戦わなくてはならなくなった時には、魔法行使力の強さも求められます」
「強さ? 威力ってこと?」
「威力な事もありますが、そうではなく、例えば、火の玉をぶつけようとしてるとしましょう」
火の玉を作ってぶつけようとした時に、投げた火の玉は魔法で作られたものだから、魔法で消す事も出来るし、普通の火を消すよりも実は簡単なのだとか。
でも、コレは火の玉です!!! って、しっかりとイメージして魔力をいっぱい使っておく事で、相手が火の玉なんかありません! と言って消してくるのを跳ね返せる様になるんだって。
「えっと、じゃあ魔力いっぱい使った方が強いって事?」
「そう出来ればいいですが、そんなにいつも全力で使ってたらすぐに疲れちゃいますよね? なので、魔力操作で無駄無く上手に魔法を使うことによって、ロスを減らして消耗を抑えるんですよ」
いいですか、と前置きして、指を一本ずつ立てながら、改めてまとめてくれる。
・事象改変への理解
物事を深く理解する事で魔法を使いやすくする。
・魔法イメージの強固さ
想像力、創造力を明確にする事。
・魔力操作の精密さ
上手に魔力を扱う事。
・魔法行使力の強固さ
意志の強さ、込める魔力の強さ
「これら、四つの事を学ばねばなりません。一つ一つ独立せずに連動していますので、バランスよくやっていきましょう」
そう言うアイリスさんに、頷こうとして、アレ?と首を傾げる。
「アイリスさん、魔道具? は、どうなるの?」
「あれは、魔力を流してあげれば、それだけで一定の効果が出ますね。そういった術式が刻まれているのですよ」
「じゃあ、僕ももう魔道具は使える? お風呂一人で入れる?」
「大丈夫です! と、言いたいのですが……」
「まだダメなの?」
「ユウトさんは、魔力がとても多いので、魔力の込めすぎで壊してしまうかもしれません」
がっかりだよ。
昨日までは、魔力が使えないから、お風呂にみんなと入らないといけなかったのに、魔力が使える様になったら、力が強すぎて使えないとか、なんでそんな極端なの……
「まぁ、その為に練習するのですから、そんなに落ち込まなくていいですよ」
「そうだけどー、お風呂くらい一人で入りたいよ」
「あまり褒められたことでは無いのですが、どうしても、というなら魔力を抑制する呪具もありますから、いざとなれば、そちらを使う事も検討しますよ」
「そういうの使うのは良くないの?」
「えぇ、つまるところ自分を無理矢理に抑える事になりますので、それがないとダメな状態になってしまうのです。そして、それに慣れてしまったら、矯正もほぼ出来ません。ですから、素の状態では危険だと判断されたり、罪人への罰などでなければまず使われません」
そーゆーのは、ちょっと……
犯罪者と同じってゆーのもなんか、ねぇ?
「でも、そんなのでもいざって時は使うの?」
「えぇ、呪具に慣れてしまわない様に面倒な調整をしながらになるので、時間もお金もかかりますけど、ユウトさんは勇者ですから、魔法がまともに使えない、という事も避けねばなりませんから」
勇者だから、かぁ。
うん……大丈夫。
分かってたことだし。
それにまだ魔法が上手に使えないって決まった訳じゃないし、練習してそれでもダメそうな感じだったら、その時にまたアイリスさんとかと考えればいいよね。
「さて、では、お待たせしましたが、魔力操作の練習を始めましょうか」
「うん、お願いしまーす」
「お嬢様」
「何?」
「先に一度休憩されては?」
「あ、そうね、そうしましょうか」
「えー!? 僕なら大丈夫だからやろうよー」
せっかく魔法の練習出来るのに!
と、疲れてないよって意気込んでアピールしてみたんだけど、二人は顔を見合わせて苦笑した。
「ユウトさん、魔法使いは冷静でないと務まりませんよ」
「つまり、前のめりになってる今は少々宜しくありません」
「僕、魔法使いじゃなくて勇者だもん」
そんな屁理屈言っても二人は聞いてくれなくて、拗ねる僕をアイリスさんが宥めつつ少しの休憩がとられた。
とゆーことで、次回は魔力操作の練習です。
詠唱とかの話はどこ行った!?
とかは、次で触るかも……(かも!?)
では、また近いうちによろしくお願いします